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ギャル子、デコる  作者: 金剛寺 兎丸
18/23

ギャル子、と世界

 


 だからさあ、まじめなのはダメぽよっていったじゃーん。





>絵比奏度17

 ギャル子、と世界





 つまるところ、馴染むかどうかが問題なのじゃ。

 おばあちゃんはウチにそう言った。



「簡単なことなんじゃよ、魔王様や。魔族と言うのは、何百年も生きる。魔王と言うのは、魔族じゃな?よって、同様に長生きじゃ。魔王様が魔王様に“成れば”、自然と体も作り変わる。とはいえ魔王様が帰りたいと思うている間は、変わりはせぬが」

「なにそれやばたん、ダイエット広告の詐欺っぽくね?」

「中には、先代のように若くして死んでしまうものもおるが…これは、寿命と同じじゃな」

「へえ…」



 また出たな、センダイサマ。

 てかその人、そんなに早く死んだならフツーに“魔王になってなかった”とか言うだけじゃないの?

 そう言うのは言っちゃダメ系?

 KY?



「時々異界から迷い込むもの、それをこの世界では魔王と崇めておる。言うなればそういう…システム、じゃな」

「特別な力がーってやつでしょー?知ってる知ってるー、でもウチそもそも魔力?、がないし?」

「それが不思議ではあるのう」

「おばあちゃんも分かんないんだ」

「ああ、けれど魔王は複数とは現れぬ。…魔王様の力も…まあそのうち発揮されてくるやもしれんな。ワシの先見の力もな、すこぉし分かるのが遅かったのじゃ」



 割りとテキトーな感じでいいんだ。


 おばあちゃんはウチに笑って見せる。

 ウチにはなんにも見えないけど、おばあちゃんには水晶玉になにか見えてるのか。

 いーなあ、ウチもそー言うの欲しい。

 でもさあ。



「置いてかない?」

「ん?」



 ウチが気になるのは、一つだけだ。



「ウチさぁ、ノリで魔王とか言っちゃったの、ちょっち反省なうなんだよね。死にたくなかったからー、撤回できないけど」

「うむ」

「けどさあ、ウチ、やっぱり帰りたいし。こっちで一年過ごしても、向こうじゃ三日か四日!ってのは分かったけど、ウチの体はさぁ、一年分、年取んない?」

「…うむ」

「そしたらウチ、置いてっちゃってない?向こうの時間」



 具体的にはさぁ、17、8と19とって、明らかに差があるじゃーんってことで。

 ウチは女子高生だし、もーちょい女子高生でいるつもりだしだし?

 でも無理があるよねー的な見た目は勘弁。



「あまり長居はできんじゃろうな。魔王様が此方に馴染めば老化は遅くなるが、そうなってはもう帰れぬ」

「そっかぁ」



 やっぱり、のんびりしてられないんだ。



「どーやったら帰れんの?」

「そういう泉があるのじゃ。生き物を一度だけ、そのものが心底望む場所に送ってくれる」

「おぉ…!」

「まあ隣国のイヴァリースにあるんじゃがな」

「えっ」



 姫じゃん、姫が居る国じゃん。

 ちなみに今貿易止まってるんじゃなかったっけ。

 もらえますか貿易もやめてるのに人が入れるわけないよね?

 姫勝手に来てたけど、ドラピッピ激おこだったじゃんね?



「うむ、そこは魔王様の頑張りに期待と言うところじゃな!勿論この国に残っても良いのじゃよ」

「いやマジ勘弁なんですけど」

「なれば、まずは交易を再開させねばならぬなぁ」



 あっ、やっぱこのおばあちゃん只の可愛いおばあちゃんじゃないわ。

 狸とか狐とかそんな感じだわ。



「大丈夫じゃ、魔王様なら、成せよう」

「根拠は?」

「ないのう」

「だめじゃん」



 でもまあ、目標ができたのは、良かったかもしれない。

 後で、貿易が停止した理由、調べとかないと。

 ウチちょー真面目じゃん。

 ウチもおばあちゃんに笑って見せた。

 大丈夫、ウチはちゃんと戦闘服だ。



「ありがとーおばあちゃん、スッキリしたー!」

「それはよかった」

「じゃあウチもう行くね、ドラピッピおこだろうし逃げるー」

「急いだ方がよいなぁ、今こちらに向かっておるよ」

「やばばば」

 


 それはヤバたん。

 怒ってるドラピッピちょーめんどくさいんだよね。

 とりま時間あけとかないと、めっちゃ絡まれるし。



「…おばあちゃんてさあ、名前なんて言うの?」

「ん?…ああ、イチ、じゃよ。呼ばれなくなって久しいが…」

「ふぅん」



 じゃあ、おばあちゃんはあれだわ。



「おばあちゃんは今日からいちめろおばあちゃんね。ドラピッピはドラピッピだからイチピッピはあれだし」

「ほう!」

「ウチのこと、魔王様でも良いけどアミとか、プリンみたいにおにもりとか呼んでくれてもいいかんね」



 名前って、大事だ。

 ウチはやっぱり、鬼盛りのアミだから。



「それじゃあ、アミと呼ぼうかのう」

「わーいうれしー」



 きゅ、と目を細めたおばあちゃんに手を降る。

 何となくざわざわした気配が近付いてきてるから、マジで時間はもう無さそう。

 最後にもう一回いちめろおばあちゃんの方をみてから、ウチは部屋を飛び出したのだった。

 うわ足しびれてる、やばばば!



 スッキリしたのは本当だ。

 一番の疑問は、解決してないけれど。



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