俺はアスロット!
マーロウと母との想い出話に少し触れたところで、彼は涙を拭きながらこう言った。
「悲しい顔をさせてしまったね、すまない。けれど春乃との日々は本当に幸せな時間だった。会えないのはつらいが、彼女にはとても良い幸せな時間をもらった。最高のね!
それに、もしかするとまた会えるかもしれない。今、君がこうしてこの世界に存在するのだから。」
そう言って彼は元気を出してというようにお茶目なウィンクをした。
「そうですよ、それに彼女は私たちに贈り物も授けてくれました。」
アスティンは私の肩にそっと手を置き微笑んだ。
「君という宝物をですよ。今日からいえお腹の中にいる時から大切な家族です。夜になったら兄弟たちも帰ってくるでしょう。そしたら今日はお祝いですよ。」
アスティンは私の手を取り楽しそうに言った。
私が帰ってきて嬉しいと表現するように何度も手をさすり握った。
お腹の中にいる時を知っていたにしろ初めてあった私をこんなに歓迎してくれるなんてこの人たちの懐はなんて広いのだろう。
なんて思っていたら私はある事に気がついた。
今更ながらこれから生活どうしよう。
なんとかここにおいてもらえるように頼むしか私には道がない。
図々しいお願いに気が引けながらも勇気を振り絞って声をだした。
『あっあの〜いいにくいんですけど』
「ん?」
「ん?」
2人が一斉にこちらを見た。
『もとの世界に帰るまでの間ここに下宿させていただけませんか?』
すると2人は物凄い勢いで近ずいてきた。
「当たり前だよね」
「当たり前ですよ」
と言った。かなり安心した。
さすがにまったく知らない世界で1人住む部屋を探し回るのは難しいだろう。
『ありがとうございます!家の仕事は任せてください。』
すると2人は困惑した様子で私を見ていた。
「いえ!そんな家事ならメイドがしますので。あっいえ貴方には特別な仕事を授けましょう。」
アスティンは今思いついた様に言った。
『なんの仕事ですか?』
「それはまた後でいいますよ!」
『そうですか』
そんなこんなで和んでいるうちに外はすっかり暗くなっていた。
ドッドドッドドド
すごい音が扉の向こうから聞こえてきた。
ガチャッ
「俺の妹はどこだ!?」
黒い短髪の髪にで長身の男がドアの向こうからとひだしてきた。
私の存在に気づいたその男はニッと笑いずかすがこちらへ歩いてきて私を高い高いするように持ち上げた。
「おお〜お前が俺の妹か!ちっさいな〜これからよろしくな」
チュッというリップ音がなった。
ホッペにキスされたのだ。
一瞬なにをされたかわからずフリーズしてしまった私を彼はほうずりしながら撫で撫でしている。
アスティンが勢いよく私と短髪の男を引き離した。
「なにをするんですか!貴方はまったく!すいませんね礼儀しらずな弟で」
え?弟?とてもアスティンの兄弟とは思えないくらい陽気で筋肉むきむきだ。
「なんだよいいじゃねーかよホッペにちゅーくらいよぉ」
「でかい図体した男がかわいこぶったって気色の悪いだけですよ。時子これが私の弟のアスロットです」
そう紹介されると私の手にキスをして
「よろしくな?俺はアスロットだ。妹君。」
そう言ってウィンクまで?してくれた。
やっぱりアスティンには似ていない。
そう思った。