第42話: 咄 嗟 前兆…
前回は夏休み最後と、二学期始めと言う事で、休みにさせていただきました。
勝手に休んでしまった事、大変すみませんでした。
総ユニーク数を3万人突破、皆さんのお陰です!
ありがとうございます♪
これからもよろしくお願いします
結局、その異様な雰囲気のせいで、あまり味わえずにパフェを食べ終えてしまった。
「あの〜、せ、先輩?」
皆食べ終わり、そろそろ帰ろうとした時、叶が伺うように訊いてきた。
なんか、上目遣いががベーシック(基本)になってない? まぁ、身長のせいなんだけどさ…。
「どうかした?」
俺がそう言うと、頬を紅くしながら叶は言った。
「えっと……この後、途中まで……一緒に帰りませんか?」
ドキッ
その時、俺の心臓が大きく跳ねた。
「ぇ…あ、あぁ…いい…ょ…////」
俺はなんでこんなにドキドキしてるんだ? うわ〜、絶対に顔が紅くなってる…。
俺はどうにか叶から顔を逸らして、言った。
「…いいよ、途中まででいいなら…一緒に帰ろう?」
どうにか言葉を絞りだして言ったのはいいが、叶を見れない。 顔の紅みを落ち着かせようと心みながら、ふと前を見た。
「………」
麻美がこっちを見ながら、顔を少し歪めていた。
「どうかしたのか、麻美!?」
俺は驚き、テーブルから乗り出して顔を近づける勢いで訊くと…
「う、うう煩い! 真っ赤な顔をこっちに向けるな!」
と言われ、むんずと両手で顔を掴まれたかと思ったら、ぐりんと強制的に叶の方を向かされた。
「ふはへ、ははひ〜(はなせ、麻美〜)」
「ぷっ…ふふふふ…先輩、その顔…♪」
叶が俺の顔を見ながら、笑っている。 正直、恥ずかしい事この上ない。
俺は麻美の手を掴んで、顔から放した。
「ふ〜、急に曲げやがって。 折れるかと思ったじゃねぇか!」
俺は顔が解放された瞬間、そう言いながら麻美を睨んだ。
「煩いな〜…、私は先に帰るから…」
そう言って立ち上がり、麻美は歩いてリムレットから出て行っていまった。
「…あれ? もしかして、払うの結局俺?」
くそ〜、してやられたー…。
窓から外を見ると、麻美が手を合わせて、何かを喋っていた。
「ん? ごちになりました……って、やっぱり!」
俺はもう数えるのすら止めてしまった溜め息を吐くと、目頭を押さえた。
「あの、先輩?」
叶が心配そうに顔を覗き込んできたので、俺は慌てて叶の方を見た。
「あぁ、大丈夫、大丈夫! んで、何?」
あぶねぇ、あぶねぇ…。 また顔が紅くなる所だった。
そんな事を考えながら、俺は叶に訊いた。
「先輩、外で待っててください。 着替えてきますから♪」
そう言って奥の方に引っ込んでしまった叶。
なんか、俺独り取り残された感じだな。 麻美は……やっぱりもういないか…。
俺は会計を済ませて、外に出た。
外は紅かった。
「…夢の中の夕日に近い感じだな。……!?」
くらっ
「なっ…!?」
急に頭がくらっときたかと思ったら体が傾いた。
「…っと、危なかった…」
咄嗟に壁に手を着いたから良かったが、いったい何だったんだ?
意識が遠のきかけたせいか、少しぼぉっとする頭を気遣いながら、軽く頭を左右に振った。
「先輩? どうかしました?」
着替え終わった叶が心配そうに寄ってきた。
なんだか、今日は叶を心配させるような事ばかりしている気がする…。
「大丈夫だよ♪ さっ、行こうか♪」
そう言って俺が歩き出すと、叶も横に並んで歩き出した。
叶はやっぱり性格もあってか、歩くのがゆっくりとしている。
だから俺はその速さに合わせ、叶が前に出たり、遅れたりしないように気遣って歩いた。
「先輩、ありがとうございました♪」
俺の家から少し歩いた場所、そこに叶や奏さんが住むアパートがあった。
「いや、どういたしまして♪ そういえば、奏さんは?」
今日、奏さんがバイトにいなかったのが気になった俺は、奏さんが溺愛する叶に訊いてみた。
「お姉ちゃんは大学の宿題に追われちゃって……」
「あ…そうなんだ…」
奏さんなら有り得るな……いや、絶対夏休みの終わる一日前に宿題やる人だな…。
「ぁの、先輩…」
叶がモジモジとしはじめたため、奏さんの事に関する思考を止めた。
「ぁの、ぇと……また、一緒に帰ってくれますか…?」
ドキッ
その言葉を聞いた瞬間、俺は叶を抱きしめていた。
ぎゅぅっ
「せ、先輩!? ど、どどどどうしたんでふか!?」
ヤバい…可愛すぎる…。 かんだ所も可愛い…。
「叶が可愛かったから…ついな…♪」
叶の体を解放したが、自分自身が顔を真っ赤になってしまったせいで、叶を直視出来ない。
「せ、先輩! あの、ありがとうございました!! それでひゃ!!」
そう言うと、叶はアパートの中に入って行ってしまった。
「最後までかんでたな…♪ でも、嫌われたかもな〜……はぁ〜、ショック…」
俺はそう真っ赤な空に向かって言葉を発しながら、傷心した心を引きずりながら帰った。
来週からはまた、毎週更新していくつもりです。