妲己編 第1章
()第0章を読んだ方の中には訳がわからないと思った人がいるでしょうね。
改めまして、私の名前は妲己といいます。九尾狐で中国の妖怪です。ここで私のいろいろを紹介させてくださいな。
身長168㎝
誕生日は9月10日
人間名は狐田五月(こだ さつき)
私立咲美崎高校の生徒会長を務めています。
部活は古代文芸部に所属しています。
黒髪を腰まで伸ばしていて、基本結んで無いわ。
顔は、自分で言うのもなんだけど、切れ長の目と彫りの深さはチャームポイントよ。
と、ざっとこんな感じね。前章を読んだ方は知ってると思うけど、私はマンションでおチビさん達と同居してるのよ。
一人は鳳凰、なんで幼い姿に化けているかと言うと、バスや映画のチケットやらが半額になるからだそうよ。人間界に来た理由は、私もよく知らないけど、神様のお仕事って事らしい。
もう一人は朱雀、人間界に来た理由は兄と同じ。で、兄より幼い姿なのは尊敬している兄より年上に化けることは出来ないからだそうよ。これでも兄よりしっかりしてたりするのよね。
紹介はここまでで、いいかしらね。
ああ、忘れた。穂志について話してなかったわ。まぁ、あいつはいいや。妲己編読んでたらわかるから。じゃあ紹介はここまで!
入学式も終わり落ち着いた日々を過ごす高校生たちは、日常だ。妲己も日常だ。
古代文学部も日常だ。今は新入部員でオリエンテーション中だ。
「今回君たち新入生の皆さんが入ったことによって本格的な部活動であることが認められた。心から感謝するよ。ありがとう。僕は部長の田中美琴です。よろしく。」
この話し方からしても分かる通り、ちょっと厨二病を拗らせている。
「じゃあ、順番にいこっか。田沼ちゃんから右横ね。どうぞ!」
「はーい!田沼ちよでーす!よろしくね。」
田沼ちよは妲己と同じ高2で妲己と大の仲良しだ。
「じゃあ、次。」
「狐田五月です。私は生徒会長だから、部活に参加できない日もありますが、どうぞよろしく。」
ありきたりな紹介に美琴は少しつまらなさそうな顔をした。
「はい、次。」
「小根太雄士(おねだ ゆうし)です。見たところ俺と美琴先輩と先生くらいしか男いないっすね。」
ちょっと小柄で、目の大きな男の子だ。
「よし、次。」
「天具灯奈(あまぐ ひな)です。よろしくお願いします。」
背が高い。真っ黒な髪を肩の上で切りそろえてある。
「うん、次どうぞ。」
「泉花(いずみ はな)です。よろしく!」
「小学生?」
妲己は思わず心の声が漏れた。幸い小さい声だったので本人には聞こえなかったみたいだかが、ちよに突かれた。
「はい、次。」
妲己はさりげなく次の言い方が一周して来たのに気づいた。
「音葉紅蓮(おとは くれん)。よろしく。」
髪が肩ぐらいで綺麗に艶めいている。そんなことよりそんなことより名前がかっこいいと全員が思っただろう。ちなみに女子生徒だ。
「じゃあ、先生。」
「矢本龍です。よろしく。」
龍は新任教師だ。一年の担任で、生徒達からはかっこいいと人気が高い。
「よし、じゃあ活動内容を説明しようか。」
自己紹介が終わり美琴が立ち上がった。
「部活動内容は特にありません。」
シーーーーン
無いってなんだよ。って全員が心の中で思った。
「ちゃんとした部になるとは思わなかったから。活動内容は決めてないから、好きなことしてていいよ。」
妲己とちよはため息をついた。
「今日はこれで解散ね。また明日。」
新入部員と先生がみんな出たあと、三人は話し合っていた。
「みこちゃん、なんであの人たち集めたのさ。」
「全員何かしら非日常を持っているんだよ。」
「は?」
「妲己ちゃんわかった?」
「大体はわかりましたよ。」
「田沼ちゃんも見習いなよ。妲己ちゃんを。」
「妲己は格が違うから無理だよ。」
「化け狸のくせに、出来ないことあるの?」
「うるさいな、厨二病。」
「でもなんで、集めたんですか?何かするんですか?」
「別に〜、俺ただの人間だから君達二人以外の人外も見てみたいなって思ってさ。」
「それを見分ける力がある時点で貴方も例外ではありませんよ。」
「能力だけだよ。他は何も無いし。」
そう、この部活に集められたのは、人外、能力者たちだ。美琴が集めた。集められたみんなは多分お互いのことを気づいてはないだろう。
「みこちゃん、最低。自分が見てみたいからって誘う必要ないじゃん?個人で仲良くなればいいじゃん。わざわざここに集めなくてもよくない?」
「田沼ちゃん酷いな〜。」
「あんたに言われたく無いし!」
「田沼ちゃん怒っちゃったし、解散しようか。」
これで今日の部活動は終わった。しかし、妲己は仕事が残ってる。
「手伝おうか?妲己。」
「貴方前にコピー機壊しかけたからいい。」
「あんときは、ごめん!」
「もう怒ってないからいいわ。でも、今日は一人でできる量だから大丈夫よ。」
「そっか、じゃあまた明日。」
「うん」
妲己は部室を出て生徒会室に向かった。
(天照のやつ、絶対許さない!こんな面倒な事…意味わかんないし!)
