百鬼 欺瞞を笑う奇縁者
「3000年の内
俺が博打をしたのはあの時だけだよ
お師匠さん」
日が沈むまで残り一刻か
遍く光が煩かった
だけどもそんな事は今はどうでも良かった
終ぞ夢は果たされなかった
目から溢れる滴は
真紅に染まり
余命いくばくか
「そんな哀しい顔はせんでくれや」
そうやって自分に言い聞かせて
精神を犯す
あゝあれだけ過ぎてくれと願った時が
こんなにも止まってくれと願うとは
しかし無情
眼前に宵闇
辺りは風だけが歌う
「最後まで語らおうぞお師匠さん」
かくして物語は幕を閉じたが
これもまた無情
物語は終われど
俺は生きている
3000年後も生き続けている
ならば問おう
俺が生きる今世の命は
今もなお達成されておらず
その時まで生き続けようぞ
その度俺は運命となろう
その度俺は笑おうと
これはどこかで生き続けている奇人ならぬ
奇猿の後日談である