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(改)4/26
表示形式の変更に伴った改稿です。
洗い物が終わって、テレビを見ながらソファでくつろいでいると姉が風呂から上がってきた。
時刻は一八時を過ぎた頃。
やっと心から落ち着くことができそうだ。
「それにしても広い家だな」
俺の邪魔にならないように、テレビの前に立って缶ビールを仰ぐ姉にさり気なく話しかけた。
一応、さっきの反省と謝罪の雰囲気も込めて。
「だから、あんたを呼んだんだけどね」
「そうか。あと、彼氏とか連れてくるんだったら先に言ってくれよ。ちゃんと出てるから」
気を使ったつもりだったが姉はビールを吹き出すように笑った。
そんな変なことを言ったつもりはないが……。
「いやいや、いないからそんな心配しなくていいわよ。あんたこそ彼女連れてくるなら言ってよ?
料理頑張って作るから!」
「なんだよ出てってくれないのかよ」
「良いじゃない、人数多いほうが楽しいし」
「少しは空気を読もうぜ」
「はいはい分かったわよ、うるさいなぁ。
――ところでさぁ、あんた彼女いるの?」
姉の目が一瞬マジになった。自分の知りたい情報がある時になる目だ。
平然を装ってるつもりだけど、実に分かりやすい。
「いない」
事実を述べた。
すると、姉は追求することもなく、落胆したのか肩を落とした。
「なんだ、おもんな」
「そうですね、弟は面白くないですね。面白いお姉さん」
嫌味っぽく言うと、姉の顔がこっちを向いてムッとした後、また残念そうな顔をしてため息をついた。
俺もため息をつきたかった。
結局、二人共面白くないのだから。