妲己は生徒会室に入って、自分の席に座った。机の上に王崎高校との交流会の手紙があった。
「王崎か…やだな…」
王崎高校は咲美崎高校と同じ私立校である。
「めんどくさい…」
妲己は仕事をしながら天照のことを考えてた。
(なんのつもりなんだろ…イラつくな…)
どのくらい仕事をしていたのか、妲己が気付いた時は8時近くだった。
「やばっ、朱雀が待ってるじゃん!」
妲己は帰る準備をして生徒会室を出た。構内はもう真っ暗だった。妲己は急いで外に出て、体育館の裏側に来た。
(誰も見てないわよね…)
辺りを見回したが、人の気配はなかった。妲己は片手を地面につた。
「狐火!」
地面から緑色の炎が出て来て妲己を包んだ。
炎が消えると妲己の姿も無くなっていた。
妲己の住むマンションの部屋のベランダに緑色の炎が出た。そして炎の中から妲己が出て来た。妲己は炎を消して、ベランダの窓を開けようとした。
「開いてない?!」
妲己は窓を叩いた。カーテンがかかっていたのでそうしないと気づいてもらえない。部屋の明かりがついているので朱雀が開けてくれるだろうと思ったのだ。
「朱雀!」
足音が近づいて来た。しかし、カーテンから見える影は朱雀よりずっと大きかった。
(えっ?だれ?)
カーテンが開いて見えたのは、知らない男の人だった。おかっぱ頭で何を考えているのかわからない顔をしている。妲己はびっくりして固まった。男は妲己を数秒見つめて、カーテンを閉めた。
(何あいつ!開けないのかよ!)
「ちょっと!開けて!」
(朱雀は?朱雀は無事なの?)
妲己はまた叩きはじめたが反応がないので、別の手段を使った。
「狐火」
さっきの緑の炎を出して、それを窓の隙間から部屋に滑り込ませた。そしてもう一つ炎を出して、その炎に腕を突っ込んだ。
「よし!」
どのような状況かと言うと、妲己が出した二つの狐火は繋がっており、妲己が外の炎に手を入れて部屋の中の炎からその入れた手が出て来ているのだ。その腕を使って鍵を開けた。
「よっし!」
窓を開けて入って男を探した。男はポテチを食べながらソファーに座って妲己を見ていた。
「あなた誰なの?てか、なんでさっき開けなかったのよ!」
男は静かに振り返り、
「あんな技使えるなら最初からやればよかったじゃん?」
と言った。妲己はイラっとしたけどそんな事よりも気になることがあった。
「朱雀は?幼い男の子は?」
「シャワー。」
「なんだ〜。あなた朱雀の友達か何か?」
「そだけど。」
「名前は?」
男は嘲笑うかのごとく言った。
「保護者かよ。」
ぶっっっちん!
普通の時だったらキレなかっただろうけど、妲己は生徒会の仕事とかでずっとイライラしているせいで流石に限界がきたのだろう。
「穂志さーん、てっ、うわ!?」
男が壁に十字架のように貼り付けられていれば、そりゃ驚くだろう。男の両手両足には緑色の炎が付いている。
「えっ?ええ?妲己さん?」
妲己は矛を持っていた。
「さあ、何か言い残すことは?」
その矛を男に突きつけていた。
「この炎、意外と熱く無いね。」
「余裕なのも、今のうちよ!」
妲己は完全なる悪役の台詞を言う。まぁ、妲己は一応悪なんだけど。
妲己が矛を男の首めがけて突き出した時、朱雀が飛び出して、朱雀に刺さった。お腹あたりに。
流石に男も驚いていた。
「ちょっと、危ないじゃ無い。」
「この程度では死にませんよ。」
「なんで止めたのよ。」
「彼、存在自体がうざいので。怒ったら彼の思う壺ですよ。」
「はぁ、そうね。」
妲己は朱雀から丁寧に矛を抜いた。朱雀は血も出てなければ、全く痛がってもいなかった。
「さぁ、彼を下ろしてください。」
妲己は炎に手のひらを向けた。すると、炎が勝手に妲己の手のひらに吸い込まれていった。男は無様に床に叩きつけられた。
「朱雀、この男だれ?」
「この人は小野田穂志さん。」
「知り合い?」
「兄さんのね。今日は私が呼んだんです。」
「なんで?」
「仕事で。」
男は二人の会話を黙って聞いていた。
「穂志さんは、なんのしごとしてるの?」
妲己は穂志に尋ねた。
「これといった仕事はしてないよ。だだ、鳳凰の弟から頼まれた仕事だから真面目にやらなきゃだめだからね。」
妲己は勿体ぶった言い方にイラついていた。
「そうそう妲己さん、兄が当分帰ってこないのと仕事の都合上、彼三週間ほどここに泊まることになりました。」
妲己は全力で、ええ!嫌だ!って顔をした。穂志はその顔を見て笑った。
「俺すっごい嫌われてるじゃん。」
「お前なんか●●!***!★★★!!」
「お嬢さんがそんな事言っちゃダメだよ。」
穂志は更に笑った。妲己は涙目で朱雀を見つめたが、朱雀は、諦めろと表情で伝えて来た。
少女漫画では嬉しい三週間の始まりだが、妲己にとっては地獄の三週間の始まりだ。
まぁ、妲己次第で最後まで地獄かどうかは変わるだろう。
前章はちょっと意味のわからないものになってしまってすみません。これからも出していきたいと思うのでよろしくお願いします。