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11話

「それにしても大きな木。小人になった気分」


 次のステージは巨木が乱立する森の中。ただの巨木ではありません。大人が数人がかりで腕を回しても届かないほど幹が太いのです。普段見慣れている大きさの木の幹が小枝サイズになっています。こんな木は初めて見ました。


「こういう初めてを味わえるのが旅の醍醐味なんですよね」


 ひとまずゴールがある北を目指し、魔力板(マギボード)を全速力で走らせます。

 魔力(マギ)の煌めきを散らして草花を押し退け、白い髪と旅装束を(なび)かせて風になったつもりで疾走しました。

 周囲には他の選手の姿や気配は感じられません。なのに、魔力板(マギボード)の残骸だけは大量に転がっています。この森で一体なにが起こっているのでしょうか。


「……いやに静かですね。不気味なほど」


 森の中を移動することは日常茶飯事なので、些細な違いに敏感になっているようです。鳥のさえずりも、虫の営みも、森の息吹さえも、鳴りを潜めていました。

 だからこそ反応することができたのでしょう。ペキペキ、と小枝の折れる音が前方の斜め上から。


「また罠ですか。古典的な」


 いえ、原始的な、と言い換えたほうがいいでしょうか。大きな丸太を丈夫な蔓で吊って、振り子の要領でこちらへぶつけてきたのです。

 ただその大きさが予想外でした。


「きゅ」


 と喉の奥から謎の音が出てきてしまうくらいには驚いてしまいました。先端をぶつけるように迫ってきた丸太は、簡単にわたしの視界の全てを年輪で埋め尽くしてしまったのだから。

 咄嗟に後ろへ身を倒し、魔力板(マギボード)の上に仰向けになって下を潜るようにやり過ごしました。風圧がとてつもないです。


「わたしの胸がもうちょっと大きかったら持っていかれるところでした。助かりました」


 けどちょっと悔しいような。

 大きさよりも形の良さが自慢の完璧な胸を撫で下ろして、ホッと息を吐いたのも束の間。

 罠は二重三重に保険をかけておくのが鉄則。次から次へと丸太が襲いかかってきたのです。どれもこれもやっぱりサイズが桁違い。

 横向きに迫ってきた丸太はどうにか飛び越え、上から落ちてきたのは左右へ躱し、挟み込むように襲ってきた丸太はさらに速度を上げて通り抜けて難を逃れ──


「──っ?!」


 突如として地面から突き上がってくる丸太。完全に意識の外だったのに加えて速度が出ています。

 このままでは──

 躱し切れな──

 ぶつか──

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