ギャル子、泥沼バトル
やばば、聞かれちゃったどーしよ、秘密にしてもらわなきゃーっ!みたいな思考より。
よっしゃこいつ叩きのめそう、みたいな思考が先立ったよね。
戦闘本能?的な。
>絵比奏度 09
ギャル子、泥沼バトル
「えー、魔王様ってぇ、偽物なんすかぁ?」
「えー、おばあちゃん曰くぅ、ウチが本物らしいんですけどー」
今時ヤマンバ系はないわー。
なんか突然後ろから現れて、ウチの話を盗み聞きしたあげく、喧嘩腰全開で話しかけてきたガングロ女は、ウチ的には分からない山姥系だった。
てかなんで黒でアイライン引いた上に目の回り五センチくらい真っ白にしてんの?
白シャドウ何つかってんの?テカってんですけど。
逆パンダ?愛されでも目指してんの?ちょーウケる。
大体その露出度バリバリな水着っぽい鎧(謎)は何なわけ、何も守れてなくね?
しかもそこにハイヒールのロングブーツを合わちゃうとガチ変態っぽい。
ヤマンバってかアマゾンの秘境とかに居そう。
「…フィオナ、ざま」
いやフィオナって顔かよ。
どうみても“ひなめろ”、とかやってるうちらの同族でしょ。
なんでそんな名前だけヨーロッパなんだよ。
キラキラ?キラキラネーム的な?
やばたん。
そしてプリンが若干照れ照れしてるのもやばたん。
マジで?
「はぁ?そんなテキトーな感じでドライ様に迷惑かけてるんすかー?」
そこ言及すんの。
「ドラピッピー?まあ良くしてもらってまーす。毎日勉強教えてもらってるわ」
「ドライ様は忙しいんだよ、てかなにそのふざけた呼び方。舐めてる系?喧嘩売ってんの?」
「べつにぃ、ドラピッピにドラピッピって呼んでも怒らなかったしー?要は仲良し的な?」
スゲー呆れた顔はされたけど。
そこは言わないでおこう。
つーかこいつ敬語取れてるんですけど。
余魔王ぞ?魔王ぞ?
「…はぁ?てかドライ様は優しいからお前に気をつかってんだよ、KYかよ」
「………はぁ?」
いやさすがに、笑うでしょこれ。
正直ここまで何が言いたいのかさっぱりわかんないんですけど、これだけは違うと言えるでしょ。
あとプリンガチでちらっちら照れっ照れしてるのやめて。
お前のダチ今割とガチで喧嘩してるから。
なんなのその、憧れの白崎さんが目の前に!みたいな時の男子の反応みたいなの。
マジでプリンこれ系が好きなの?真剣にやめた方が良くね?
まあとりま。
「ドラピッピとか世界一ノーと言える系男子っしょ、ウケるー!超夢見てない?それはなくなくない?」
「 は あ ? 」
「ドラピッピ、嫌なことは即効嫌って言うし、クソ顔に出るし、態度にもでるじゃーん。そんなウサギ系男子じゃねーし」
「お前がドライ様の何を知ってんだよ、アタシらにあんなに優しい御方に」
「何言ってんの、あのクソ陰険嫌味がなんだって」
「お前こそ何言ってんの!?あの方はまじ天界から下りてきた天使レベルガチエンジェルだし!?どじっ子だし!」
何言ってんのこいつ。
「大体その可愛い子ぶり全開なメイクちょー笑うんですけど。愛され(笑)?つけまキツくて爆笑じゃん、ドライ様に媚売ってんじゃねーよ」
「ごめんっちゃ化粧が上手くてー。そっちもほら、なかなか攻めてるメイクじゃん?アイライン歪んでるけど。顔描いてるときに地震でもあった?」
「髪形決まってないそっちよりましじゃね?ハーフアップで寝癖ごまかしてんの丸バレ。ファンデ既に鼻のとこ取れてるし?」
「ナチュラルにいくんですー、そっちの天空ペガサス盛りみたいな頭よりはましだわ。飴でものせてあげよーか?あとお前チークと口紅の色あってないんですけど」
「死ねよ」
「お前がな」
どうしよう、こいつまじで。嫌い。
そうだよ寝癖ごまかしてのハーフアップだよ。ほっとけや。
若干息を荒げるウチの袖を、不意にプリンが引いた。
「おにもり」
「ちょっと待ってプリン、ウチ今ガチで戦争してるから」
「そー、これはちょっときちっと覇権決めとくべきアタシらの争いだから。てかお前プリンって名前だったの?」
「う。…でも、どらいざま、いる」
「「…えっ」」
時計をみれば、勉強再開の時間はとっくに過ぎていて。
普段は仏頂面の癖に、なごやかーなくっそ怖い笑みを浮かべたドラピッピが後ろに立っていた。
「…陰険嫌味でエンジェルでどじっ子、随分と、面白い評価だな」
「「やばばば」」
鬼被った、やばばば。




