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【47】グレイス男爵家



――――久々の辺境。普段はなかなか帰ることのない実家にも顔を出すことにした。


母さんとシェリル、リュヤーを連れて男爵家に顔を出せば父さんや弟のナル、うちの治療士や使用人たちまで歓迎してくれた。


「お前は全然帰ってこないから」

「悪かったって。手紙は出したろ?」


「そうは言っても実際に会って話すのとは別だろ?ナルも寂しがっていたんだから」

ナルはリュカさまと同じ12歳。二次性はアルファである。


「ごめんな~~、ナル~~!兄ちゃんはナルがだいちゅ……っ」

「やめろバカッ」

「んぶっ」

兄ちゃんに『バカ』って……。しかも頬ごと押し退けるなよな!?


「悪いな、ちょっとした反抗期なんだ、シェリル」

驚いちまったか?

「そうなのですか……?」

「うんうん、ぎゅーしてやろうとすんのにすぐ逃げる。代わりにシェリルをぎゅーしようか?」

「そ、それじゃぁ……」

シェリルをぎゅーしてあげればやだこの子かわいい。なでなで。


「なん……っ、シェリル兄ちゃんまで懐柔されてるっ」

懐柔って何だ?


「もしかしてとは思ったけど、やっぱり遺伝だね」

リュヤーが嘆息する。


そうこうしていれば、アーサーも男爵領にやって来たようだ。辺境伯領とは近場だからアーサーの翼ならすぐだな。


「お待たせ……って何故シェリルを抱き締めて……な、泣いてはいないのか」

抱擁を解けばシェリルの顔を覗き込みホッとするアーサー。


「もちろん。シェリルを泣かせたらたとえリュヤーでもお仕置きだ」

「泣かせることなんてないよ」

カラカラと笑うリュヤーだが、母さんの笑顔にびくんとなったな。泣かせたらまず母さんにお仕置きされるだろうから。


「さて、アーサーは一度王都に向かうのか?」

「ああ。一度魔法で無事だと通信はいれたがあちらにも心配をかけてしまったからな。けれど遠征の期間はまだ残っているので銀竜がお詫びに往復してこちらに戻ってくる」

ならパッと行って報告もしてこられるか。


「なら俺も合わせて戻るよ」

元よりそのつもりだったし。


「え、もう行っちゃうの?」

ナルが驚いたように告げる。


「こっちにも仕事で来ただけだからな」

アーサーを迎えに来ると言うな。


「……そう」

「何だ、寂しいのか?ナル~~」

「そ……そんなんじゃ……っ」

けれど手を伸ばせば、なでさせてはくれるらしい。


「休暇が取れたらまた帰ってくるよ。ばあちゃんに頼めばすぐ往復できるし」

今は発情期で籠っているが、発情期が明けた頃にまた連絡しよう。


「分かった……けど」

「ん」

「寂しいとかそんなわけじゃないから」

「わぁったわぁった」

素直じゃないが相変わらずかわいい弟だ。


「うーん……何だか俺も弟が恋しくなってきた」

「なら、顔を見せに行ってやれ。心配してたぞ」

「ああ」

家族に別れを言い、俺は王都へと戻る。


「でもあんた、いい加減そろそろ答えを出しなさいよ」

母さんにはバレバレであったようで。


「その……アーサー」

銀竜の元に向かう道すがら、ついつい名を呼んでしまう。

「答えは急がない。だがこれだけは言わせてくれ」

立ち止まったアーサーが俺に向き直る。

「……?」

「今回は助けられてしまったが、辺境の民のため、オメガのため、神竜に立ち向かうあなたは間違いなく俺が好きになったあなただ」

「……おまっ、もう、バカッ」

俺は銀竜と共に待っていてくれたコンラートさんの元へ駆けていく。


――――『好き』だなんて。いきなり言われたら心の準備も何もあったもんじゃない。



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