表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

004 新しい身体

 目を開けると白い船の拐われた場所ではなく、なにかの巨大な研究室の中にあるカプセルで寝ていた。


「どう言う状況なんだ?」


『元の身体は、調査船の設備で脳から強制的に情報を取得した為にかなり欠損が激しく再構築に失敗しました。復旧不可能だと判断し既に破棄いたしました。貴方の場合はタイムマシーンの調査資料の買取の為に資産が豊富に利用できる為に、最高級の義体として全身を液体金属のナノマシーンで構築して意識体を移しました。自衛の為に現在考えられる最高の装備を体内に圧縮構造体として格納しています。その他にもタイムマシーンは仕組みを解析して既に体内に取り込んであります。以上で契約が終了しましたので、ご自由に生活してください』


 元の身体じゃないじゃないか!!

 元の身体が破棄されたとかサラッと説明されても!!

 とりあえず落ち着こう。


 頭の中に自分の身体の仕組みや操作方法が記憶されていて、自分の身体の仕様が理解できる。

 全く人間そっくりだが、好きなように体を形状変化する事ができて太陽光に当たっていればエネルギーが吸収できる。他にも温度差や衝撃や電波など様々な物をエネルギー変換出来る。

 昨日まで普通の高校生だったのが、不老不死のサイボーグになってしまった。

 いや、意識体以外は元の身体が残っていないからアンドロイドと言えるのか?


 そのほかにも、体内に圧縮構造体?

 思い浮かべると長いマニアルが頭の中に浮かんでくる。理解するのに時間がかかりそうなので、いったん放置だな。


 ご自由に生活しろと言われても……

 本当にこれからどうするかな………


 体内に構築されたタイムマシーンに関して情報を見る。

 叔母が開発したタイムマシーンは、一方通行の物で未来へしか飛べないようだ。

 過去には戻れないと言うことか。


 叔母の家には、俺のように未来へ行った形跡があった。

 叔母も未来へ飛んでいるのは確かである。

 もしも、見つける事が出来れば新たに過去に戻れる装置も開発するかもしれない。

 初めにもらった歴史と知識は、あくまで一般的な物だった。

 そこには、叔母の情報はなかったが詳しく調べれば出てくる可能性がある。


「過去のデータを参照しても構わないのか?」


『なんのデータでしょうか?』


「須藤 鈴と言う人物の情報が欲しい」


『個人情報は保護法によって親族のみにしか公開できません』


「対象は俺の叔母だ。親族だから可能と言う事だな。叔母にあたる須藤(すどう) (すず)を過去のログから調べてもらいたい」


『念のために貴方のスキャニングデータから対象が親族である事を確認しました。検索には手数料が発生します。貴方の資産から捻出しますか?』


「構わないから調べてくれ」


 しばらくして情報が教えられた。


『スドウ スズは二万五千年前のアセンブラ社設立の際に人工頭脳の開発に関与した研究員の一人である。情報は隠匿されていましたが、貴方のDNA情報でタクミ スズと親族であると認識しましたので公開します。設立後の消息は不明』


 やはり叔母は未来に来ていたのだな。しかも、この会社に関与しているのか? 消息不明って事は再び未来へ飛んだ? あの叔母が死んだとは思えない。 しかし叔母が未来に来ていたのに何故タイムマシーンの技術が未公表?


 更に未来に行けば解決策があるかもしれない。

 体内にあるタイムマシーンで千年刻みに飛んでみるか?

