第39話: 入 部 名貸し…
未だに話し中は五月ってね……。
作者、久しぶりにポケモンに夢中になってます♪
なんで、ポケモンは何時も楽しいんだろう…。
「さて、そろそろ本題に移ろう!」
今までのシリアス感をぶち壊すような明るい顔で、会長は俺達を見回した。
今までのが本題じゃないのかよ……と、心の中でツッコミをいれながら、俺は会長を見た。
「今のが本題じゃないのかよ!」
直樹がこれ見よがしにツッコミを入れるが…
「ハハハハハッ! 誰もそんな事言ってないじゃないか! 人の話しはちゃんと聞いた方がいいよ?」
ははは…また落ち込んじゃったよ、直樹。
「…本題と言うのは…なんなんだ?」
和磨が嫌そうな顔して会長に訊いた。
俺もどうせ、下らない事だと確信はしているが、耳を傾けた。
「うむ! そういう事だから、この紙に名前を書いてくれ!」
そう言って会長が渡してきた紙には『入部届け』と書いてあった。
まて、何がそういう事なんだ? しかも、何故入部しなきゃならん!
「つ、付いていけない…」
流石の直樹も会長のペースにはお手上げらしい。 げっそりとした顔でそんな事を呟いていた。
「まぁ、君たちも理由が聞きたいと思うのでね! 聞きたいかい?」
そう言った会長の顔は、嫌なニヤケ面だった。
絶対に訊いてはいけない……訊く事は敗けを意味する…。
俺の危機回避能力がそう言ってくる。
「教えてくれ!」
そう言い出した直樹は完璧な、罠に掛かった獣だ。
「なら、しっかりと頼んで欲しいね! お願いします、会長様とでも言って貰いたいものだ!!」
会長が勝ち誇った顔で叫んでいる中、俺と和磨は直樹にアイコンタクトで合図を交わし、部室のドアに向かった。
アイツに関わったのが間違いだったよ…。
「さぁ、私に頼んでって……え、ちょ、待って? 君たち、何処に行こうとしてるのカナ?」
俺達がドアを開けた時、ちょうど気付いたのか会長がかなり動揺しながら、俺達を呼び止める。
「……けっ」
「……ちっ」
「………おしい」
「聞こえてるよ!? 悪態つかないでくれるかな!? おしいって何よ、おしいって!」
「…早く理由を言え……そして、何故入部届けを出したかを…」
さっき、おしい発言をした和磨がたまに見るイライラした不機嫌な顔(まぁ、普通の時の顔とそれほど変化ないんだけど)で会長に振り返りながら訊いた。
「いや、ね? 凛矢きゅんのお父さんがこの部の出身だし、チミ達は部活に入ってないみたいだからね? この部は見ての通り、二人しかいないから、入部してくれるよね!?」
か〜な〜り、殴りたい衝動に駆られながらも、会長の説明を聞いた俺達は…
「「「やだ!」」」
と、三人でハモりながら嫌そうな顔全開で断った。
嫌に決まってる…。 只でさえバイトもあるし、未来が心配なのに、そんな事に時間を潰したくなんてないっつーに。
「そ、そんな! これほどまでに頼んでいるのに! 鬼!悪魔!鬼蓄!ドS!」
な、なんだそりゃ……小学生かコイツは…。
「会長、まだしっかりと頼んではいませんよ…」
今まで静かにお茶を飲んでいた副会長が会長をそう宥めた。
しかし、この人……なんで落ち着いてお茶を飲んでるんだ? 今までの俺達のやり取りを見てたのに……この人も何かがズレてるな…。
「三人共! 頼む! 名前だけでいいから書いてくれ! 一人に五枚づつ食券をあげるから!」
会長は顔の前で手を合わせながら、生徒会長とは思えぬ発言をしだした。
「のった!」
そして、のせられたバカが一人…。
「副会長…会長を止めた方がいいんじゃ…」
この状況を打破出来るのは、副会長しかいないんです…。
「今はオフですから、副会長としての仕事は無しです………めんどくさぃ…」
副会長は最後小さい声で呟いたが、バッチリと俺には聞こえた。
副会長……僕は貴方が何のキャラかわかりません…。
「…でも、まぁ止めてあげます。 凛矢さんの頼みですから…。 ………会長、煩い…」
ゾクッ
さっきまで微笑んでいた副会長から、ヤバいほどの負のオーラが現れた。 しかも、微笑んだままだから余計に怖い…。
「は、はひっ!」
会長はピンッと背筋を伸ばして上擦った返事をした。
よく見ると、俺達皆が、背筋を伸ばして固まっている……会長をも簡単に静かにさせるなんて……怒らせないようにしよう…。
「…で、やっぱり駄目かい?」
さっきの事があったせいか、さっきよりも小さい声で伺うように訊いてきた。
「…はぁ〜…わかった…名前を貸してやる…」
「本当かい!? ………キラキラ…」
和磨が根負けした後、会長は無言で俺の方を見た。
くっ、そんな捨て猫のような目で見るな…。
「あぁ、もう! わかったよ! だがな、貸すだけだぞ! 活動には参加しないぞ、忙しいから」
はぁ〜、そんな目で見られたら、断った時に悪者になるだろう…。
「本当かい!? 流石は我が親友の三人だ! 何時でも、この部室に来てくれて構わない! 自由に使ってくれ、お菓子もあるからね!」
もう…関わりたくない……。
俺達はあれから、入部届けを書き、改めていろいろな説明をしてもらってから部室を出た。
「もう、夕方だな…」
直樹が外を見ながらそう呟くと、俺も窓の外を見た。
綺麗な夕日がその窓から広がっていた。
「…あの部屋は暗かったからな…気付かなかった…」
俺達は靴を履き替えて外に出た。
「…? あれって麻美と美香じゃないか?」
一足先に昇降口を出た直樹が、校門を指さしながら言った。
「まぁ、行ってみるか…」
俺はそう呟きながら、もしかしたら麻美が俺を待っていたのかもと思った。
そして何故か、足が早まり軽い駆け足で、二人の女の子が立つ校門へと向かった。
そろそろ、夏休みも後半になりますが、宿題が終わらない作者…。
怠けすぎですね…(>_<)