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ギャル子、デコる  作者: 金剛寺 兎丸
11/23

ギャル子、回想する

 

 いやごめんって、流石に悪口言ったのは謝るって。

 ごめんごめん、…嫌味やめない?





>絵比奏度 10

 ギャル子、回想する





 いや、今回の件に関しては、ウチが全面的に悪かったと思う。

 そりゃね、こそこそ陰険嫌味とか言われてたら怒るよね。

 ごめんって。

 謝るって。

 あと、かばう訳じゃねーけど、あのヤマンバの台詞も忘れてあげて。

 これもマジで。



「…別に、気にすることはないと思うが?正直な感想なんだろう。お前から見た俺は、陰険で嫌味だと。で、方やどじっ子、なるほど、仕事ができないと言う話か」

「いや…少なくともあれは誉め言葉っしょ…」

「どこがだ」



 お、女心のわかんないやつだな。


 執務室で、この世界の地図を眺めながらのかなりギスギスした勉強時間。

 不意に、いざ、と言わんばかりに机を挟んで私の前に立ったドラピッピは、眉間に海溝よりふっかそーなシワを刻んだまま口を開いた。

 うわ、こいついきなりシリアスぶちこんでくる気だ。

 何言い出す気だ一体。



「…どうせ、お前に良く思われようとは思っていないんだ。この際だから教えておくが。



 うん。



「俺は、お前を魔王と認めたわけではない」



 知ってた。



「歴代の王は皆、気高く、才に溢れた人だ。お前などがそこに名を連ねてたまるか。俺は、お前を認めはしない。ここに居ることに関しては、ばば様の裁定だから口を出しはしないが」



 めっちゃ知ってた。



「この国のことを教えろと言うなら、教えてやる。偽物だろうが、担ぐのならそれなりでいてもらわねば。だが、俺に忠誠を求めるのはやめてくれ」



 いつウチが求めたよ、そんなクソ重いもん。



「俺がこんなことを考えていたなど、能天気にその椅子に座っていたお前は知らなかったろうが…」



 本気で言ってんのこいつ。



「いや、普通に知ってましたけど」

「…何?」

「いやだから、普通に気付いてましたけど」



 というか、何?

 あんだけ嫌味ったらたらに、いやそーに接しておきながら、こっちに隠してるつもりだったわけ?

 ドラピッピ不器用かよ。



「眉間にシワよってるし、テンションクソ低いし。そりゃ気付くっしょ」

「…」

「でもまあ?ウチ偶然運良く転がり込んだ身だし?まあどう考えてもウチが悪いし、仕方ないかなーとなるべくこっちのノリはフツーにしてたじゃん」

「…」

「ウチは今日知ったけど、ウチ明らかに魔王じゃないっぽいんしょ。それ言わなかったってことは、お互い飲み込んで当たり障りなくやろーぜ、ってつもりじゃなかったわけ?」



 ウチ、行くとこ無いから、さらっと、ごめんなさいやめます!とはならないけど。

 そりゃ、偶然でもなんでも、手に入ったここにしがみつくけど。

 なるべく、そっちの邪魔になら無いようしてたじゃん。

 そうじゃなきゃ、とっくに戦争だわ。


 罪悪感が、無い訳じゃないし。

 でも、死にたくないし。

 なるべくって、思ってただけで。



「つかさ、今までのウチらの会話思い出してみ?ドラピッピ嫌いオーラ全開だったっしょ、あれで隠してるとは流石に言わせねーわ」



“ドラピッピー、ドワーフ?って、どっちの国に属してるんだっけー”

“俺達、ユグドだ。以前教えただろう、どうしてお前は一度で覚えられないんだか。あの人なら…”

“ごめんちゃー”



“ドラピッピー、この国ってさあ、何で経済回してんの?魔石でないんしょ?”

“魔族は身体能力が高い。人材を輸出する。魔石だけが貿易対象とでも思ったのか?あの人はそんな下らない質問一度もしなかったが”

“…ごめんちゃー”



“魔法かー、使えたらいーね。ウチ無理らしいけど”

“そのようだな。あの人は本当に優秀な魔王だったが。誰もが憧れたものだ”

“…そっかぁー”



 …あれ、ウチ、割と良く耐えてるな?

 マジで、良く耐えてたな?

 偉くね?まじで誰か誉めて、いや他人の家に転がり込んでる身だから仕方ないんだけど。

 いやでもおばあちゃんの許可は取ってるから。

 


「べつにー、まあそれでもいっかなー仕方ないかなーとは思ってたし?わざわざ言うことでもなくね?ただ隠してたつもりなのには死ぬほどウケる」

「…」

「まあウチもさっさと帰り道探して帰るし?それまでの短い間だけよろしくしてちょ」

「…そうか」



 うわ、ドラピッピガチでビックリした顔してるわ。

 ドラピッピの、睨んでない、呆れてない、うんざりしてない顔初めて見たくね?

 まじでこの人、隠してつもりだったの。

 ガチで不器用かよ、内心爆笑なんですけど。


 握ってた羽ペンを置いて、地図をドラピッピに返す。

 やっぱ、ウチの知ってる世界地図と全然違うのな。

 あーあ、早く帰りたい。

 でも、魔王様ごっこしてる間は、ウチも仕事は頑張らなくもない。


 で、さっきから気になって紙を一枚拾い上げた。

 ドラピッピが渡してきた、現在この国で、魔王様の名の元にドラピッピとおばあちゃん達がメインでやってる任務の一覧表とか言うやつ。



「じゃ、この話おわりね。ところでさあ、ドラピッピ」

「…なんだ」

「このさあ、OHG…オペレーション・ハートフル・ゴブリンとかいうクソダサい作戦の詳細知りたさマックスなんですけど、ウチ」



 魔王様の名の元、ってウチのセンスが悪いみたいじゃん。

 勘弁してちょ。


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