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妲己編 第5章

妲己は生徒会会長である事は皆さんご存知でしょう。


「これより生徒本部会を始めます。えー、第一回目ですからまずは自己紹介からしましょう。私、本部会を含め会議全般の司会を担当します、二年の兎東柚とあずま ゆずと申します。」


幼い顔立ちにポニーテールの少女。身長は平均的だ。体つきも健康体そのもので、性格も明るい。

次に自己紹介をしたのはもちろん妲己だ。


「前年度後期生徒会より引き続き生徒会会長を務めさせていただきます、二年の狐田五月です。」


簡潔に終わらせて次の人を見た。その人は生徒会副会長だ。


「副会長、三年の春義晴人はるよし はると。よろしく。」


眼鏡をかけたやる気のなさそうな男子生徒だが、かなり頭が良い。背はかなり高い。晴人も終わったら次の人を見た。次の人は慌てて、自己紹介を始める。


「しょ、書記長の、さ、三年の沼城楓ぬまじょう かえでです。」


楓も眼鏡をかけており、今時珍しい長い三つ編みをしている。しかも黒タイツだし… 漫画の中でも絶滅危惧種に認定されるほどのモブだ。

次の人も戸惑い気味に自己紹介を始めた。


「会計長の永本李雲ながもと いずもです。えと、一年です。」


小柄で童顔でthe 弟キャラ!な見た目。声変わりもまだのようだ。

今いるのはこれで全員。みんな、キャラが極端すぎて側から見れば違和感しかないだろう。


「それじゃあ、今日やる事は終わったんだけど何か意見のある人?」

「ちょっと、司会は私なのよ?勝手に話をすすめないでちょうだい!」


妲己は怒った柚をなだめて、意見がないかを再確認した。まぁ、あげる人はいなかったんだけど。


「じゃあ、今日は終わります。五月ちゃんは私の仕事を取らないこと!」

「はいはい、」

「それでは解散!」


柚が締めくくり、各自生徒会室を出て行った。妲己も生徒会室を出て、古代文学部に向かった。



「お待たせー、ん?今日は灯奈ちゃんだけ?」

「はい、田沼先輩と美琴先輩はそれぞれ家の用事だそうです。」

「ふーん、他の一年は?」

「各自用事だそうです。」


妲己はそばにあったパイプ椅子に座った。


「矢本先生は?」


妲己は意味ありげに灯奈を見つめた。灯奈は顔を真っ赤にする。妲己はこの反応を見て、何かあったんだと察した。


「別に何も…何でもないですよ。」

「そう言うことじゃなくて、今日は居られないの?」

「へ?あっ、はい。」


灯奈はさらに顔を赤らめる。妲己はちょっとからかってやろうと思った。


「そう言えば、矢本先生ってかなり生徒から人気あるよね。」

「えっ?ああ、まぁ。」

「そのうち、メアド交換しちゃったり、遊びに行く事があったりして。」


途端に灯奈の顔が曇って行く。妲己はその反応を見て、自分と照らし合わせた。

(穂志が私以外の女の子と出かけたりしたら私もこんな顔をするのかしらね…ありえない…)


「冗談よ。教師の方でも生徒とのメアド交換は厳禁だからね。」

「はい、わかってるんですけど…不安で。」


妲己は灯奈が可愛く見えて来た。そこから下校時間まで灯奈の惚気話を聞いていたのだった。


「ただいまー。」

「おかえり。」


妲己が帰ってくるとエプロン姿の穂志がちらっと顔を出した。台所からはいい香りが漂ってくる。


「今夜朱雀いないって。」

「またか…最近多いよね。忙しそうで…あなたは仕事しないの?」

「明日から泊まりで南地区に行くけど。」

「南?遠いわね。」

「一緒にくる?因みに朱雀も帰れるか怪しいって言ってたよ。」


妲己は答えに詰まった。一緒に行きたいと思っていたがそれが言えない。


「何時から?」

「午後四時に出発するよ。」

「…………行ってあげなくは、ないわ。」

「素直じゃないね〜、そんなところが可愛いんだけどね。」

「バカ。早くご飯食べたい。」


妲己は自分の体が蒸発してしまうのではないかと思うほど熱くなっていた。顔も真っ赤だった。

穂志の作る料理は相変わらず美味しくて、あっという間に食べ終わった。食べ終わったあと妲己はシャワーを浴びて居間で宿題を広げていた。


「わざわざ目の前に座らなくてもいいのよ。」

「だって眼鏡とかレアじゃん。」

「何がレアよ。」


穂志は妲己の顎を持ち上げた。妲己は素直に顔を上げたが目を合わせようとはしない。穂志は、顔を赤らめている妲己の頬をがっちりと掴んだ。


「なによ、やめてよ…」

「眼鏡邪魔だよね。」

「は?」


穂志は眼鏡の耳にかける部分を親指で持ち上げ床に落とした。


「キスした事ぐらいはあるっしょ?」

「あな、たとは、し……ッ!」


妲己の言葉を遮って唇を、重ねはせず、耳元に近づけた。


「すると思った?妲己は可愛いけどね。そういう関係には妲己もなりたくはないでしょ?」

「……弄んでたの…?」

「まぁ、そうなるね。」


穂志は妲己を離した。妲己は力なく椅子に落ち、それと同時に目から涙の粒も落ちた。

穂志はその涙を見て驚いた。また狐火で貼り付けられるかと思っていたからだ。


「穂志は私のこと…好きじゃなかったんだよね。安心した…………………安心してる筈なのに…」

「ごめん、安心しないで…」


穂志は本気で妲己に恋をしていた。そして妲己の本音が聞きたいために演技をしていたのだ。

穂志は妲己の頭を抱き寄せた。そして、唇を重ねた。妲己も驚きはしたが抵抗はしなかった。


「意味わかんない、好きなの?嫌いなの?」


妲己は唇を離して穂志に聞いた。穂志は笑顔で答える。


「大好き。明日付いて来て欲しい。」

「行ってあげる。」

「素直になれば?」


穂志は妲己を抱きしめる。妲己も抱き返す。


「今夜朱雀いないからやることあるよね?」

「気が早いわよ。旅行の時までお預け。」

「ええ〜、けち。」


イチャイチャしてはいるが、妲己には不安があった。それは穂志に対するものではないが、不安は拭えなかった。



「人質が出来たな。妲己。誘き出しやすい。」

銃を持った女がビルの屋上で独り言をつぶやく。

遅くなってしまってすみません

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