31.王都編⑦〜判決!〜
──次の日、オレ達はついに裁判当日を迎えた。
王都は重要な裁判のせいか朝からやけに騒がしかった。
サエとアンリィはベッドで寝ているが、ベッドのスペースがないせいでオレはいつも床で寝ている。
そのせいで、ここ最近オレは夜寝つけずにいるのだが……。
「お兄ちゃん、おはようございます、もう起きてたんですね」
こんな硬い石の床で寝れるかと言いたいところだが、その気持ちはグッと堪えて。
「今日は大事な裁判の日だからな」
「そうですよね、もしかしたら私達は今日で……」
「サエ、そんなこと言うなよ、オレがきっと何とかしてみせるからさ」
「そうですよね、お兄ちゃんはなんだかんだ最後には、いつもいいように終わらせてくれますもんね」
そう思ってくれてるならありがたい、昨日の取り調べでオレは完全に有罪だと思われているからな。
本当に昨日の機械はなんだったのだろう、機械の故障か? オレは盗みなんてしたことないのに……。
「──サエ、ヒラガ、もう起きてたのね……」
言いながらサエの横で目を覚まし体を起こす。
こんな硬い石の床で寝れるかと言うのをまたもグッと堪えて。
「あぁ、今日は裁判の日だからな。頼むから今日の裁判では変なことは言い出さないでくれよ?」
「お、お前は私をなんだと思っているんだ……」
「大魔道士(仮)で大剣豪(仮)の変態だと思っているよ」
「即答だと……いいか、私はこれでも本当に凄腕なんだからな?」
「なら一回でもいいからその凄腕っぷりを見てみたいものだな」
「な、なんだと!? ヒラガには一回わからせておく必要があるようだな!」
「ほぅ、ならわからせてみろよな」
「……喧嘩はやめてくださいよ」
と張り合うオレとアンリィに溜息をつきながら呟いた。
「──時間だ、着いてきな」
言いながら一人の兵士が牢屋の鍵を開けた。
──そしてオレ達は王都の中心部まで連れてこられた。
そこにはドラマなどで見るような裁判所ではなく、ただ木製の低い柵で囲われた中に机が二つ置かれているシンプルすぎる場所だった。
周りには多くの貴族達がこちらを睨んでいる。
そして、少し遠くには第一王女といつもとは程遠い暗い顔をしたリッカの姿もあった。
──そしてついにオレ達の命がかかった裁判が始まった。
「貴族の家からものを盗んだんだぞ、死刑以外の判決は認めない!」
「そうだ! そんなもの早く死刑にしてしまえ!」
「盗賊め、オレの大金をどこやった!」
「「「死刑! 死刑! 死刑! ────」」」
突然始まった死刑コールにオレはもちろん、サエやアンリィも焦り身を縮める。
『カン!』
裁判官のお姉さんはガベルをカンと叩いた。
「静粛にしてください」
すると貴族達は驚き静まり返る。
「ではまず、この機械を付けてもらいます」
そう言って付けられたのは昨日お姉さんに付けられたものと同じ、嘘をついたら電気が流れるという機械だった。
「あの、ありがとうございます、貴族達の暴走を止めてくれて」
「勘違いしないでください、これでは公平な裁判が出来ないと判断したまでです。それに私はあなたを黒だとしか思っていません」
「そうですか、でもこの機械は信用できませんから外してください、だって昨日してもないことに反応して電気が流れたんですから」
「それは正式な魔道具です、不具合を起こすことはありませんので安心してください」
「そんな馬鹿な! だって昨日は……」
「昨日昨日とうるさいですね、よろしければなぜ昨日電気が流れたのか聞かせてもらっても?」
「それは……言えません……」
「なら黙っていてください。それではまず弁護士やあなたの関係者から話を聞くことにしましょう」
──最初に中に入ってきたのは昨日話をしたお姉さんだった。
「──それではどうぞ」
「はい、では私からは二点説明させていただきます、まず一つ目にそこにいるサエとアンリィは無実です」
「その根拠は?」
「昨日、嘘をつくと電気が流れるあの機械を使い、『あなたは盗みをしたことがありますか』聞いたところ、彼女らは『ない』と答え、反応が全くありませんでした」
アンリィも不具合を起こさなかったのか、だったらなんでオレだけ……。
「ほぅ、それはここでもう一度全員に試して見るとしよう、それではサエさん、あなたは盗みをしたことがありますか?」
「ないです」
サエが即答し電気が流れる反応はないのを見て、
「アンリィさんは盗みをしたことがありますか?」
「ないです」
またまた電気が流れる反応がないのを見て、次はオレの方を見て、
「ヒラガさんは盗みをしたことがありますか?」
大丈夫、オレは盗みなんてしたことはないはずだ、自信をもて鈴木平賀!
「ないで──痛たたたた!」
そのオレの反応を見て裁判官のお姉さんはニヤリと笑う。
「もう一度聞こうヒラガさん、あなたは盗みをしたことがありますか?」
「ないで──痛たたたた!」
そしてまたも電気が流れる。
なんでオレだけ電気が流れるんだよ!
おかしいだろ、理不尽だろ!
そんな反応を見て裁判官のお姉さんは確信したような顔になり大声で笑い出す。
「今回の事件はこのヒラガが黒だ、それでは盗みをしたことがないサエとアンリィはもうさがってもいいぞ、あとはヒラガの処分を決めるだけだ!」
「ちはうんでふ!」
違うんですと言おうとしたが、電気で痺れて舌が回らない。
『死刑だ、死刑だ! 私の家からありったけのものを盗んだ罰は重いぞ!』
『死刑! 死刑! 死刑! ──』
そして再び貴族達による死刑コールが流れた。
本当にまずい、このままでは本当にオレは死刑になる。
『カン!』
「静粛にしてください! 判決は私が言い渡します」
ごめんなサエ、なんだかんだで何とかしてくれるとか言ってくれたのに、オレはなんにも出来なかったよ。
「では、スズキヒラガさんの判決は──」
サエとアンリィが助かっただけでも救いなのか……。
理不尽だな、この世界……。
オレはこんな変な道具のせいで有罪判決かよ……。
「──ちょっと待ってください!」
判決が言い渡されそうになった中、一人の少女の声が響き渡る。
その少女とは、この裁判を今まで眺めていたリッカだった。
そのリッカの様子を見て裁判官のお姉さんはニヤリと笑い、ガベルを再びならそうと──。
「──あっ、待ってくれ!」
『カン!』
「もう、裁判は終わった、もうお前と話すことは何もない」
「──いや、本当に待ってくれ! オレが盗みをしたことがないというのは嘘だ、だけど今回の事件には関係ないんだ」
今も尚嘘をつくと電気が流れる機械はオレの腕に巻かれているが、電気が流れていないのを見て裁判官のお姉さんは驚き無意識に少し口を開く。
「オレは、オレは一度だけ…………妹のパンツを盗んだことがあるんだよ! 一度だけだ、だから、今回の盗みの犯人はオレじゃない!」
そこに妹がいることなんてお構い無しに、オレの無実を証明するためにオレは大声で叫んでやった。
そして、オレに電気は流れてこない。
それを見た裁判官のお姉さんは一度咳き込んだ後。
「──す、スズキヒラガは……無罪……」
「よっしゃー!」
無罪の判決を言い渡され、オレはこれまでにないくらいに一人喜んだ。
そんなオレを見ながらサエは顔を真っ赤にして、
「お兄ちゃんは最低です! この変態!」
と叫んでオレに殴りかかってきた。
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