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ギャル子、デコる  作者: 金剛寺 兎丸
9/23

ギャル子、語らう

 別にさー、不安がない訳じゃないんだよ。うちも。





>絵比奏度08

 ギャル子、語らう





「でさー、それ、味どう?ひどくなくなくない?」

「うま」

「え、マジで?」

「おにうま」

「えー、マジでー?てかプリンだいぶんウチに言葉遣い似てきたじゃーん、イイネ」

「でへ」



 笑い方は変わんないんだね。

 でもまあそこもプリンらしくてイイネ!



 この魔王城、もといシュテなんちゃら城は、わりと労働条件が良いらしい。

 プリンは三時間おきに休憩もらえてて、そのタイミングがくると、ウチはプリンと話しに来る。

 特に昼休憩は長いからめっちゃダベれるんだよね。


 合流場所の城の裏庭は、これもプリンたちが整備してるのか、綺麗な花も咲いてるしベンチも快適でいーかんじ。

 ここで落ちあってひたっすらぐだぐたするのがここ三日の流れだったりする。

 ウチ的には、ちょー盛り上がってる。

 意外とプリンが聞き上手、てか喋らないってのもある。

 うちらマジでいいコンビじゃね?

 


「プリンさー、ウチあの兄ちゃん苦手だわ」

「ドライ、さま」

「そーそー、ドラピッピ。はじめはウチがアホだからかなーとか思ったんだけど、ガチで当たりがきつい…ぎゃんなえ…沈殿丸…」

「うー」

「それにさー、すぐにあの人は、あの人なら、って口走るんですけどあの人って誰だべ?彼女?ノロケ?」

「まおうざま」

「え?」

「せんだいさま」



 先代の、魔王様?

 前に死んだって言ってた?

 ああつまりウチ、比べられてんのか。

 元カノと今カノ比べてる系?いや付き合ってないけど。



「ドライざま、せんだいさま、なかよし」

「へえ…」

「おにもり、せんだいさま、ぜんぜんちがう」

「そりゃそーでしょ、ウチは被らないためにメイクもしてるんだし?服も色々いじるし?個性って大事じゃーん」

「こせい」

「プリンも個性溢れまくってる、って会ったときは思ったけど、このお城だと没個性だよね。イメチェンするー?」



 あ、首振られた。残念。

 絶対プリンデコるのちょー楽しいと思ったのに。

 ジャンバーか繋ぎ来てさあ、リボン一杯、できたら缶バッヂとかさあ。

 キャップも良さそう。

 以外とふなっぴーみたいなゆるキャラ路線狙えるんじゃね??

 あ、でも小道具とかこっちに無いぢゃん。

 てかコテがないのが致命的。

 化粧道具は貰えたけど。


 あーあ。



「あっち、どーなってんのかなあ」

「?」

「んー、ウチがいたとこ。地球ー?」

「ちきゅう」

「平和でねー、ウチのニコイチのダチがいてねー」

「みさ」

「そーそー。そー言えば前に話したっけー。向こうだとウチ、家出扱いかなあ。せめてミサが居たらなぁ」



 やばい、バリ辛い。

 考えないようにしてたけど、つらたん。



「魔王ってさぁ、居るだけでもわりといーんだね」

「うぉ」

「色々判子押したりとか仕事するのかなーって思ったけど、魔王が戻ったーってだけで城内のテンション上がってたじゃん」

「あたらしいまおうさま、うれしい」

「なんで?クソ嫌味なドラピッピの言葉借りるとさあ、ただの小娘、だよ?」

「おうさまいない、おでたちこまる。ばらばら」

「じゃーさぁ、プリンが王様やれば良くね?」



 仕事はドラピッピとおばあちゃんがやってるっぽいし。

 ほんとあのときはノリでなっちゃったけど、正直魔王って要らなくない?

 少なくともウチはさぁ、絶対要らないっしょ。

 ウチだって、逆の立場ならそう思うし。

 ネガティヴなうなう。



「なれない。おでたち、できない」

「なんでー?」

「にんげん、おーくなれない。おーく、おうさまなれない」

「いや、魔王ってあくまで役職じゃん?」

「ちがう。まおうさま、も、おーく、も、にんげん、も、おなじ」

「…え、魔王って種族なの!???」

「う」



 それ初耳なんですけど。

 魔族の王様が魔王なんじゃん?なのに魔王は種族とか頭ぐちゃぐちゃなんですけど。

 つかここでもウチが人間であることは全否定されてるっぽいし。なぜ。



「まおうさま、ときどき、あらわれる。おーく、つれてくる」

「まあ、ウチもプリンにつれられてきたけどさー、でもウチ、何にも出来ないし。魔法とかなんか使えたならまだ働けるけどさー」

「おで、おにもり、まおう、おどろいた」

「あ、プリン的にも?ウチ、そんなに前の人と違う?」

「おにもり、まほう、つかえない。まりょく、ない」



 魔王って魔法使えるんかい。



「ねえちょっと、もしかして魔王ってもしかして」

「まほう、せかいでいちばんつかえる、しゅぞく。まおうさま」

「あっ」

「まおうさま、みんな、とくべつなまほう、ひとつ、もってる」

「げっ」



 魔王出来ないじゃん、ウチ。

 プリンの話まとめるにさあ、魔王様ってつまり、どこからともなくやってくる“特別な魔法を使える人”な訳でしょ?

 オンリーワンなんでしょ?

 ウチそんなの無いし。

 詐欺じゃん、このままウチが魔王様やってたら詐欺じゃん!?

 アイプチで二重作るより詐欺じゃん!

 そりゃ魔力無いですーって話をしたらドラピッピが鼻で笑うわけじゃん。

 ウチでも笑うわ。

 どんだけ頭悪い詐欺師だよって笑うわ、てかそこで突っ込めし。



「ウチ魔法つかえないんですけど!!??」

「ばばさま、おにもり、ほしょう」

「いやいやいやいや!ウチ人間のサラブレッドだし!?むりだし」

「ひみつ」

「いや隠しておけばいいってもんじゃ」



 て言うかあのおばあちゃんもなんで頷いたかな!

 一気に胃が痛くなってきた。

 ほんと、マジで、なんで。

 でもとりま、とりま今は秘密にしておこう。

 だってウチ、行くとこ無いし。

 間違いなく野垂れ死ぬし。

 ほんと、マジで、なんで。

 

 不意に背後で、気配がした。



「えーっ、魔王様ってぇ、偽物なんすかー?」



 何このガングロ女。










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