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メーデスさんはこの世界について説明してくれました。
『知っての通りこのゲームはモンスターとプレイヤーの皆様の戦いがメインです。しかしそれだけでなく現実でお金のかかる趣味をしたり、自然を満喫したいが時間がないなどと言った事をしているプレイヤーの方も一定数います』
「あー、ゲームって言っても色んな事ができるんですね」
一つのゲームで色んな遊び方は実際にできるから驚きはしないな(将棋崩しとか本来の遊び方とは違うけど、それこそ遊び方は人それぞれって事だね)
『(自由度は既存のゲームのそれとは比較になりませんが)重ね重ねその通りです、ですので人のプレイ方法に無暗に口を出したりするのはタブーとされていますのでお気を付け下さい。続けますが、このゲームは大まかに分けて五つの種族と領土に分かれています。人間族、獣人族、妖精族、魚人族、そして魔人族……それぞれの種族の中で更に細分化されますがこれらの種族が【ワールドスター・オンライン】に存在しています』
「……あれ? キャラメイクの時に私、種族をエルフにしたんですが、今の説明ですと私はどこの種族になるんですか?」
『正確には【妖精族・エルフ種】です、妖精族に分類されますね。次に領土ですが、それぞれの種族の王が管理していますが互い互いに領土を広げる為に争っています』
「争うって……戦争でもしているんですか?」
『そうですね、間違っていませんがその争いにはプレイヤーの皆様に関わりがある事なのでよく聞いてください』
「プレイヤーが、ですか?」
『定期的に開催されるのですが、種族毎にどの位の功績を立てたのかを比べその功績に対して領土を与えると言った事を私たち管理AIは行なっています。その功績は基本的にプレイヤーの皆様の活躍により与えられます』
「へー、でもそれだと領土に限りが出てくるんじゃ無いんですか?それともゲームだからずっと広がるとか?」
『残り十年はその心配は無い、と私たちは計算しております、その時が来るまでお楽しみにと言った所でしょうか』
その時とは一体……。
『最後になりますが、この後は戦闘におけるチュートリアルを行います、その後スタート地点をそれぞれの領土から選んで始められますがどうしますか?』
「領土毎に何か違いってあるんですか?と言うか選んだ種族以外の所からスタートってできるんですか?」
例えばだけど、魚人族を選んだ人がそれ以外の領土を選んだとしたら活動できるのだろうか。
『そうですね……これと言った違いは多くは有りませんがまず第一に初期アイテムが変わりますね』
「アイテム、ですか?」
『種族と領土が一致している場合、それぞれ別の物を、そうで無い場合は統一した物を配布します』
「それって、教えて頂けたりは……」
『それは流石に……選んだ時のお楽しみという事です、ではどの領土から始めますか?』
やっぱりそうですよね……それじゃあ。
「妖精領から始めます」
『了承しました、ではこれより戦闘のチュートリアルに入ります、最後に何かご質問はありますか?』
質問……特に無いけど、折角だから何か聞いてみようかな。
「うーん、それじゃあメーデスさん。質問です……私、【吟遊詩人】を副職業で選んだんですけどそれで何か話せるような事とか無いですかね?」
『……それでは、僭越ながら少し助言を。と、言いましても話せる事は……あ、一つありました』
メーデスさんは少し悩んだ後一つ思い出したように笑顔を浮かべた後。
『実は、プレイヤーの皆様に見つかっていない初期から存在するクエストがありまして、そのまま埋もれてしまうのも勿体ないのでその概要をお教えします』
「え、それいいんですか」
ズルをしている気が……。
『大丈夫です、三年前から誰にも見つかっていない上、まずクリアできないクエストですので』
「……はい、そうですか、ならだいじょうぶですね」
クリアできないと言うのは私が、と言う意味なのだろうか。メーデスさんの態度から馬鹿にしていると言った様子ではないけど……。
『では詳細を記入した紙を初期アイテムに追加して置きますね、他に何かありますか?』
「ないです」
『では戦闘チュートリアルを始めます、お気を付けて』
その言葉とともに私は気付けば広い草原にいた。
「わは、広いなー。にしても、チュートリアルで戦うって一体誰と…………」
がさ、と後ろから音が聞こえ振り向く、そこに居たのは。
「か、カカシ?」