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カカシ、え、アレと戦うの?
「よ、よろしくお願いします?」
頭を下げると、相手も下げてきた。相手の姿は十字に棒を組み立てその上に服を着させた、一般的イメージのカカシだ。
対して私はチュートリアルで設定した姿に簡単な服装をしている。え、チュートリアルって素手?!
「ど、どうすれば」
取り敢えずカカシに攻撃をしてみよう、意を決してカカシに近づき叩いてみる。
「てい!」
カカシを叩くと、グワンと棒でできた体をしならせる。
それを見ていると、次の瞬間にしならせた体を凄まじい勢いで私にぶつけて来た。
「?!」
カカシの攻撃を腹部に食らった私は、後方にタタラを踏み、數歩離れた場所で膝から崩れ落ちる。
「お、おおおぉぉぉ」
(く、苦しい)
カカシを見るとその場で揺れている、その場から動く事はないらしい。しばらく悶絶していた私はなんとか立ち上がると次に声が聞こえてきた。
『装備がない場合、攻撃防御と共に低いです。戦闘の際は必ず装備をする事をお勧めします』
遅い!説明が!てっ言うか装備ってなにもないんだけど?!
『視界の端に有るボタンを押して下さい』
「ボ、ボタン?」
よくよく見れば視界の端に白い丸っとしたのが有る、そこに手を伸ばしてみると。
ユウ・魔法使い/吟遊詩人
・アイテム
・フレンド
・ログアウト
そんなメニューが目の前に表示された。
『アイテムの欄をタップして下さい』
言われるがままに私は動く。
・若葉のローブ
・初心者の杖
・初心者の竪琴
・
・
・
・
・
・
・
と、表示された。
『アイテムにタップして下さい』
一番上の緑衣のローブをタップする、すると手元にローブが現れた。
・若葉のローブ
エルフの魔法使いが着るローブ。まだまだ新米。
「えっと、コレは?」
『アイテム欄には10個までアイテムを入れておくことが出来ます、アイテムを入れる場合はアイテム欄の空欄をタップし、何を入れるか選択して下さい』
「え、はい、それでこのローブは着ればいいんですか?」
『……』
反応なし、え、着ればいいのコレ?ついでに初心者の杖と言うのをアイテム欄から出してみる。
・初心者の杖
初心者が使う魔法の杖。大した力はない。
今の私の外観はぱっと見魔法使い、と言った姿だ。
『攻撃をしてみて下さい』
指示に従い私は杖でカカシを叩いてみる。先程と違い私の攻撃でカカシは倒れた。
「倒せた、のかな?」
倒れたカカシを杖で突きながら様子を見る、動かないので倒せたと思うけど……。
『チュートリアル、【物言わぬカカシ】をクリアしました』
「倒せたんだ、コレ」
魔法とか使わなかったけど、魔法使いなのに。
『チュートリアル、【魔法の基礎】を開始します』
「あれまたなんかはじまっ……ぐぅ?!」
また声が聞こえたと思った瞬間、足元からカカシが私に向かって立ち上がる。二度目の衝撃、ただし先程と違いローブを着ていたおかげか衝撃はさほどない。
「え、またカカシと戦うの?」
『魔法は装備している杖によって属性が変化します』
『属性は大まかに二つ、有属性魔法と無属性魔法です。有属性魔法は様々な種類があり状況に応じては相手に大ダメージを与えることがあります。無属性魔法は相手を選ばずダメージを与える事ができます』
「……どうやって使うんですかね」
何となく、杖ごとに使える魔法は違うって言うのはわかったけど、使い方の説明がない。
『また魔法には再度使用するまで一定の期間が必要です、魔法を使う際はそれを意識して振るう必要があります、使える魔法はアイテム説明欄から確認できます』
「説明欄?あ、アレかな」
・初心者の杖
初心者が使う魔法の杖。大した力はない。
【使用魔法・光弾】
無属性魔法、相手に対して光弾を放つ。五秒間の使用時間を要する。
「……書いてあった」
私は杖を構えてカカシに向き直る。使える魔法は【光弾】一度使うと次の使用まで五秒かかる……。
「【光弾】」
カカシに向かって杖を振るう、杖の先から光の玉が放たれる、カカシに当たるとまたカカシは倒れる。
「……」
『チュートリアル、【魔法の基礎】をクリアしました』
「あ、コレでいいんだ」
『チュートリアル、【吟遊詩人の証】を開始します』
「まだあるの?!」
コレって戦闘と職業のチュートリアルもやるのかな?吟遊詩人のチュートリアルって歌えばいいのかな?……でも歌うのは結構得意だよ、竪琴を弾くのは初めてだけどギターやバイオリンと似た弦楽器なら多分、いける。
私はアイテム欄を開き初心者の杖をしまい、初心者の竪琴を取り出す。さぁ一体何をするのかな?
『…………【吟遊詩人の証】をクリアしました』
「終わった?!」