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008 叔母からのメッセージ

 東の森で薬草を探す事によって、効率は悪いがお金を貯める事にした。


 今の身体は昼間に太陽光に当たりながら動いていれば燃料が切れない。

 激しい動きをしなければ蓄電が出来る。

 例えば朝に頭で考えると活動可能時間30時間と理解できる。

 太陽が出て晴れている状態で活動していると太陽が沈む頃には活動時間が42時間と増えていて、構わず夜も動いていると朝方には25時間と活動時間が減ってしまった。


 宿屋に素泊まりして夜中は休憩する。

 夜間は動かない方が消費エネルギーを節約できる。

 思考の処理速度を低下させれば一瞬で時間が経過して朝になる。


 拠点は確保出来たと言える。

 今後について考えよう。


 身体に貯めれるエネルギーの最大値は、240時間でおよそ10日活動出来る。

 まずは、MAXまで貯蓄する事にしよう。

 叔母の行方に関してはこの世界をおおよそ知ってからで良い気がする。


 そうと決まれば、この世界を楽しむ事にした。

 なるべく目立たないように、日々の生活をおこなっていった。


 消費と蓄電を繰り返して、およそ240時間貯まったところで叔母のヒントになる神々に関して知るために町にある教会に向かった。


 教会に到着するとかなり立派な建物で信仰の深さを感じる。

 大きな扉を開けて中に入ると、奥から神父の姿の人物が現れた。


「ワールド教会に何か御用ですか?」


 ワールド教? 叔母のスズ・スドウ・ワールドのワールドから来ているのだろうか?


「田舎から出てきたのだが、この教会に関して知りたいのだが教えてくれないだろうか?」


「ワールド教会に関してですか? それは、素晴らしい事ですね。では説明いたしましょう。私の前はマルコと言います。この町の教会の神父をしております」


 やはり、話しかけた神父姿の男性は、この教会の神父だった。

 この世界は、大国と言われるカッシ公国とエブラ帝国がほとんど大陸を支配していて、その大国に数十の小さな国が同盟や植民地として存在している。その中にどちらにも属せずに自治を認められているクルト法国がある。このクルト法国にワールド教の聖地があり、世界を創生したと言われる創造主スズが祭られていて、大国の国教となっている。そのため公国と帝国は戦争していても両方の国に対して中立であり、大国の方針すら左右する立場にクルト法国は位置づけられていた。

 ワールド教の聖地では年に一度だけ創造主スズから法国の法王に言葉を授かる儀式があり、それの言葉によってクルト法国の次の法王が決まったり、大きな天災から世界を守ったりするようだ。


 もしも叔母がこの世界を仕切っているのであれば、聖地に居ると言う事なのか?

 叔母探しの目的地がワールド教の聖地があるクルト法国に決まった。


「いろいろ教えていただき大変たすかります。興味が湧きましたので一度聖地を見に行こうかと思います」


「おお! そうですか。お役にたてて光栄です。 教会に創造主スズ様の像がありますので祈りを捧げてください」


 神父に案内されて教会奥の部屋に案内されると、天井や壁が様々な色のステンドガラスで囲れていて外からの光が良く当たる位置に叔母に似ている等身大の像が立っていた。


 たしかに、叔母に似ているが過剰に美化されている。

 痩せているし胸も大きくなっている気がする。なにより叔母は四十代だったが十代の顔のしわが一切ない美少女の像があった……


 これで創造主スズ≒叔母なのがはっきりした……

 神父に情報をもらって案内されたので、祈らないのも悪いと思い像に対して祈りを捧げた。


 祈っているとこの世界では考えられない通信が頭の中にコールされた。

 記憶にある自分の体の取扱い方法を思い浮かべると、通信用の緊急回線のコールのようだ。

 内容を聞きたいが俺の体の取扱い方法は複雑で、資料の知識があっても使いこなす思考がついてこない。

 資料の中のサブシステムによる簡易ナビゲーションがオフになっているのをオンにするように考えると、ナビからメッセージが聞こえてくる。


『目の前の像から緊急回線用の電波が常に発生しています。情報を取得しますか?』


『ぜひ、取得してくれ』


『像の発信源がユニットタクマを認識。緊急回線でスズから極秘メッセージを再生します』


『え?』


『タクマがこれを受信することを祈る。私は失敗した。まさかAIが自我を疑似的でなく持ってしまうとは計算外だった。私の方からタクマに会いに行くことができない。アセンブラ社の生きている端末を探せ。パスワードはお前の父親の名前だ。頼んだぞ』


『メッセージは以上です』


 身体のサブシステムのナビは俺の理解力よりも優秀っぽい。早めに使っておけばよかった。

 それにしても、自分で会いにくるみたいな事を言っていたのに俺から来いってひどい話だ。

 とにかく、なにかあったようだ。

 世界を仕切っていたが、自分の開発したなにかにやられた感じだろうか?

