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005 今いるのは別の時間軸

 昨日まで普通の高校生だったのだが、叔母の開発したタイムマシーンに巻き込まれて三十万年後に到着したところで、叔母の声を再び聞く事になるとは思いもしない。


 叔母の声が破棄された大型研究室の中に響いた。


 《琢磨か! 久しぶりと言えるのか?


 琢磨も誤って未来に飛んだ事は分かっていた。私が五千年未来に飛んだ時に当時の記録で琢磨も行方不明になっていたから気にはなっていたよ。巻き込んですまなかった。

 アセンブラ社の開発時のメンテナンス用のパスワードを利用してアセンブラ社を私の支配下に置いたがログに琢磨の存在がいて驚いたぞ。


 結論から言うと琢磨は、元の生活に戻すから安心してくれ。今の世界は私が作り出した別ルートの未来世界になる。


 未来へ飛べる装置を開発したのだが未来に行くのは、上空から重力に従って落ちていくレベルで簡単だったが、階段の様な装置しか出来なくて一段が千年単位になってしまった。未来に飛べると言う事は逆向きの過去にも飛べるのだが、そこで問題が発生する。

 過去に戻る為に膨大なエネルギーが必要な事だ。階段を登る作業は降りるより大変って事だ。しかも、階段を登って過去を改変する場合は、降りる未来が分岐していくんだ。

 過去を改変した分だけ未来増える事によって、多用すると分岐した世界が増加して宇宙のエネルギーバランスが崩れる事もわかった。

 そこで、自分が開発したタイムマシーンを過去に戻って消し去る事にした。


 私が初めて未来へ飛んだ五千年後の未来で新たに開発が成功したアセンブラ社の人工頭脳と反物質と過去に戻るタイムマシーンを利用して、世界を支配して過去に戻れる程の反物質を作り出し過去へ戻って、過去の自分を説得してタイムマシーンは破棄させる事にした。これによって今いる時間軸は元のタイムマシーンが無かった時間軸と完全に分離して普通の高校生の琢磨は、元の世界で普通に生活出来る。


 しかし、私が作り出してしまった巻き込まれた琢磨と、この時間軸は消えない。

 この世界は、私が創造主の世界だと言えるだろう。よって私が好きな事をしようと考えている。

 過去の私に様々な実験データを渡せる様に世界を構築しなおした。

 そして、今の琢磨がどうにか元の時間軸の琢磨に戻れるように今後も開発していく。

 過去に戻れるエネルギーが蓄積される数万年後にまた会おう》


 無責任ではないが、現状打破的な話ではない事をサラッと叔母に言われて混乱した。


 簡単に言えば、タイムマシーンを開発して未来に行ったがタイムマシーンは世界のバランスを崩しかねない危ない開発だったので、過去に戻って破棄する事にした。

 過去に戻る為には膨大なエネルギーが必要だったから世界を支配してエネルギーを貯蓄していった。五百年前に一旦叔母が戻ったが、まだ過去に戻れる状況ではなかった。時間がかかるけど巻き込まれた琢磨を元の時間軸に戻す方法を探すから待っててね❤️


 って事か?

 元に戻っるって言っても、意識体を普通の時間軸の俺に同化させるのか?

 全く理解できない。


 とにかく叔母を問い詰めなくてはいけない。


「叔母に会えるか?」


『スドウ スズ様は、アセンブラ社のCEOなのでアポ無しではお会いできません』


「アポをとるにはどうすれば良いんだ?」


『その必要はありません。用意できしましたら、貴方にこちらから伺うと言う事です。追伸で十万年ほど先で待っていてくれと言われています。強制的に十万年先に飛ばします』


「ちょ! ちょっとま……」


 俺の全身から電気的な放電が始まって視界が真っ白になった。


 強制的に十万年未来に飛ばれてしまったのか?

 叔母は昔から人の話を聞かない奴だったが酷い話だ。


 ーーーーー


 え?


 十万年後に飛ばされて周囲を見渡すといつもと違う雰囲気だった。

 もはや、初めの自分がいた世界から見たら四十万年後になるな。


 大型研究室の中にいたはずだが、天井が崩れてボロボロの洞窟のようになっていた。

 寝ていたカプセルも落石で真っ二つになっていて照明も存在しない真っ暗であった。


 アンドロイドの俺には暗視装置があるので、よく見えるが暗くなった事は理解できる。


「どうなった? ここは何処だ?」


 いつも答えてくれる人工頭脳の声が返ってこなかった。

 本当に元の自分に戻れるのか物凄い不安になった。


 とにかくこの場所から出て、現状を確認しなくてはいけない。

 自分の新しい身体のエネルギー源も太陽光などが必要なので、急いで外に出る必要を感じる。頭に入っている今いる場所の施設情報を調べる。


 元アメリカ大陸があった場所のほぼ中心にあって、地下十五階が今いる場所のようだ。

 頭に入っている施設の入り組んだ通気口の見取り図を参考に、自分の体を蛇の様に変型させて通気口に入り込んだ。


 あちこち破壊されていて、通常ルートでは地上へ辿り着けないのだが液体金属で構成された身体を液化して好きな形に出来る俺は通気口を綱って地上へ向かった。

 大きな地盤変動があったのかな?

 電源が全て落ちていて完全に施設が死んでいる。

 地下一階までたどり着くと大型の核シェルター用の扉があった。


 流石に隙間もなく、開けなければ外に出れなそうだ。

 扉の横に操作パネルがあったが電源が落ちている。

 頭の中に配線図や仕組みの資料は入っていたが、それを見てどうにか出来る頭はなかった。

 知識があってもそれが使えるかは別の話だな。


 手動で動かす方法もあったが、物凄い大変な作業だ。

 操作パネル下に非常コックがあって、その中のハンドルを回せば少しづつ油圧で動くのだが、実際に回してみると二十回ぐらい回しても扉が動いている様に見えない。

 僅かに埃が落ちてきたので微妙に動いているのは確かだ。


 一日中回す事になった。

 無心で回していると体感で1日ぐらいで十センチぐらい隙間が出来て向こう側が見えた。

 厚さが10m近い扉だった。


 通気口を通った方法で、体を変形させて隙間から外に出た。


 外に出ると行き止まりの洞窟だった。

 落盤で出口が完全に塞がってる。


 水が流れる音がして水溜りができていた。


「水?」


 水の出処を探すと穴があってそこから水が流れていた。

 狭いが体を変形させて進めば水源まで行ける気がする。


 体を細く長く変形して蛇の様に水源まで穴を進んでいった。

 だいぶ進み明るくなったと思ったら、川底の様な場所にたどりつき一気に水面を目指す。


 大きな湖の水面に躍り出た。体が金属製の為か全く浮かないので、手足を変形させて半魚人の様な姿になった。なんとか岸に泳いでたどり着く。


 人間の姿に戻ると裸から服を着ている状態になって周囲を確かめる。

 大森林の中の湖って感じの場所だった。


 叔母は向こうから会いに来るって言っていたが、施設は壊れているしどうすれば良いか途方にくれるしかない。


「誰か! 助けて!」


 ボーとしていると助けを求める声が聞こえた。

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