毛虫は。
子供の頃、クワガタやカブトムシを捕まえようと木を揺すった。もっと揺らして木から落ちて来いと木の幹を蹴っ飛ばした。大きな毛虫が落ちてきて、恐怖でかがめた頭に落ちて、首に落ちて地面にはねた。
皮膚は痒みをともない赤く、かぶれた。
中学校の校庭の周りの生け垣の下の草取りの時間。ジャージ上下に着替えて、草取りしながらクラスメイトとおしゃべりをしていた。話に夢中になって手がとまっていた。クラスメイトが驚いた表情でこちらを指さしている。
手の甲と指先にもぞもぞと何か蠢いている感触がある。
ふと視線を移してみると。無数の小さなチャドクガの毛虫がモソモソと左腕を覆っている。鳥肌がたち恐怖と焦りで腕を振り、払った。
皮膚は痒みをともない赤く、かぶれた。
そんな私の過去のトラウマを知ってか知らずか。孫は毛虫のキャラクターがプリントされた帽子をプレゼントしてくれた。
ちょっと照れながら頬を赤らめ、被れた。