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ギャル子、デコる  作者: 金剛寺 兎丸
12/23

ギャル子、&OHG(オペレーション ハートフル ゴブリン♡)

 

 あ、これウチでも役に立てるんじゃない?

 できる気がする、任せろし。





>絵比奏度 11

 ギャル子、&OHG(オペレーション ハートフル ゴブリン♡)





「よって、我ら魔族、特にゴブリンのイメージ改善を図るために、彼らの存在を恒常化させることで…」

「ドラピッピ、ドラピッピ、簡単に。ウチの頭のスペックなめたらダメだから。簡単に」

「…悪いイメージがついているから、清掃活動をさせたりして、イメージ改善を狙っている。月に一度、国境付近の清掃に赴いたり、他にも様々だ」

「へえ!」



 最初からそう言ってくれたら、ウチだってわかるのに。

 ドラピッピ真面目すぎんよ。


 何やら難しいことが色々書かれた報告書を眺めながら、ウチは一人うなずいた。

 魔族が嫌われてるーって話は、前にドラピッピから教わったから知ってる。

 顔が怖いし、力は強いし、言葉はあんまりしゃべれないのが多いし、元戦争相手だして、すごい嫌われてるんだっけ。

 顔面偏差値低めのコミュ障かあ、確かに頑張ってイメージ変えてかないとではあるよね。

 ウチが知ってる魔族、って言うと、プリンみたいなオークとかゴブリンとか、あんま声が聞こえない幽霊とか、どっから声出してるの?って感じのスケルトン?骨、とかが大半で、ドラピッピ系は珍しい。

 ちなみにダントツ顔が怖いのはゴブリン系だよね。

 プリン居なかったらウチも引いてたわ。


 てかそれさあ。



「つまり、ゴブリンがぎゃん怖な顔してなければいい系?よーは怖くなくしよーぜ的な?」

「…そうだが」

「えー!」



 ウチ、そー言うのならちょー得意なんですけど!

 それならウチも、働けるかもなんですけど!

 あ、でもまず、アイテム揃えないと。







「…これは、一体…」

「あ、ドラピッピー」

「一体、何事なんだ。彼らを集めて、一体何を、」

「ドラピッピもやるー?アクセづくりー」



 持つべき物はプリン(まぶだち)だよね。



 この魔王城はすごい労働条件良くて、日が落ちて鐘がならされたら、大抵みんな仕事が終わりになる。

 で、そのあとはみんな好き勝手にやってるんだけど、最近は食料もちょっと乏しいしで、騒ぐ気にもなれないから寝るくらいらしい。

 いやこれプリンの言ってたこと丸パクだけど。

 じゃーさあ、暇じゃん?

 ウチの手伝い、頼めばしてくれるかもじゃん?ってことで。



「マオウサマー、バナナー!デコッター!」

「きゃーやるぢゃーん!バナナクリップにバナナアクセデコっちゃうとか天才ー!ぎゃんかわ!」

「まおうさまー、しゅしゅー」

「うきゃー!え、シュシュくまさんついてるー!鬼かわ!このくまどーしたのー!」

「おでたち、つくった」

「やばばばばば!」



 第一回、チキチキ!アクセづくりin魔王城、なうなうなう。



 つまり、ウチの考えはこうだ。

 顔がこわいんしょ?イメージ変えたいんしょ?

 それもうイメチェンするっきゃないじゃん???

 かわいいもの目一杯身に付けてー、メイクしてー、そしたら誰だって鬼かわぢゃん?

 フリルとか、レースとか?リボンとか、とりあえずかわいいものたくさん!

 でもそのためには、色々アクセとか小物がいるぢゃん?

