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誰?

29話の後の話です。

 




 次の日精霊祭2日目の夜、タオカル城で舞踏会が開かれた。


 あれからどことなく気まづい空気が流れていたがクシェルをエスコートするフェルディがぼそりと呟いた。


「今日は面白いものが見えそうだよ」


 首を傾げるクシェルは、その後ベーベル嬢に絡まれた。またベーベルはクシェルのドレスと同じ色を選び喧嘩をふっかけてきた。


「あら? 今日は随分と落ち着いてますね? コルセットも着けてる様でウエスト細いなコンチクショウ」


 間違えた。褒めてきた。ベーベル嬢は良い人かもしれない。


「なんでそんなに細いのですの? グランツには食料がないからですの? 可哀想に……」


「そうですねー。グローリエよりかは無いですね。私畑耕してますので、それで細いのかな?」


 自分で細いって言う位にはクシェルは図太い神経をしてる。ベーベルはちっちゃな目を見開いて「まあ! ご自分で畑を!? お可哀想に……」とわざとらしく哀れんだ。


「ベーベル様も畑を耕してみては?」


「オホホホ。そんなはしたない真似出来ませんよ」


 はしたないと言われてムカッときた。


「生きる為に必要な事をはしたないって何様ですか!?」


「あら、失礼しました。貴族には必要ないと言いたいだけですの。オホホホ」


 突然会場が騒ついた。ニヒルな笑みを浮かべるゆるいウェーブがかかった髪をもつ17歳少年がフェルディの元に挨拶に来た。


「従兄弟どの久しぶりだね。ご機嫌いかがです?」


 この時会場にいる誰もがこの人物の正体に気づかなかった。気づいたのは叔父のアルノーただ1人のみ。


「モッペル!?」


「「「えっ」」」


 クシェルは思い浮かべたのはソーセージをたらふく食べるぽっちゃりボーイ。


「父上。お会いしとうございました。息災で何よりです」


 ーー誰だこの礼儀正しいちょっとイケメンは。


 アルノーは息子の変わり様に感動したのか口に手を当てて嗚咽を漏らす。


「何があって、こんなイケメンになった?」


 モッペルはふっと笑った。


 ーーあの笑み何処かで見たなあ。


 モッペルの元に師が現れた。白い騎士の姿の彼女はモッペルの肩を小突いて爽やかな笑みを浮かべた。


「モッペルは私の弟子だよ。案外見所のある少年で驚いたよ」


「師のおかげで俺は生まれ変わった。これからは陛下の御力になりたい」


 周りは静寂に包まれた。


 この発言によりフェルディに反抗的だった上流貴族達は大人しくなったのであった。


「モッペル様素敵です〜」


 目をハートにしたベーベルはモッペルに擦り寄ってきた。


「ベーベル嬢。貴女には随分と気苦労をかけたね。まだ俺の婚約者で居てくれるかい?」


「はい。ずっとお待ちしてました!」


「ベーベル嬢。山は良いぞ。今度一緒に登ろう」


「え? 山?」


「うむ。山だ。自然に触れて感じて俺は生まれ変わった」


「そ、そうですかっ。が、頑張ります」


 それからベーベルはダイエットの為にクシェルと共に畑仕事を手伝うようになり、クシェルと親友になったのであった。





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