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14話

 ほとんどの選手は魔力(マギ)を荒らしてあげるだけで簡単に巻けたのですが、やはりリーダー格なだけあって一人だけわたしの走りに食らいついてきました。やりますね。


「それだけの腕があるなら、ゴールを目指せばよいのではありませんか? 大人しく」


 素人意見ですが、この人ならば優勝争いだって夢ではなかったはずです。

 リーダー格の人は小さく鼻で笑いました。


「誰もゴールなどできやしない。可能性があるとすれば、グロウだけだっただろうな」


 この人にそこまで言わせるなんて、よっぽど実力があったのでしょうね、彼氏さんは。それこそ、わたしよりも。


「だがそんなことよりもお前はここで潰す。それが俺の仕事だ」


 静かに、しかし力強く宣言しました。

 どうやらこの人の目的は優勝することではなく、この森を通過しようとする人を再起不能にすることのようです。

 なぜそのようなことを、ともちろん疑問には思いますが、それを聞くことを許してはくれませんでした。


「大人しく死んでくれ」

「大人げなく抵抗させてもらいますよ。もちろん」


 ここから先の会話は不要。

 リーダー格の人は問答無用で黒塗りのナイフを振りかざしてきました。

 進行方向は変わらず体だけを反転し、手首からナイフを打ち払いました。が、この森に大量の罠を仕掛けただけあって保険をかけることの大切さを知っています。

 ナイフと手首が紐で繋がれていたのです。

 しかも紐に繋がれたナイフをそのまま振り回しながら戦うという我流の戦法まで使ってきて、こちらも対処で手一杯。

 そうこうしていたら目前に巨大な木が急接近。このままではお互いに激突してしまうので同時に突き飛ばして距離を取り、左右へ別れました。


「……消えた?」


 同じ速度で走っていたリーダー格の姿が木の陰を境に突如として消失。行方を眩ませました。

 当然、これで終わりではないはずです。どこからか機を窺っているはず。

 向こうは森に紛れる暗色の恰好。対してこちらは超絶目立つ真っ白け。なにからなにまで不利でした。

 そして斜めになった巨大な倒木の下を潜り抜けたとき、突如として姿を現しました。いつの間にか倒木の陰に身を潜めていたようです。


「取った……!」


 リーダー格の人は静かに呟きました。


「なにを取ったんですか?」

「っ?! 馬鹿な!」


 リーダー格の人が取ろうとしたのは、わたしの魔力板(マギボード)だけ。背後を取ったのはわたしのほうでした。

 倒木の下を潜る直前に背負っていた予備の魔力板(マギボード)に乗り換えて、わたし自身はジャンプして倒木を飛び越えたわけです。

 結果、倒木の下を潜ったのはわたしの魔力板(マギボード)だけになり、それに騙されたリーダー格の人がわたしに背後を取られた。


「ゴガッ──?!」


 そして上から踏みつけてやりました。

 白いからって騙されているようでは、まだまだですね。どや。

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