ともだちがほしかったりゅう
せかいでいちばんたかいやまの
いちばんふかいたにのそこ
おおきなおおきなりゅうがすんでいた
らんぼうはきらい
ねていることがすき
まいにちへいわにくらしていた
あるひ りっぱなきしがあらわれた
おまえをころしてゆうめいになりたい
ころされたくない ころしたくもない
りゅうはじぶんのうろこをはいでわたした
これをもっていけばぼくがころされたことになりませんか?
じゅうぶんだ りっぱなきしはさっていく
またべつのひ まほうつかいがあらわれた
おまえをたいじすればせかいいちのまほうつかいになれる
りゅうはじぶんのきばをおってまほうつかいにわたした
これでせかいいちすてきなつえがつくれませんか?
じゅうぶんだ まほうつかいはさっていく
そうして ながいじかんがながれていった
なんにんも なんにんも りゅうのもとをおとずれた
りゅうはみんなにからだのいちぶをあげてはきずついていった
さいごに ちいさなおんなのこがりゅうのもとをおとずれた
うろこも きばも つめも なくしたりゅうはみすぼらしい
ごめんねもうなにもあげられるものがない
からだじゅうがとてもいたいから なくばかり
おんなのこはちいさなてで
おおきなおおきなりゅうのあたまをなでてはなぐさめる
わたしにもほしいものがある どうかきいてはもらえないか
ごめんねもうなにもあげられるものがない
おんなのこはりゅうとおなじでみすぼらしいかっこうだった
これまでやってきたりっぱなかっこうのにんげんたちのなかで
いちばんまずしいかっこうだった
きのどくにおもったりゅうは じぶんのいのちをつかえば
さいごにひとつくらいはおんなのこのねがいごとをかなえてあげられるとおもった
いいよ ひとつだけならきいてあげる
おんなのこはいう
わたしはともだちがほしい わたしのともだちになってくれないか
りゅうはうれしくなった
わかった いのちをかけてきみのことをおもうたいせつなともだちになろう
どこまでもきみのつばさになろう
きょうからきみとぼくはともだちだ