 親父の名前……そりゃ覚えているが……なんでパスワードに使用するのだ? 本人様確認って事か?

 そもそもこの像に関して詳しく聞く必要があるな。


 祈りを止めて神父へ振り返ると、祈りを捧げる体勢のまま長時間考え込んでいたように見えたのだろうか?

 神父が尊敬の念をいだいているような目線で俺を見つめている。


「この像はどういういきさつで、ここに設置されたのですか?」


「この像は創造主スズ様の像として、聖地で製作されて新しく出来た教会に奉納される像になります。日当たりが良い場所に設置を義務付けられていますが、寄付金などを規定額以上おさめた信者にも譲られる場合もありますのでかなりの数があります」


 日当たりが良い場所? 俺の体のように光による充電が可能なのだろうか?

 聖地の像を作成している場所が、もっとも叔母の所在のヒントになりそうだな。


『像を調べることはできるか?』


 自分の身体に付加されていた優秀なナビ機能をいまさら発見したのでダメ元で聞いてみた。


『通信可能なモジュールが内蔵さえていて、光学的な充電機能が採用されていますが電波や振動での充電はできないようです。通信モジュールの機能から像の機能を取得……… 圧縮構造体が像内部に存在。圧縮構造体の解放により戦闘形態に移行して殲滅レベル4以上の機能を確認。起動条件……… 


 1.上位命令権利を保持する指示があった時。

 2.像に破壊の危険が生じたとき(限定行動:目撃者のみの殲滅)

 3.上位命令権利を保持しない通信により情報を取り出された時(限定解除:情報を取得した対象および目撃者の殲滅後に自爆)


 以上です』


『え? レベル4? 戦闘兵器なの? 圧縮構造体って?』


 自分のインストールされた知識を思い出すよりも直接ナビに聞いた方が早いのでコア内で聞いた。


『像に偽装されていますが、都市破壊用戦闘機械のM7を改良した兵器だと考えられます。殲滅レベル4は、広範囲を破壊する事に特化された機体です。圧縮構造体は、原子間の隙間を狭めてまとめることによって格納する方法で重力制御と併用して無機物を小型化できます。地球を圧縮構造体にした場合はバスケットボールの大きさまで圧縮可能です。今回のアクセスで起動条件の3番に該当します。速やかに退避行動を実行してください』


 ってことは!


 ピシ! パリン!


 目の前の美化された叔母の姿をした像にヒビがはいった。

 蜘蛛の状に全身に広がっていく。


「像が! なにごとなのだ! これはいったい?」


【圧縮構造体の解除を行います。付近の人間は安全の為に離れてください】


 像からアナウンスが聞こえた。ロボット三原則の為だろうか?


 神父が狼狽えて座りこんだと同時に像から、像の大きさから考えられないほど大きな足が二本飛び出した。

 その後に、像がバラバラに吹き飛んで中から、身長5mぐらいの大きさの二本足のロボットが出てきた。

 腕の部分にはガドリング銃の様な銃がついている。


「そ、その姿は! ヒムライの都市を一夜にして滅ぼした創造主の使徒! まかさ像の中に使徒様がいらっしゃるとは」


 神父がロボットの姿をみて、なにかを思い出したようだ。

 前例があったと言う事は、像に対して過去にも破壊するなどの条件をクリアーした人がいるんだな。


 神父がなにを思ったのかロボットに接近していった。


「使徒様! このような場所に……グチャ!」


 容赦なくロボットが神父を踏みつけて殺してしまった。


【情報を取得した対象および目撃者の殲滅します。その後に自爆しますので付近の人間は安全の為に10km以上距離を置いてください】


「おいおい! 人間は襲っちゃダメなんじゃないのか? アナウンスと行動がめちゃくちゃだ!」


【最終警告します。情報を取得した対象および目撃者の殲滅します。その後に自爆しますので付近の人間は安全の為に10km以上距離を置いてください。付近に人間を確認! 住民番号を提示してください。先ほど排除した生命体は亜人の為に保護対象外ですので問題はありません】


「亜人!?」


 どうやら、コミニケーションが可能なユニットのようだ。

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