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ギャル子、デコる  作者: 金剛寺 兎丸
8/23

ギャル子、魔石を食べる

 

 え、プリンの主食って髪の毛じゃないの?

 なーんだ。





>絵比奏度 07

 ギャル子、魔石を食べる





「魔石食べるとかちょーウケるー、かたそー」

「…俺達魔族のエネルギー源は魔力だからな。本来ならば魔石を食べる。が、それがないとなると、他のエネルギー源が必要だ。だからオーク…、プリン、だったか?も、お前の髪を狙ったんだろう」

「へー。でも鬼マズって言われたんですけど」

「髪は、魔力を多く蓄積している。石には叶わないが、摂取は可能だ。…が、不味いと言われたならお前に魔力が無いということだな」



 はん、って鼻で笑われた。

 クソ腹立つんですけど。



 ウチがこのお城にやって来て数日、ご飯食べさせてもらって、お風呂もいれてもらって、なかなかに快適。

 プリンがフリフリのエプロンでせっせと掃除してる背中にダイブしたりと、割と充実した日々を送ってる。

 ぶっちゃけ、楽しい。


 で、現在ウチは、魔王様?として働くために、とりあえず世界の事をお勉強中である。

 先生役はドライ、とか呼ばれてた堅物そうな嫌味にーちゃん。

 でもウチはノートをとりつつ頑張る。

 マジでウチ偉いわー。

 これ終わったらプリンとお昼だしね。



「…全く、何でこんな常識も理解していないんだが」

「いや、だってウチの所じゃ常識じゃなかったし」

「どんな辺境の田舎娘だ」

「…えー」



 おばあちゃんは、ウチの状況を凄くわかってるっぽくって、割と話がスッキリ通じてる。

 でもこの兄ちゃんは、幾ら説明しても分からないっぽい。

 ウチの国語力?国語力が悪いせい?

 …えー。



「ほら、今日教えたことを繰り返してみろ」

「はーい」



 羽ペン、とかいうのを渡されたせいでかなり読みにくくなったノートを持ち上げる。

 これ消ゴム使えないじゃんね、ウチが王さまになったらまず鉛筆と消ゴムなんとかしよ。

 あとデコペン。赤だけとか少なすぎでしょ。

 もっとキラキラしたやつとか、ラメとか色が変わるのとかー、欲しいじゃん。

 後でプリンに話してやろーっと。



「えーと、とりあえずー、魔族?は生き物の種類のひとつで、悪者じゃない」

「ああ。見た目のせいで大半には理解されていないが、俺達は悪役だとかそういうものじゃない」

「魔族の国がー、ここ、ユグドで、元貿易相手の隣の国が人間とエルフ?主体のいば、…イヴァリース。横文字多すぎ、なえぽよ」

「文句を言うな」

「お兄さんは口煩い」



 だから睨まないでよ、怖いって。

 眼光鋭いっての?

 テンションさがるわー。



「で、皆の主食は魔石ですーって。…魔石ってさー、どーやって食べんの?固くない?」

「…いや、口にいれてしまえば固くはないが。ひとつ食べてみるか?」

「え、たべるたべるー!ウチでも食べられる系?マジ?」

「城の周りの沼地を歩いてこれたなら問題はない。ただのエルフや人間は死ぬから、お前も魔族寄りなんだろう」



 …ちょっと待って。

 沼地、ってあのコポコポしてたところっしょ?

 ウチ、フツーにプリンに案内されたんですけど。

 MK5。

 死んでたらどうする気だよプリン、ちょっと後で覚えとけよ。

 おこだわ。

 あ、でもこの国はだから独立してるのかな、人間入れないんじゃそりゃ魔族だけになるか。



「ほら、口を開けろ」



 そう言うと兄ちゃんは飴みたいな奴をひとつとりだし、…いやいやいやいや。

 包装を開くとウチの口許に運んできた。

 何なんだよ。ないわ。いっぺん死ね。



「いやウチ自分で食べられるんですけど、そーいうサービス要らないわー。てかなに、そういうこと慣れてる系?」

「…?、ああ、…お前の歳ならばまだ食わせてもらうものじゃ」

「はあ?17だよ?」

「?なら俺達で言うところの幼龍じゃないか。ほら食わず嫌いをせずに」

「してねーよ!!」



 なんでウチが!ため息つかれてんの!

 意味フにも程があるわ。

 つーか龍ってなんだよ、ウチは人だし。

 なんなの、兄ちゃんは龍なの。

 てかこの兄ちゃん間違いなく頭悪いでしょ。



「勿論数十を超えたら魔族でもそれなりに大人だとみてやってもいいが、まだ17だろう?子供じゃないか」

「人間だと二十歳で一人前だし十歳でも普通に自分でご飯くらい食べられるんだって」

「お前は魔族だろう」

「知らないけど、年は人間の計算のしかたしてよ、ウチ間違いなく100も生きないって」

「…はぁ、大人ぶりたい年頃か」



 ちげーし。


 うんざり、って感じの顔だ。その表情したいのこっちなんですけど。

 大体、ウチのことを嫌ってますー、めんどくさいですー、関わりたくないですー、って感じ全開の癖に世話焼いてくるから鬱陶しい。

 普通にしてくれてたら食べたけど。

 そりゃイケメンからのあーんならテンション上がるわ。

 でも義務で嫌々やってますーみたいなの出されるとガン萎えじゃん。

 頑張る俺、みたいなの?

 うっざ。



「んじゃ、いただきまーす」



 兄ちゃんの指からかっさらうようにして、魔石とか言うのを取り上げる。

 包み紙には食用、って書いてあった。

 色は綺麗なピンク色、キラキラしてる。

 味とかあるのかな。イチゴならいいな。

 でも持った感じ、クソ固いんですけど。

 普通に石だし。これ食べるの?マジで?

 歯を折ったら兄ちゃんのも折るからな、そう心に決めて、口へと放り込んだ。



「お、…おおお」

「どうだ、普通に食べられるだろう」

「あ、ああ…うん…、えー…」



 なにこれマッズ。



 確かに、確かに食べられるよ確かに。

 口にいれたら、粉砂糖みたいにざらって崩れて、すぐにとけたし。

 でもこう、ひたすら味がない。

 ざらってしてるときとか、砂食べてるみたい。

 いや砂というより、粉末状のプラスチック?

 すぐ溶けるのが救いだけど、なにこれマッズ、これ主食?生きる楽しみ1つ欠けてるじゃん。

 しかも一粒でかなりの満腹感が得られるのが怖い。

 なにこれ、何はいってんの。

 うわうわうわ、やばば。



「…もーいっこ、もらっていー?」

「なんだ気に入ったのか、まあ、いいぞ。でも無駄遣いはするなよ、貴重なんだ」

「はーい」



 プリンにも食べてもらって、感想聞いてみよ。


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