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迷宮をただ歩む者  作者: 洗濯紐
一章
11/16

パーティ

「あー……ルイスに『天使のように可愛い子が看病してくれたのよ』って言おうとしたのよ」

「そうだったんですか!良かったです、天使なのがバレちゃったかと思っちゃいました」

「「……」」


 分配揉めをしていたパーティにいた、目の合った少女。あの時は《自動地図化》のレベルが3しかなくて気づくことが出来なかったのだが、今だったら彼女が天使だと明確に理解する事が出来る。


『ミル・エル・ファナリア。位階37、スキルツリー【支援魔道士】』

『【支援魔道士】?』

『ああ』

『けど彼女、定期的にルイスの肉体に回復魔法を使ってたわよ?』

『天使だから光魔法は使えるんだろ』


「あー……気絶中に色々としてくれてたみたいで、助かった」

「いえ、気にしないでください!たった5日程度診るだけで良いのに沢山食べさせてもらいましたから!」

「5日……?」

「そうよ。唐突に倒れるんだから、本当に驚いたわよ」


 俺の中での認識ではまだ当日なのだが、思っていたよりも沢山の時間が過ぎていた。まあ、この《自動地図化》の違和感を無くす為にはそのぐらいの時間が過ぎるのが妥当なのだろう。次のスキルも開放されているし……次は《歩術》を上げようと思っていたのだがそっちを上げるか。……いや、地図関連はもう十分なのだし《歩術》を上げるべきなのか?そういった事は全て研究者の人の言ったとおりにしかしてきた事がない為、何が正しいのかわからない。全て話したのだし後でクミアに相談してみるか。


『そういや、翼は?』

『私?彼女?』

『両方』

『私は先祖返りだからだろうけど、彼女は……分からないわ』

『そうか』


「あ、あの!……私、もう用無しですか?」

「……おい?」


 涙を目に浮かべながらクミアを上目遣いで見つめ続けるミルがあまりにも熱心だったので、クミアに何をしたのかという思いを込めて視線を送る。返ってきたのはどちらかというと戸惑いの意図が込められた視線だったのだが……。


『おい?』

『私は好きなだけご飯を食べさせてあげて寝床を提供しただけよ。思ったより食べたのだけど』

『へー……』


「その……どうなんでしょう?腕輪で何をなされているのかは知りませんが……」


『ねぇ?』

『そりゃ二人とも腕輪を握ってたら怪しまれるよな』


「お願いします!何でもしますから!ルイスさんが変な事も誰にも言いませんから!」

「「……」」


 真面目な顔で叫ぶように『変な事』と言われてしまい、つい真顔になってしまう。クミアがそんな俺を見て笑いそうになっていたが、それでも笑い事では無いと思い直したのかすぐに真面目な顔に戻っていた。……思い出したかの様に吹き出しそうになってるのはキレて良い気がする。


「……元々いたパーティは?」

「何故か嫌われちゃいました……」

「なんで?」

「ルイス。それ、私達が原因よ」

「?」

「ルイスが倒れた時、たまたま回復魔法を使えるミルがいたから目が覚めるまでの看病をお願いしたのよ」

「あー……」


 あのパーティは俺とクミアの事をやたら敵視していたので、その後の顛末は容易に想像する事が出来る。それならば俺が原因と言っても過言ではないだろう。


「……パーティ、組むか?」

「はい!お願いします!」

「【歩行者】ルイス。一応パーティリーダーだ」

「【魔剣士】クミアよ」

「あ、えっと、【回復術士】のミルです、よろしくお願いします!」


『どうする?』

『突っ込んでいいと思うわ。ルイス程の隠し事は無さそうだし』

『……色々と問い詰めたいが分かった』


 俺程の隠し事は無いと言われても、聞く気はないといえ未だ隠し事、家出の原因を話していないクミアの方がよっぽどの隠し事をしているだろう。今それを話し始めたら脱線するのは間違いないし、聞きたくもない権力争いとかに巻き込まれそうなので問い詰めないが。……既に巻き込まれている気がする。


「ミル。いや、ミル・エル・ファナリア。隠し事はやめにしよう」

「な、え、なんで!?」

「俺はスキルで相手の名前、位階、スキルツリーを知る事が出来るんだが……なんで嘘をついた?」

「え、その……天使ってバレちゃうと悪い人に売り飛ばされるって……」

「奴隷制度、ましてや精霊種の差別など下手したら世界が滅びかねないから有り得ないわ。ナーグ連邦の方は確証はないけど……亜神である王族が存在する我が王国では絶対に無いと断言できるわよ」


 魔界の無精霊が受肉した……というよりも、この世界が魔界と接続した原因となった4柱の無精霊達の子孫である亜神。まあ、接続の原因となった4柱は今も健在だろうが、魔界への道である迷宮、様々な(ことわり)の要因となっている精霊を崇めるこの国では精霊種の差別などありえないのは間違いない。


 風、水精霊がこの世界で人族と共に生活するために受肉した結果生まれたエルフ。

 火、土精霊がこの世界で人族と共に生活するために受肉した結果生まれたドワーフ。

 光精霊がこの世界で人族と共に生活するために受肉した結果生まれた天使。

 闇精霊がこの世界で人族と共に生活するために受肉した結果生まれた悪魔。

 無精霊がこの世界で人族と共に生活するために受肉した結果生まれた亜神。


 他にも獣人と竜人という種族も有るのだが、亜神が国のトップにいるこの国ではこれらの種族を差別する物は存在せず、信仰対象にする者すら存在するので……精霊種はあまり人里に姿を現す事は無い筈だった。


「例外多いな……」


 いや、クミアは先祖返りならばミルだけか?


「え、えっと。私、どうなるんでしょうか?」

「はぁ、安心していいわよ。売り飛ばすなんてあり得ないから」

「ほ、本当ですか!?」

「ええ。じゃあ、改めて自己紹介お願い」

「ミル・エル・ファナリアです!ツリーは【支援魔道士】、天使なので光魔法も使えます!」

「質問良いか?」

「はい!」

「翼と輪は?」

「これですか?」

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