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ギャル子、デコる  作者: 金剛寺 兎丸
14/23

ギャル子、姫に遭遇する

 

「たしかに、魔族の皆さんは怖いけれどっ、でも、怖がってばっかりじゃ駄目だって思ったんです…っ!」



 お目目うるうる、上目遣いに口許は萌袖で隠して無駄に作り声、てかアニメ声。

 ふわっふわの桃色ミニスカートにこれまた薄桃色のしましまニーハイ、でもってちょー甘ロリっぽいチューブトップの上から白カーデ。

 良く分かんない石やら何やらついててパネェ。

 でもってレースのカチューシャには大きい紺色のリボンまでフルセット。

 あと猫耳ヘア?がちでやってるやつはじめて見たかも。



「神子…!それでこそ、流石俺達の神子、だな」

「大丈夫、僕らが貴方を必ず守りますから」

「だからー、神子ちゃんは安心してそこにいてよねー!俺ちゃんも程々に頑張るって」

「みなさん…!」



 ところでこれなんて茶番?

 笑ってもいい系?

 ちょーウケるんですけどー。





>絵比奏度 13

 ギャル子、姫に遭遇する





 これはあくまで、ウチの個人的な感覚だけれど。

 ウチは、ヤマンバ系ファッションはねーなと思う。

 肌を焼く系、汚系はガチでねーなって。

 あくまでも、ウチの趣味の話だから、まあ好きにしたらいいんじゃね?って感じではあるけど、ウチはねーなと思ってる。

 でもそれ以上に、マジで、視界に入れたくねーのが、ウチとミサの間で言うところの姫川雛世系、略して姫系。

 具体的に言えば、こんな感じ。



 野郎の手伝いするときはもう全開にすり寄っていくくせに、女に向けての「手伝いましょーかぁ?」は言うだけ、頼んでもやらない系。

 でもってそれにイラッとした女子がちょっとでも文句言おうもんなら「ひなだって頑張ってるんですっ」。

 ひどけりゃ嘘泣き万々歳。

 じゃあもうめんどくせーし放置しとこーぜってなると、「女の子のともだち、欲しいけど…なんだか、うまく仲良くなれなくって…ひながのんびりさんだからかな(´・ω・`)」って勝手にネタにして野郎に媚び媚び。

 あまつさえウチらが苛めてるんですふぇぇ、って言外に言ってくるヒロイン気取りの。

 もう自分は常に正しくて、回りに邪魔をされるけど私なりに一生懸命前を向いてるんです!を演じて楽しそうな。



 まあつまり、目の前のこいつみたいな感じだよね。



「私、負けませんから!頑張ります」

「「「神子…」」」



 いや、何が神子…だよ。

 てか何と戦ってんの。

 ウチらは仲良く楽しくゴミ掃除してるだけだから。

 帰れ。


 



 ついに始動に至ったウチらなりのOHG計画は、割りと順調に進んでたと言えると思う。



 今回掃除するのは、城から馬車(移動手段に死ぬほど驚いたよね)で二時間くらいのところにある割りと近くの街だった。

 一応魔族領ではあるけれど、人間が集まって作った街、って扱いらしい。

 事前に、どんなにおなかがすいてもうっかり他人の髪の毛に手を出さないように、って皆何度も確認したし、準備は完璧だった。

 そりゃいくら見た目がぎゃんかわでも、ウチにあったときのプリンみたいな反応されたら流石にやばたんだし。



 ウチ的にも初外出でテンションは高かった。街がかわいかったってせいもある。

 オレンジ色の煉瓦で統一されてて、ちょっと皆怯えてるけど、頑張ってる、そんな感じの町。

 メルヘンだなって思ったよね。



 最初のつかみは、結構よかったんじゃないかな。

 特に、子供。



 いつもと全然違う格好をしてたからか、怖いとか、そういうのよりビックリが先に来たみたいで、子供なんてウチらをガン見してたし。

 駆け寄ってくる子も結構いた。

 小さい子は、たぶんまだあんまり魔族がどーのとか考えてなかったんだと思う。

 親は顔面蒼白だったけど。



 んで、うさちゃんー!って来る子にウサギカチューシャ貸してあげて、人間に怖がられなかったことが嬉しかったらしいゴブリンが踊り出して。

 なんか部族の踊りかよ、みたいなのが伝染してずんだずんだ躍り狂う皆のテンションは鬼ヤバだったけど、少なくとも害意はないんだなーってのは伝わったらしかった。

 まあ戦う感じではないよね、ウチ的には物凄い怪しいと思ったんだけど。



 大人は遠巻きに見てる、子供は一緒に踊る、掃除もしつつみんな、踊る、踊る踊る。

 


 …正直言って計画潰れたんじゃね!?って思うくらいにはくっっっそ怪しかったけど!

 でもなぜか、この世界ではありみたいだった。

 そこはワケわかんないよね、割りとみんな踊る習慣とかあんの?

 そういうのは始めに教えてほしいんですケド、って思ったけどドラピッピが石化してたから、たぶんフツーではないんだと思う。



 そーやって二三時間、特に怖がられもせず(遠巻きにはされてたけど)掃除もできて、皆とやばばばーって盛り上がってたときはマジでパーフェクトだった。

 石投げられなかった!って喜んでる皆にはうっかりうるっとしそうにもなった。

 ドラピッピまで、マジかよ、みたいな顔をしつつも笑ってたし。

 でも、突然あの妙なのが来たのだ。



「あのっ…!私、イヴァリースで神子?をやってて、や、神子様とかそんなたいしたのじゃなくてなんですけどっ!」



 要点を絞って話せよ。



「ま、魔族の皆さんに手をさしのべるために!き、来ました!」



 手をさしのべるってくっそ上から目線じゃんね。

 そして事態は冒頭に戻る。







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