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「ほんの偶然」

作者: jfk3363

「おひさしぶり」

「そんなに、がっかりした顔するなよ」

「がっかりと云うより、余りに変わったので」

「お互い様だよ、これが二十年というものさ」

「でも、かっこいいよ、いい歳のとりかたをしたのね」

「ありがとう、二十年は、あっという間だと思ったけど、会って見て、長さに気づいたよ」

「それは、どういう意味」

「もうやめよう、ところで、どこにする?確か、肉食系だったよね」

「えぇ、ワインの揃っている店がいいわ」

「じゃぁ、Nに行こう熟成肉とワインが揃っている」

予約もせず、真っ直ぐに店に向かった。

彼女とは、二十年ほど前、彼女の方からBarで声をかけられ、半年ほど付き合った。

私にとって、商売女以外では初めての女だった。

それまでの私は、自分に自信がなく、自分から女性に声をかけることは考えられなかった。

そういう意味では、彼女は恩人だ。

久しぶりに会って、いろいろ聞きたい事もあったが、無言のまま店の前まできた。

ドアを開け

「予約は、入れてないのですけれど?」

「カウンターなら」

「ありがとう」

中に入ると、中央に自動演奏のグランドピアノ。

私の好きな、as time goes by ぴったしだ。

カウンターに座ると、食事も出来るように、少し幅広な感じだ。

初めは、ビールを呑みたかったけど、彼女に合わせてカリフォルニアワインの赤をフルボトルと、お店の熟成肉の盛り合わせ。

「乾杯!」

「二十年ぶりの再会に」

ピアノの演奏は、ビギン ザ ビギンに。

グランドピアノは、スタイルがいい360゜どこからも魅力的だ。

彼女の左手の薬指のリングについて聞けない。

頭の中は、二十年前のさまざまな場面が、繰り返し流れている。

とりとめもない、無難な会話。

お互い、気を遣いすぎなのか聞きたい事を聞けない。

食事が終わって、外に出て。

「だいぶ、酔いましたね」

「美味しかったわ」

「それじゃあ」

「お元気で」

携帯も交換せず別れた。

結局こんなもんか、もうこんな偶然は、ないだろう。

「神様、ありがとう」









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