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第七話:神魔との契約

石版と…カード?


えーっと、ああ、まず石版に両手をつけるんだったな。

そんで…

「我、此処に契約を(こいねが)う者なり!」



ーーーーーーーーー


気がつくと白と黒で別れた世界のちょうど中心に立っていた。

目の前にはどこまでも続く境界線とその脇に並ぶ多くの石像。

資料によるとこの一体一体が何かを司る神、そして悪魔なのだそうだ。

契約できるのは一体だけ。一生涯契約は破棄されず、また塗り替えられることはない。

神でも悪魔でも契約内容はしっかり確認し、自分のスタイルにあった加護を得られる者と契約するよう、慎重に選ぶようにと、注意書きが書かれていた。


とりあえず適当に石像の前に立ってみる。


神側にある一体で、筋骨隆々、手には大きな槌を持ち、石像だというのに全身からピリピリとした威圧感が感じられる。


精巧な作りに目を奪われ、じーっと眺めていると石像の前に、石像が模したであろう人物が光とともに現れた。


『駄目だ』

「えっ」

『貴様とは契約は交わせぬ』

「え、ちょ、はい?」

『我は戦の神。加護は身体能力の向上と武芸の才を引き出すこと。我と契約を行う者は、戦で負けることは許されぬ。しかし貴様は戦には向いてはおらぬのだ。戦における才覚が微塵も感じられぬ』


すごいや!契約したいなんて言ってもないのにボロクソだぜ!


『貴様が神魔を選ぶように我らもまた、契約者を見定める。我に限らず、皆そうだ。契約者を失えば格が下がるからな』

「…格ねえ」

『…貴様が殺した吾郎こそ、我が契約者であったのだ。あやつは武芸に長け、戦を好み、我に満ち足りた時を与えてくれた。あやつほど、我を楽しませてくれた者は創世の時より数えてもそうは居らなんだ。よもや貴様のような貧弱そのものに、殺されるとは思いもよらなかったわ』


ああ、そういう…


『兎に角だ。我は貴様と契約する気はないのでな。他を当たれ』

そういうと光ともに、石像に戻ってしまった。


なんだよ才覚が微塵もないって。

そりゃ体育とか部活とか真面目にやってないけどさ…

無いな、うん、才覚無い。


戦の神にボロクソに言われたあと、とりあえず気になった神や悪魔に話を聞く。


豊穣の神

『申し訳ありません、貴方とは契約出来ませんわ』

偽証の悪魔

『あー、アカンアカン。他当たって』

食の神

『才能無いアル』

博打の悪魔

『勝て無い勝負はこれ、しないのが一流なんだな』

海の神

『貴様海を舐めておるな?』

災厄の悪魔

『あれかお前、今ヤケだろ』


慎重に選べったって!

誰も契約してくれないじゃないか!!!!!

なんだこれ!!!!


三十体を越えたあたりから、自分の才覚の無さに嫌気がさしてきた。

トボトボとひたすら境界線を歩く。

どこまでもどこまでも続く境界線と神魔の像。

こんなにいるのに誰も契約してくれないってなんなんだ。

何もかも嫌になって、その場にゴロンと横になる。

何処と無く、石像からの視線が痛い。


自分に出来ること、向いていること、長所…

自分のことをこんなに考えたのは久し振りだ。

とにかく、気を取り直して契約してくれるやつ探さなきゃな…



槍の神

『持ったこともねーだろ。帰れ帰れ』

剣の神

『騎士道精神のなんたるかを理解してからだな』

罠の神

『繊細さと慎重さが足りないわねー。そうね、適性は2割くらいかしら』

鳥の神

『クアー』

貧乏の神

『出雲のそば屋買ってからこいやど素人が』


悪食の悪魔

『ぶっひひwもっと食えるやつじゃないとねえwww』

疑心の悪魔

『なんか足りねーんだよな』

後悔の悪魔

『後悔させるのはいいけどしたくはないのさ』

悪戯の悪魔

『ん?する?いいよ』


はあ、だめか…

何がだめなんだろう…

…ん?


『ん?』

「契約してくれるんですか?」

『ああ、俺はいいけど』

「やったああああああああああ!」


遂に俺にも春が来た!!!!『おい』

長かった無職(?)もこれで終わりだ!『ちょっと』

あー次は何だったかn『聴けや!!!!!』

「はいぃ!!!」

『お前さ、契約する時ちゃんと契約内容聞けって言われなかった?』

「言われ、ました…」

『俺はいいけどお前が納得しなきゃ契約しても使われないだろうし意味ねーんだよ』

「はい…すいませんでした…」

『はあ…じゃあ説明すんぞ。

俺は悪戯の悪魔だ。加護は存在感の希薄化と濃密化だ。

俺と契約する者に望むのは"驚き"。

人でも魔物でもいいからとにかく驚かせろ。

勿論俺を驚かせてくれてもいいぞ。

それに応じて加護が強化されるから、加護を上手く使って是非多くの"驚き"を寄越せ。

こんなとこだが、質問あるか?』

「加護が相反する気がするんだけど…」

『加護は常時発動じゃねえから、必要に応じて発動させるんだ。使用できる時間も最初は短けえし効果も薄い。だからこそどんどん使って強化することをお勧めする。』


なるほど…驚き、か。

そういえばちっちゃい頃、後ろからじいちゃんの首に蛇巻きつけて死ぬほど怒られたり、寝てるじいちゃんの上にガマガエル置いたりして死ぬほど怒られたり、じいちゃん靴の中にカメムシ入れて死ぬほど怒られたりしたっけ…


『お前俺が言うのもなんだけど最低だな』

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