ギャル子、とおばあ
神子って何よ、神様って子供生むの?
人間に近い生態なの?
それとも分裂?まさか卵?
…やばばば。
>絵比奏度15
ギャル子、とおばあ
我に返ってみたけれど、もしかしなくともウチには、知らないことが多すぎる気がする。
神子って何よ?
何でこの国はごはんが足りませーんみたいなことになってんの?
貿易やめてる国から勝手に神子様乱入してるんですけど。
あと流されてたけど、そもそも魔王ってだから何よ?
ウチどうしたら帰れるわけ?
ちょっと快適で楽しい生活なもんだからうっかり忘れてたけど、ダメじゃん。
「と言うわけで、説明してちょ、おばあちゃん」
「ふん、流されてたなら、そのまま居着けば良いんじゃないかの」
「いや、ウチそういう相談はしてないし」
つかフツーに帰る気ありますし。
…ここまで日数開けちゃうと、女子高生失踪事件!とかになってて親は大騒ぎ、で帰りにくいけど。
でも心配かけてるわけだし。
なんか、今更になってこう、我に返ったというか。
我に帰るまで一、ニ週間くらい経ってるし遅すぎっしょ自分。
ミサに会いたい。
OHGと姫乱入事件から一夜明けて、ウチはおばあちゃんの部屋に突撃をかけていた。
今は本当はドラピッピといつもの勉強タイムなんだけど、ちょっとサボりなうなう。
今頃激おこかも。
でもウチだってむやみやたらにサボってる訳じゃないのだ。
ドラピッピさぁ、多分あえて大事なこといってないんだよね。
この国のふるーい歴史とか?地理とか?そんな話しはするけど神子様とか魔王制度とか、そんな話一度も出てこなかったし。
フツーそこ触れるっしょ。
根幹じゃん。
だからウチは、そー言う話をしてくれそーなおばあちゃんに会いに来たのだ。
おばあちゃんの部屋は、畳、じゃないんだろうけど何かの草を編んだ明らかに畳っぽい何か、が敷かれてて、城内とは明らかに雰囲気が違う。
てかすっごい親しみやすい感じ。
てかウチんちみたい。
ミサんちも畳なんだよね、どっちも農家だし。
あとすっごい良いにおいする、なんだろこれ。
お香?
「まあ…そのうち、話そうとは思っておったんじゃが」
「うん」
「まず何から聞きたいんじゃ?」
「まずさあ、おばあちゃんどこまでしってんの?ウチのこととか」
ウチの言葉に、おばあちゃんはにっこりと微笑んだ。
ローブ?みたいのを着て水晶玉を抱えてっていかにもファンタジーな格好をしてるのに、不思議とウチのおばあちゃんと姿が被る。
ずるいわー、ウチさぁ、おばあちゃんに弱いんだよね。
ふ、っと目を細めたおばあちゃんがやがて口を開く。
「東京にな、おったんじゃ」
「え?」
「戦争は、終わったんじゃろう?ほんに驚いた」
懐かしそうな、顔してる。
「水兵さんの服じゃなあと、最初にお主を見たときに思ってな。ああ、おんなじところから来たんじゃなあと思うた」
「…おんなじところ?」
「とは言うてもな、まあいろいろ、ワシにとっては大昔のことなんじゃが」
…ウチは、ここに着てからいろんな服をもらったけど。
なるべく、洗濯してるとき以外は、制服を着てた。
だってそれが、ウチの戦闘服だからだ。
何て言うの?気合いはいるって言うか。
「まあとにかくな、色々あってワシも、魔王様と同じところにおったよ。大体のことは理解しておる」
そうじゃなければ、突然飛び込んできた娘を魔王様などとは言わぬなぁ。
そうカラカラと笑うおばあちゃんに少しだけ肩の力が抜けた。
あ、やっぱりなんか根拠あったんだ。
「え?マジでー!?おばあちゃんも地球産!?」
「うむうむ、なんじゃ、えー、東京タワー?なるものも立っておるんじゃろ?」
「えー、おばあちゃんそれは遅いわー。今はねー、スカイツリーって言うんだよ。新しいの立ったの」
「ほっほう!空の塔とは大きく出たのう」
「まあウチもさー、田舎にいたから見たことないんだけどね。てかおばあちゃん都会っ子だった系?やばば!うらやま!」
おんなじところから来た人が居るのは、しょーみちょーうれしい。
何て言うの?安心するっての?
でも、それって。
「おばあちゃん、帰れなかったの?」
「ん?」
「ここにさ、いるんじゃん?」
「…ああ」
おばあちゃんは首を、振った。
「帰ろうと思えば、帰れたのう」
「…なーんだー!よかったー!ウチさぁ、ちょっと世界規模の迷子だから、ガチで帰れないんじゃね?とか思っててさー」
「まあ普通はそう思うわなあ。それにしても、一応案じておったのじゃなあ。すっかり忘れておるのだと」
いや、おばあちゃんさりげに酷くない?
さすがに忘れないし。
忘れてたけど。
おばあちゃんはたのしそーに目を細める。
髪の毛を纏めてたかんざし?が揺れて、きれいだなと思った。
ちょー年代物っぽい、アンティーク的な?
そしておばあちゃんは、ウチに突然質問を投げ掛けてきた。
「ところで魔王様や、魔王様にはワシはいくつに見えるかの」
おばあちゃん?80くらいに見えるけど?
…ご、五十歳くらいにみえるー美魔女ー!とか言った方がいい系?
女子のあれ?心理戦的な?
えっ、いきなりのバトルなの?
明らか三十代には、えー二十代くらいですかー?みたいな?
えっ。
や、やばばばば。




