第三話
「ユウーッ」
外に出ると、誰かがこちらに向かって走ってきた。
「…副船長…」
男の人は、ミリアの手を離してそう呟いた。
副船長…?
ということは、この人たちは海賊…?
副船長と言われた男の人は私たちの所まで来ると、ホッと溜め息をついた。
「お前も彼女も無事みてぇだな」
「はい。副船長もご無事のようで」
「ああ」
どういうこと…?
この人たちも私のことを知っているの…?
ハッ!
今はそれどころじゃない。
オリヴァンダーさん!
「あのっ!まだ中にオリヴァンダーさんが!」
私がそう叫ぶと、後ろから、今一番聞きたかった声が飛んできた。
「ミリア!」
私は弾かれるように後ろを振り返った。
「オリヴァンダーさん!」
私は叫んで、オリヴァンダーに飛びついた。
オリヴァンダーさんはそんな私を、優しく抱きしめる。
私の瞳からは、ボロボロと涙が零れ落ちる。
すると、オリヴァンダーさんは私をそっと離して、後ろを向いた。
私も釣られてそちらを見る。
そこには、三人の男の人が立っていた。
「ありがとう。私とこの子を救ってくれて」
すると、中の一番年が若そうな人が、口を開いた。
「いいんですよ。困った時はお互い様ですから」
その人はそう言ってニッコリと笑った。
「詳しい話は後だ。とにかく、ここは危険だ。俺たちの船まで行く。グラックスさんが向こうで待ってる」
副船長と呼ばれた男の人がそう言った。
私たちもそのあとを追った。