プロローグ
とりあえず、1週間分は予約投稿しました。
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スキルツリーが人生を決める。
俺の人生15年の間で一番聞いた言葉であるそれは、的確に俺の状況を表していた。
何処にでも有るような農村で生まれ育つこと10年。
10歳の時に受ける祝福の儀で前例のないスキルツリーを発現させたことで、王都に有る研究所に拉致されるような形で行き、実験に付き合い続けること5年。
そして、普通のスキルツリーと何も変わらないどころかある一点から格段に劣っているスキルツリーだと判断されて放逐された今。
5年ぶりに見た太陽に抱いた感情は、『眩しい死ぬ』のただ一つだった。
魔物を倒すことで魂を吸収して位階が上がり、スキルツリーを成長させる為に必要なポイントを取得できるという世の中の摂理。だが、俺の場合はその摂理から少し外れていたらしい。普通の人よりも圧倒的に多い魔物を倒す事で初めて上がる位階は、研究者達からしてみれば異端でしかなかった。
俺のスキルツリーが【歩行者】である以上、歩けば位階が上がるのではという仮説が湧き、1ヶ月近く寝る間も惜しんで歩かされた事も有る。それで位階が上がりはしたのだが、思っていたよりも圧倒的に上昇量が少なかったらしい。2から3に変わったのだから良いじゃないかとは思ったが、3から4に変わらなかった事が駄目だったらしい。その辺は良く分からない。
最終的に5年間かけて位階は8まで上がったのだが、そんなもん何の価値もないと言われた時は流石に心に来た……気がする。
確かに同期の人たちは皆、用意された魔物を倒す事でサクサクと位階を上げ、1年も経てば二桁になっていたのだからその通りなのかもしれないが。
一つ心残りなのは一個上の【聖剣舞】とかいう凄いらしいスキルツリーだった人との約束が果たせない事だが、彼女は王都の白銀騎士団とかいう女性専用の騎士団にいるらしいからどちらにしろ果たせなかったと思えば少しは気が楽になる。
女装したら来れそうだな!と言われた時は脳みそがどうなってるのか気になったりしたものだが、今はもう関係ない話だ。
「どうするか……」
王都の研究所から放逐されてすぐに、手切れ金とばかりに渡されたお金を使って迷宮都市フィリンに移動した。移動、冒険者ギルドでの登録、王都の門の通行料、フィリンの門の通行料で殆どのお金が無くなり、今日の宿を取る事すら出来ないような状況。
「本当にどうする……」
一番簡単に稼げると聞いた迷宮都市に移動したのに、冒険者ランクが低すぎて迷宮へソロで挑む事すら許してもらえなかったので本当に詰んでいた。迷宮への入り口、転移魔法陣を管理しているギルドの方には野良パーティでも組めばいいと言われたのだが、その分貰えるお金も少なくなるし、初心者達が稼げるお金の量はたかが知れているとも言われていた。
「……行くか」
転移魔法陣の前にある広場で野良パーティを募集している人達の言葉に耳を澄ませ、その要件を満たせそうな人を探すのだが……位階10以上は無理。盗賊系スキルツリーも無理。タンク系スキルツリーも無理。魔法系スキルツリーも無理。……と、どこにも俺が要件を満たした募集をしている人はいなかった。
マッピングは出来るのだが、罠解除は出来ないので盗賊系スキルツリーという募集条件を満たしてるとは言えない。これがマッピング機能、罠感知能力だけで良いというのならば満たしているのだが……。
「あー……一人募集中、行くのは一層だけなんで条件とかは無いです!」
広場の隅っこで、ある程度の大きさの声でパーティメンバーを募集する。俺の声を聞いた幾らかの人々は俺を一目見た後何事も無かった様に行動を再開するのだが、条件なし、一層だけという俺の発言は少しだけ悪目立ちしていた。
が、ギルドの人も言っていた通り、此処には初心者から上級者まで幅広く存在するため少し生暖かい目線を向けられただけで、絡まれるような事は一切無かった。
「……誰かいませんかー?」
周囲を見ても、たとえ目が合った人がいたとしても逸らされる。まあ、一層だけなどという稼ぎがほぼ無い様な条件だ。目を逸らされるのも仕方がない。
「誰かー……」
俺の今晩の宿がかかっているので根気よく何度も声に出すが、反応は宜しく無い。今の時間が朝の良い頃合いな為、沢山の人がいるというのにこの反応だ。俺と同じ様な初心者がいる筈だと言うのに、これは酷すぎる。俺と同じ様な初心者らしき子達による誘いが所々では有るのだが、彼等、彼女等にはしっかりと人が行っている。この差は……
「1層だけじゃ駄目なのか……?」
「ねぇ」
「向こう見ずで深層に行くよりはマシな筈なのに……?」
「ねぇ?」
「なんで?安定思考の何が悪い?……死ぬよりはマグフッ!?」
空を仰ぎ、良く言えば英雄思考とも言える彼等の事を考えていると思いっきり腹を殴られた。【聖剣舞】だった彼女の肩バンよりは痛くないとは言え、それでも腹パンだ。一瞬では有るが呼吸をする事が出来なくなってしまった。
「パーティ、空いてるかしら」
「あ、あぁ……ちょ、腹パン……」
「声をかけてるのに無視するのが悪いのよ」
「……そうだな、悪かった。俺の名前はルイス。ツリーは……まあ劣化盗賊系だと思ってくれ」
「劣化?」
「ああ」
研究所には色々な人間がいたが、当たり前のように目の前の赤髪の女の様な人間も存在した。そういった人間は取り敢えず合わせとけば話が簡単に纏まるので、否定するなどという面倒くさいことはしない。……言っている事は確かに正論だったし。
「で、お前は?」
「私はクミア、ツリーは……まあ、双剣士よ」
「へぇー……因みに、参考程度に彼等では無く俺と組もうとした理由を聞いても?」
俺よりも良さげな装備をし、人数が多くて安定していそうなパーティを目線で示しながら問いかける。今後の為にも聞いておくべきだと判断して問いかけたのだが、
「向こう見ずな死にたがりとは組みたくないもの」
その言葉を聞いて思うところがあったのか此方へと向かってくる幾つかの初心者パーティ。……聞くべきじゃなかった。