1st movement Michi-4
…あー呆れた。まだ泣いているよ。実知が考えている間ずっと泣いていたの?確かに夢みたいだけど、起こっちゃってる以上は泣いてもどうにもならないのに。でも、藤岡さんは泣いている間は全然話聞いてくれないし、無理やりにでも聞いてもらうような勇気はない。
頭使ったし、なんか少し疲れたみたい。屋上の淵に座った。足をぶらぶらさせながらなんとなく三年生校舎の方を見る。さすがに教室の中までは見えないか。視力良くないしわかっていたけど、完全に特殊な状況だから補正かからないかなって少し期待していた。やっぱり中がどうなっているのか気になる。早く行動しないといけないのはわかっているけど、どうするか考えたくせに動けない。一人で行くのは怖いと思うし、泣いている藤岡さんに声をかけるのも気が進まない。実知が動かないと状況が悪くなるのはわかっている。
…こういうときにサクッと動けないからだめなんだよね。うん、動くよ。もう泣いているならほっとこう。話す時間がもったいない。ここに座ってた時間、ちゃんと取り戻せるペースで行動しよう。大丈夫、いける、どうにかなる。
「よし」
この声を機動力に立ち上がる。ちゃんと自分の気持ちを持ち上げたからもう大丈夫。でも、ここで学校の空気感が変わったのがわかった。いろいろなとこから悲鳴や叫び声が聞こえてくる。
「実知ちゃん、後ろ!」
この声は、ゆめのん?
うし…ろ……?
振り返った途端、実知の体は空に投げ出されていた。
…ああ、落ちている。
…いや、落とされたって方が正しいよね。
…わかってたよ、こうなるの。
そーんな顔してるけど、本当は悲しくないんでしょ?
だって、藤岡さんだよ?自分の身がかわいいに決まってる。
あ、そうか、実知を落とさないと自分が死んじゃうって立場になった自分がかわいそうなんだね。
…死ぬってどんな気持ちか想像できなかったけど、今ならわかる気がする…。
怖いんでも、悲しいんでもない、たださみしいってだけなんだ…。
……ありがとう………。
久しぶりに投稿しました。時の流れが速くてびっくりです。もっとゆっくりでいいのに。そして、この物語の時の流れはすごくすごく遅いですね…。やっとprelude回収です。
同じ状況でも人によって思うことは違います。実知はさみしいと感じたみたいです。そして、さいごの言葉はありがとう。誰に向けてなんでしょうね。
落とした子、落とされた子、それぞれ気になるところではあるのですが、ひとまず別の子の視点に変わります。