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ギャル子、デコる  作者: 金剛寺 兎丸
4/23

ギャル子、知る

 

 ぶっちゃけ、変なプリンに会うし、知らない景色だし、知らないとこ飛ばされてんじゃね?って思ってたけど。

 ヤバイ、知ってる、ウチここちょー知ってる。

 なんでこんなことになったかは今一つわかんないけど、とりま激おこ。





>絵比奏度 04

 ギャル子、知る





「つまりここ、異世界?」

「…あ?」

「ウチが居たとこと違う感じじゃんね」

「…だ、ぶん」

「うっわー」



 二人ならんで、いやこのプリンを一人って数えて良いのかは知らないけど、二人ならんでヨーグルットをむさぼりながら、ウチはずーっとこのプリンからこの場所の説明を受けていた。

 しょーみ大半はプリンのいってることを解読するための時間だったけど。

 で、プリンの話をまとめるに、プリンはここじゃ珍しくない見た目らしい。だよねー。

 嘘にしても下手すぎっしょ、ウケるー、とか流したらまた残念そうな顔されたし。

 まあでも、現状ハアクに勤めました!ってウチ結構頑張ったっしょ。

 誰かほめてちょ。


 ただまあ、問題もあるっちゃ、ある。



「それでー、なんだっけえ?ここ、レストラン…じゃなく」

「あす、ど、らん、てぃす」

「そーそれ、アストランティス」



 知ってるわー、ウチちょー知ってる。割と歴史も知ってる。

 でもさあ、それはなくない?なくなくなくない?

 だって漫画じゃん。ぺらっぺらじゃん。

 ウチそこにいんの?

 プリンが居なくて代わりにフツーの人に話を聞いてたら爆笑してたわ。



「やばばば」

「?」

「大変ーって意味。かわいいっしょ、やばばば」

「やばばば」

「やばやば」

「やばやば」



 何か慣れてきたせいか、プリンも鬼可愛く見えてきた。

 やばばば。



「ちなみにプリンってさー、普段何たべてる系?やっぱり人?」



 ヨーグルットは食べられるみたいだけど。

 めちゃうまだよねヨーグルット、神だわ。

 ウチの質問に不思議そうな顔をしつつも、ヨーグルットをばりばり咀嚼してたプリンが軽くウチの方を指差した。

 やっぱ人かー。

 ベジタリアンワンちゃんない感じ?

 できたらもうしばらくプリンと居たいけど、流石に人肉ばりばりはなー…。



「か、み」

「…えー?」

「がみ、の、げ、おで、食う」

「……えーー」



 やっぱ食う、だけ発音いいのな、プリン。


 プリンがウチの、若干パサついた茶髪を引っ張っ、痛い痛い。

 禿げる。止めて禿げる。

 え、でもプリンって肉食じゃないの?だからウチのエクステはさっき犠牲になったの?

 …、や、でも髪を食べてる姿もつらいわー。

 主に食べられて何もなくなった側が。

 プリンみたいなのがたくさんいたらこの世界激ヤバじゃない?ハゲばっかにならないの?

 てかウチがハゲにされたら困る。


 ウチが色々考えている間にも、プリンはウチの髪をぐいぐい行ってる。

 んでついに引っ張られてブチ、ってなった数本を、プリンがぱくん、と口につっこんだ。

 即行顔をしかめてたけど。



「おまえ、まず」

「鬼マズ?」

「おにまず」



 とりま、ウチハゲにされる心配はないんじゃんね。

 大勝利じゃね?でも不味いって言われんのちょっとムカつく。

 それにしても、主食は髪なんだ。

 なんかこう、体育会系女子の弁当開けたら、サラダがたっぷりだった、みたいな驚きがあるよね。

 やるじゃーん。



「ぶりん、なに」

「プリンー?プリンはプリンじゃーん」

「おで、おーく」

「オーク?ゴブリンとか言うのじゃないの?」

「ごぶりん、ちいさい」

「サイズかー」



 確かに、ミサもそんなことも話してた気がする。

 ウチ、興味のない話スルーしてるからなあ。

 新作のシャドウの春カラーとか、ストッキングを着圧にしたとか、そー言う話なら幾らでも出来るんだけど。



「名前ないの?」

「なまえ」

「ウチはねー、安藤三代子、通称鬼盛りのアミ」

「おにもり」

「アミでいーよ」

「おにもり」

「そこ名前じゃねーし。プリンウケるー」



 ウチ、目とかめっちゃ盛ってるから。

 カラコンもさー、入れてるしさー、つけまもガッツリだし。目尻にさらにつけま足してっから。

 顔面突貫工事してるから。

 今は走ったから化粧崩れまくってる自信あるけど。

 そー言えば、鞄どこ行ったんだろ、化粧道具一式ないじゃん。お金もないし。わ

 やばば。



「おで、なまえ、ない」

「えー、ないの?皆オーク?」

「おーく」

「じゃあプリンがなまえでよくない?可愛いし。お前は今日からプリンな、プリン」

「おで、ぷりん。おまえ、おにもり」

「そーそー、そーいうことー」



 プリン、プリンと繰り返すプリン、なかなか可愛い気がする。

 ゆるキャラ?ぶさかわ?こーみるとイケてんじゃね?

 プリンよりブサいのいっぱいいるし。


 それにしても、鞄がないのがちょー困る。

 お金ないし、行き倒れじゃん。

 そして何より、化粧を直せない。



「行くとこないわー」

「ない?」

「ないー、超迷子」

「おにもり、おでたちのところ、くる」

「えー、プリンちー?」

「う」



 プリンちって大家族?俺たち、っつったよね。

 たくさんいるなら、もっとはなし聞けるかも。

 プリンもいーやつだし、多分仲間もいーやつとみた。

 ウチ天才じゃね?



「超いくー!」



 今晩とめてもーらお。


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