一章 2
5月2日(火曜日)
「うあああああ!」
暗い人気のない路地から叫び声が響く。
「た、頼む! 助けてくれ、俺が何したってんだよ!」
「君達には私達の実験台になってもらう」
そう言ってその男は、怯えて動けない男を拉致していった。
翌日。
「おじさん、おはよう」
「おー」
この人は俺の親戚の人らしく俺もよくは知らないが、俺を引き取ってくれた人だ。
職業はプログラマーで俺の仕事を手伝ってもらっている。
「もう学校か?」
「はい」
「そうか、気を付けてな」
そして隼人は、学校へと向かった。
その途中隼人の後ろから誰かが近づいて来ていた。
俺は後ろを振り返ると其処には楓が居た。
「何か用か?」
「何で分かったの?」
「勘」
そう言って二人はまた、学校へと足を運んだ。
それにしても今朝はやけに警官が多いな。
何かあったのか?
俺がそんな事を思っていると、楓が喋りだした。
「やっぱり警戒してるねー」
「何がだ?」
俺がそう聞くと、楓は信じられない!! という顔でこちらを見てきた。
「何だよその顔」
「隼人ニュースみてないの!?」
そう言って楓が見せてきたのは、知らない男の写真と行方不明多数という記事だった。
俺はその記事を読んだ。
内容は、最近よく人が行方不明になっているらしい。
その数は三日で10名もだ。
しかも、全員この地域でだ。
記事では「神隠しか!?」などと書かれている。
すると突然楓が俺の肩を叩いてきた。
「どうした?」
そして楓は驚く事を言い出した。
「実はこの写真の人達全員、私達と同じ人よ」
という事は俺達の身も危ないかもしれない訳か。
「少し気を付けて行動した方がいいな」
俺達は少し回りを警戒しだした。
そして俺は放課後、実際いに消えた人たちが最後に居た場所に足を運んだ。
「ここが昨日の夜人が消えたという場所か」
当然辺りには立ち入り禁止のテープが張り巡らされていた。
俺は仕方なく辺りを見て回ると、下水道付近に一つの指輪が落ちていた。
俺はそれを拾い上げた。
すると突然、頭の中にこの指輪の持ち主の記憶か分からないが、流れ込んできたのだ。
隼人はその人の物や体に触るとその人の記憶を見ることが出来た。
そしてそれは自分から見ようとしない限り見えることはない。
それでも見えたという事は、かなり思い入れが強いという事だ。
それにしても、この記憶は最初は良かったが後の方はかなりきついものだった。
物は人と常に見えな糸のようなもので繋がれている為、そこから少し先の方も見えるのだ。
しかし、後半の記憶は余りにもひどく、隼人はその場で吐いてしまった。
「おうえええええ‼」
ひと・・・人が解剖されていた。
しかもぐちゃぐちゃに。
俺は初めてトラウマと言う物が出来た。
その日の夜、俺は眠れなくなった。
そしてさらに、俺の家の周りに三人の人間が囲む様に立っていた。
まさか、俺が人では無い事がバレたのか!?・・・