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虹音  作者: 知奈津
3/7

1st movement Ayame-2

「そういえば、また吹奏楽すごーく怒られたらしいね」

「それ、誰に聞いたん?」

「え、誰って同じマンションの子だけどさ、つかりんはさくちゃんに聞いてないの?」

 彩桜は二個下の妹で、ユーフォを吹いている。

「昨日は勉強で部屋にこもってたから話してない」

「なにそれまじめかっ!なんかね、課題曲の合奏がどれも悲惨だったってさ」

 そうか、もうそんな時期なのか。

「懐かしいよね。去年一番悲惨だったのはてぃだだったよね?」

「せやな。拍子変わった途端に総崩れやったな」

 その総崩れやった曲を選んで県大会まで進んだのは今思ってもすごいわ。

「あれはボーンのメロディーが入れなかったとこから崩れたはず。譜読みでいまいちつかめないうちに合奏始まったから…」

「そのあとのホルンも入れんかったけどな。やっぱりあれは楽譜もらったその日に合奏ってのに無理があるで」

 実知はトロンボーン、うちはホルン。ここの吹奏楽は文化部じゃダントツ、運動部にも引けを取らない厳しさやった。その中でも実知はかなり苦労してた。でも、当時も今も苦しそうに見えないねんな。周りが気にしすぎってこともないと思うんやけど。少なくともうちが逆の立場やったら耐えられへん。

「つかりん?おーい」

「あ、何?」

「何って聞いてなかったでしょ?」

 図星やった。

「もう学校着いちゃったじゃん。なんかさ、静かじゃない?」

「うちが?」

「つかりんじゃなくて学校が。普段はもっとにぎやかだよ」

 言われてみればその通りや。

「こんなに晴れてたら警報とかじゃないだろうし、今日って朝練ない日?」

「彩桜は朝練行ったはずやで」

 楽器の音は全く聞こえない。それどころか、ランニングの掛け声も聞こえない。

「んー変なの。まぁいっか。じゃあ昼休みにでも沙里の予定聞いてみよ。じゃねー」

「了解、またあとで」

 実知は四組、うちは一組へとそれぞれ向かう。

 いつもと同じ光景。

 当然この後もいつもと同じ一日が始まると思ってた。

 教室のドアを開けるまでは…。


 やっと学校に着きました。遠いのは大変だけど、その分いろいろ話せたりして楽しいんじゃないかなって思います。

 ユーフォとは、金管楽器のひとつ、ユーフォニアム(ユーフォニウム)のことです。私の学校ではユーフォニウムと呼んでました。ボーンはトロンボーンの略です。トロンボーンも金管楽器で、スライドが大きな特徴です。そして、ホルンも金管楽器、よくカタツムリに例えられる形状です。ちなみに、彩芽には姉がいて、トランペットを吹いています。三姉妹そろって金管楽器です。

 てぃだ。懐かしいと感じる方もいるでしょうか。吹奏楽のための民謡「うちなーのてぃだ」です。2010年のコンクールの課題曲です。中学生にとっては結構難関な曲だったのではないかと思います。というわけで、この話は2011年のことになります。

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