 でもないんだよね、ここ。

 だから、手持ちのものを適当に持ち寄って、つくろーぜーって。

 プリンが、仲間に声をかけてくれたらしい。

 意外とメンバーがめっちゃ集まってくれて、三四人でやれたらなーとか思ってたから、そこはウチもビックリしてる。



「どーよこれ!アタシ的に神だわ」

「えー、コームギラッギラじゃん、それ研いた金属?攻めすぎじゃね?」

「いやいける」

「マジ?」



 なぜかヤマンバも一緒にやってくれてるし。

 ひろーい食堂のはしっこを陣取って、ウチらはこっそりめちゃかわアイテムの量産体勢をとってたわけ。

 ドラピッピにはバレたけど。


 ウチは全然知らなかったんだけど、ゴブリンとドワーフ、って小さい魔族、はかなり手先が器用らしい。

 木を削って、ベースになるコームとかクリップとか、一度イメージを伝えただけでバンバン作ってくれる。

 それを、ウチやヤマンバやプリンやプリンの友達がガンガンデコっていくスタイル。

 とは言っても、ビーズとか天然石!とか無いから、みんな思い思いに好きなものを布とかで作ってくっつけてる感じ。

 ちょー楽しいよね。



「鬼やば、プリンその花どーしたの。めっちゃクオリティ高くね?バラ?」

「どや」

「やべーわ、これはどやられても許せる。それどーすんの?ヘアゴムにすんの?」

「かちゅーしゃ」

「ぎゃんかわ」



 それまでウチ、ずっとウチ用にって貰った部屋と、勉強部屋となりつつある執務室、あと裏庭しか動いてなかったから、全然お城の魔族と話してなかったし。

 こーいうの、すごい楽しい。



「こーいうの、一杯つくってさー、みんなくっつけてたらそんな怖くないっしょ。ほら、ドラピッピもつくろーよ」

「…そう言うことか」

「後でメイクも教えるけどね。目指せぶさかわ愛され系?よゆーっしょ」



 ウチの隣の、ぼろいけどがっしりした食堂の木の椅子に、ドラピッピが手をかける。

 あ、座った。



「一応、お前の目的は理解した。まあ、やってみてもいいだろう。…どうしたらいいんだ」

「ほらー、ヤマンバー、ドラピッピの指名来たよー」

「え!ちょ、まじ魔王様ふざけんな!あ、ドライ様!あの、とりあえずこのかんざしを…!それで、私が、こう、」



 ヤマンバ口調変わってるんですけど。ウケるー。

 顔赤いし、ウチが隣の暮らすのリク様見てたときとにてるわ。

 リク様マジで麗しいから。エンジェル。王子。



「マオウサマー」



 オークを三分の一くらいに小さくして、声を甲高くしたのがゴブリンなんだけど、こいつらも結構、なれると可愛い。



「コレミテー!」

「えー、これビールとかのビンの蓋!?バッヂみたいになってるしー!やばばば!センス溢れすぎじゃーん!」

「コレモー!」

「あーガラスー!キラキラ!しかもうさちゃん一匹カチューシャについてるし!ちょ、これつけてみ?頭にうさちゃんついて鬼やば、激かわだしだし!」



 ろくな素材はないから、本当になんでもありのアクセだけど、まあみんな楽しそうだしいいかなって思うよね。

 てかこの状況ムービーにしたら、それだけで一発でイメージ変わると思うんだけどなー。

 スマホとかないのかな、ないか。



「…、……」

「あ、貞代ぢゃーん!なに、今度は何作ったの?」



 みんなのなかでも、特にウチ的にセンスがずば抜けてると思うのが、この(多分)幽霊の貞代だ。

 いや、名前は勝手にウチがつけたんだけど。

 でも本人もちょっと嬉しそうにしてたし。

 しろーいワンピースに、物すっごい長い黒髪、ちなみにサラストで足元はふわーっと透けてて、何徹目?って感じに目が充血しちゃってる貞代。

 少し前に流行ったホラーの幽霊そっくりだから貞代だ。

 ホットアイマスク、こんどしよーね。

 んだけど、この貞代、めちゃくちゃすごいのだ。



「うわ、クオリティたっか…やばばばばば…」



 この城、糸と布くらいしかろくな素材はないんだけれど、逆に糸と布なら色々ある。

 貞代は、色を選ぶのがめちゃくちゃ上手い上に、どうやってるのか、糸をガンガン織り上げて布系和アクセを産み出すのだ。

 しかも作業中は腕の早さが高速。ぶれてる。



「ヘアバンドじゃーん…、やば、かわ、ウチがほしい…貞代天才…?」

「…」



 カッ、て目を見開いた貞代。

 顔くっそ怖いんだけど、どうやらこれ、照れてるらしい。


 桃色を基調に、白いお花をたくさん織り込んで、その上白いコサージュまでくっついたヘアバンドはぎゃんかわ。

 大きい赤い目玉マークが一つ、ワンポイントって感じ。

 ゆめかわいい?そうそう、そんな。

 目玉マークは貞代的ブランドマークみたいで、貞代が作ったやつには全部入ってる。

 これがほんといい味出してるんだよねえ。



「よーし、じゃあ明日はみんなメイク講習だかんねー、遅刻したらみんなに奢りだよん」

「「うー」」



 とりま、魔王、仕事してるなう!


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