 もはや、叔母に出会う事しか現状の解決方法がない気がしてきた。


「この場所はどこなんだ?」


 周囲を見渡すと巨大な研究所のような場所でカプセルに入っているのだがカプセルから体を起こして立ち上がった。

 元の身体そっくりなのだが、昔から身体にあった黒子や怪我の跡が消えている。

 全裸なので服が欲しい。


 そう思うと身体の表面の液体金属とナノマシーンが動き出して、裸の外見から服を着ている外見に変わっていった。

 なんでもありなSFの世界か……

 このまま叔母を見つけて過去に戻れたとしても、この身体のままだったら問題だらけだな。


『ここは、世界に3カ所存在するアセンブラ社のデータベース施設内です。施設内の破棄された研究施設資材と機器を使用して貴方を創り出しました。今回は貴方に対する人類保護法適応から無償で貸し出されていますが、継続して使用する場合は賃貸料が発生しましす。資産から捻出しますか?』


 とにかく未来に飛んで、叔母に関して毎回検索してもらおう。

 そうすれば叔母が未来に現れれば見つかるかもしれない。


「千年後にここを1時間借りたい。そして叔母の情報を検索してもらいたい。それを繰り返したいのだが今の俺の資産だと何回可能なんだ?」


『資金残高が2兆6億7千ペソありますので、980億年以上は可能な資金があります』


 仮想通貨はペソって言うのか!

 どんだけ高額にタイムマシーンの調査資料を買い取ったのだろうか?

 物凄い回数を試せるようだ。

 破棄施設を借りる事と検索の費用が安い可能性もあるな。


「それじゃあ、千年後にまたよろしく頼む」


『了解しました。では千年後に会いましょう』


 体内に内蔵されたタイムマシーンで千年後へ飛ぼうとすると、身体中から放電が始まった。

 初めて未来へ飛んだ時計型より高性能になっていて、周囲を巻き込まないで自分だけがカプセルから消えた。


 ーーーーー


 放電がおさまったが、周囲の様子になんら変化がない気がする。

 千年経過したのだろうか?

 叔母ではないので知識があっても原理は完全に理解できないが、今いる世界が三次元であって時間軸は四次元にあたる。


 高速で三次元を移動すると四次元の軸が少しズレる。

 時間が未来に飛ぶのだ。


 これを高速で移動せずに発生させたのが叔母のタイムマシーンなのはわかっている。

 この四次元のズレを生じる際に必要なエネルギーは、実際は存在した筈の存在が未来に飛ぶ為に失ったエネルギーを利用するので、小さなきっかけを作るエネルギーで未来へ移動できる。

 逆に考えると過去に戻る時は、無い存在が現れると言う現象の為に物凄いエネルギーが必要なんじゃないかと思うとゾッとする。


 例えるなら階段を下りるのが未来へ行く事で、昇るのが過去に行く事のようだ。


 難しい所は、知識があっても高校生の俺には理解できない。

 叔母を見つけて叔母に頼るしかない。


「千年経過したのか?」


『千年振りですね。前回の契約に従って既に検索もしました。前回と情報は変化していません』


「では、再び未来へ飛ぶ。よろしく頼む」


『了解しました。では千年後に会いましょう』


 ーーーーーー


「千年経過したのか?」


『千年振りですね。前回の契約に従って既に検索もしました。前回と情報は変化していません』


「では、再び未来へ飛ぶ。よろしく頼む」


『了解しました。では千年後に会いましょう』


 ーーーーー


 …

 ………


 …

 ………



 何も変化がないまま、二十七万年後に到着した。


「千年経過したのか?」


『千年振りですね。前回の契約に従って既に検索もしました。スドウ スズの情報があります』


「おお! 来た! どんな情報だ!」


『今から五百年前程に、貴方と同じように地上で発見されて回収しました。その後にアセンブラ社の開発時に使用されていたメンテナンス用パスワードを利用して、弊社初の肉体を持った人間としてアセンブラ社のCEOに就任しました。バックアップしていた人間達を全て削除して新規に様々な生物実験を開始。地球を改造しています。スズ様から貴方宛にメッセージが届いています』


「バックアップした人達を削除!? ちょっと頭が混乱中だな。今の地球の状態は叔母が全て仕込んだ事なのか?」


『それを判断する立場ではないので回答しかねます。ではメッセージを伝えます』


 しばらくして叔母の声が流れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