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【BL】オメガの最強騎士は苦悩する  作者: 夕凪 瓊紗.com
第2章

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【27】近衛騎士の務め



――――その後アーサーとユラさまは視察をこなし、近衛騎士と騎士団は仲良く準備に勤しんだ。


「こらっ、いいこにしないとロシェさんに項を噛みちぎられるからな」

「俺たちの経験ではあいつは確実に……やる」

『ひいいいぃっ!?』

ふむ……ベテランたちはよく分かってるようで、後輩たちの教育にも抜かりはないようだ。


「ロシェ殿のお陰で近衛騎士や騎士団員もとても協力的な関係を築けましたよ」

「それは良かった、ギルバート」

ギルバートにもたくさん感謝されてしまった。さぁ~~て、これでうちの親分も重荷をおろせるだろうなぁ。

あとはユラさまに王宮まで付き添って、それからリュカさまのもとに……。


「その、ロシェ。王宮に戻ったら時間を作れますか?」

そう思ったらアーサーが俺を引き留める。

「は?やだやだ俺はリュカさまに会いたいなでなでしたい」

「……いえ、その、真面目な話をしたいのですが」

「……逢い引きとか言いやがったら絞めるぞ」


「それが不敬罪にならないのが心底不思議ですが」

「ふん。近衛騎士と言うのは主に忠誠を誓い命を懸けてお守りする。そして主が道を誤った時は諫めるのも大切な務めだ」


「もうそのような間違いはおかしません。そのようなことをやってもあなたは絶対に私の番にはなってくれない。むしろ私が項を噛みちぎられる可能性の方が高い。ご安心を。建国祭全般のの警備に関することでコンラートも一緒です」


「ふぅん。分かっているなら立派だ。仕事の話なら行ってやろう」

「ええ」

ちょっと前までは番だの何だのこだわっていたくせに。そうじゃないのなら……俺も近衛騎士の務めを果たせたってことでいいだろうか。


※※※


――――王城


俺は人払いの済ませてある第2王子の書斎に来ていた。中にはアーサーとコンラートさんだ。


「警備の打ち合わせだったな」

「ああ。特に……隣国デゼルトについてだ」

ユラさまの祖国である。

ペラペラと資料を眺めながら使節団の名簿を見る。外交官はアルファ中心、騎士はアルファ、ベータの使用人はいるがオメガは……いや、ひとり。側仕えか……珍しいな。何故なら。


「あの国はオメガの地位が低い」

アーサーが告げた通りだ。

性別や二次性で地位や待遇を分けると言う考えは異世界にもある。いくら性の平等を掲げてもままならないものだ。地球だって……そうだろう?


「アルファが偉くてオメガは卑しい……か。だがそれはデゼルトでの話だろ?」

絶対王政が当たり前なこの異世界では優秀なアルファほど重宝されるし貴族もアルファ中心。そこで国民の大多数であるベータや稀少なオメガをどうするかはその国次第。


「そうだ。だがうちの国を訪国するデゼルトの使節は義兄上を正妃として扱ううちには納得できないようだ」

「それがなんだ。うちはうち、よそはよそ。デゼルトがうちに抗議して何かしらのアクションを起こすとしたら逆もまたしかりだろ?だが魔物との戦いで手一杯なのに人間同士で争うわけにはいかない」

だからこそ表面上の平和は必要だ。他国に過干渉することはこちらも過干渉されるということだ。そんな国家間の争いに犠牲になるのはいつも無力な平民や子どもたち。


「さすがはロシェだ。揺るぎないな」

「だてに辺境暮らしが長いわけじゃない」

強いのは爵位の継承権を持つアルファの男だけじゃない。強い女性もいるしベータでも血のにじむ努力をしてアルファに追い付こうとする。


「俺はこの国が好きだからな」

陛下や歴代国王がオメガの妃を重宝してきたことがオメガと言う性を守っている。


「ユラさまもこの国の王太子妃。ならば守る。デゼルトが今さらユラさまのことを言ったってもはやうちの国民なのだからどうだっていい」

「ロシェならそう言って義兄上を守ってくれるだろう?オメガの騎士にしか出来ないことがある」


「そうだな。だから、建国祭では任せな」

「助かる。だがひとつロシェの耳には入れておきたくてな」

「……どうした?」

「この前リュカが作ってくれた菓子……あれはデゼルトのものだ。昔兄上がデゼルトと交渉したうちの外交官にもらったと見せてくれた」

「ああ、教えた侍従はデゼルト出身だ。ほかにも出身者はいるな」

主にさきの一件で助け出したオメガたちの中にいた。当然ながらみな帰国は拒否した。


「デゼルトはさきの一件を聞き付け保護したオメガたちを引き渡すよう求めてきた」

「オメガの地位が低い国で何のために?みなうちで暮らすことを望んでいるし職も得ている。彼らの意思を無視してたいそうなことで」


「オメガの男は次代にアルファを産む確率があがる」

しかし決して正妻にはなれず、へたしたらアルファのスペアを産むためだけに置いておかれる愛人だ。姫ならば外国に嫁げる。しかしうちの王太子殿下が正妃にしたのは予想外だったろうな。


「けれどオメガにだって意思はある。むしろ王妃の母上もオメガだと言うのによくもまぁ。もちろん兄上が丁重なお断りの文を出した。……が、警戒するに越したことはない」

「そうだな。やっと安心して暮らせるようになったのに」

再び彼らを脅かすと言うのなら容赦はできない。



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