シエン ノ ココロエ
れっつほにゃららその2(違)
岩山の麓、ちょっと登れば洞窟が口を開けている荒野の端で彼女はイライラをダダ漏れさせながら落ち込む、という器用なことをしていた。
何があったか、って?
洞窟、というわかりやすいダンジョンすぐのところで神官という支援系のプレイヤーがソロで座り込んでいるのだ、答えは明白。
パーティー分解中、である。 しかも。
「・・・癇癪起こして一人で離脱してくるって・・・どうやって帰還するのよ、ワタシ・・・」
がっくり、といわゆるorzな体勢になってさらに落ち込む。
帰還用の魔法がないわけではないが、ある程度ダンジョンの奥に入ったところから離脱してきたから外に出るまでにMPを使い果たしている。 この仮想世界、回復力に関してはかなりシビアな設定で、ちょっと休めば回復、なんていう一昔以上前のゲームの概念は安全地帯である街に条件付きでしかない。 かといって、魔力回復薬もさっきの回復魔法で使ってしまった。 そしてここは第四の街から若干離れた荒野。 普通にモンスターさんがうろうろしていらっしゃる。
「ばかばかばかー、ワタシのばかー! あいつらだってばかよー!」
意味不明に自分を詰ってみても状況は変わらない。 変わらないが呪詛でもつぶやいていないとおさまらない。 どう考えたってこれはいわゆる『死に戻り』しか帰還方法がないのだから。
さらにしばらく小声で悪態をついて。
ようやく彼女は覚悟を決めた。 荒野に踏み出せばすぐにでもモンスターに襲われるだろう、と。 そうすれば攻撃手段皆無の彼女など一瞬、だろう。 死に戻ることで課せられるデスペナルティはいやだけど、もうどうしようもない。
そんなことを考えて女は度胸、と立ち上がったところで。
「・・・痛いのはいやなものですよー?」
のほほん、とした声が彼女にかけられた。
一瞬、離脱してきたパーティーメンバーが追いついてきたのか、と淡い期待に振り向いて。 え、と瞬き。 洞窟と反対側にあった大きな岩にもたれていたのは・・・見ず知らずの少女だった。
「・・・どなたさま?」
「とーりすがりのものですー」
我ながらどうよ、と思う問いかけに少女もそれに負けないくらいテンプレな返答を返してくる。 漫才じゃあるまいし、と改めて少女を観察する。
光の加減で深い緑にも見える黒髪、同色の瞳。 肩のあたりで薄茶のボンボンがついた髪留めでまとめられた髪は背の半ばほどの長さ。 造作はキャラメイクの自由度が高いこのゲームにしてはあまりにも普通。 そして、その装備はどこからどう見てもノービス装備。 軽ーく、違和感。
いや、新人らしからぬノリのよい返答をスルーしても、いくらなんでもそれはないだろう、と軽くパニック。 ノービスが第四の街の外、洞窟ダンジョン近くに一人でいればそりゃ違和感よね、と斜めな方向に納得する。
「まぁ、私のことはおいといてー。 死に戻りはやめたほうがいいですよ? 設定で痛覚反応落としててもそれなりに痛いですしねー」
・・・なぜバレた!
それが彼女の偽らざる気持ち。
顔に出たのか少女がきゃらきゃらと笑う。 そりゃ、支援さんがひとりでこんなところにいらして妙な気合い入れて荒野に出ようとしてたらわかりますよ、と。
「そんな無茶なさろうとするなんて、仲違いでもなさいました?」
くすくす笑う少女の指摘にぎくり、と身を竦ませる。 いやまぁ、まさにその通りなんですけどー、と。
「洞窟ダンジョンで支援さん離脱ですと、残った皆さんも苦労されてるんではー?」
普通なら当たり前の疑問。 だが、少女のその問いかけは彼女のプチ・パニックを一瞬で静めた。 代わりに感情を支配する苦い色。
「・・・困ってなんかいないわよ。 ワタシの支援なんて邪魔でしかないし」
つい漏れた悪態。
そう、なのだ。
ここへはいつものパーティーでやってきた。 パーティーは騎士、拳闘士の前衛、遊撃の盗賊、魔術師、神官の後衛というバランス型。 この世界で初めての本格的ダンジョンと言われる洞窟を攻めるにはよいパーティーだったし、初心者の頃からいっしょにやってきた仲間だったから気心も知れている。 そう、思っていた。
けれど。
『軽減いらねー! そっちじゃねーだろ、今は! もう少し考えて支援しろよ!』
洞窟内での戦闘中にかけ直した支援魔法に投げつけられた言葉。 それは・・・彼女の神経を逆撫でして有り余るものだった。
「あらまー・・・」
自分の口だと言うのに止めることもできず漏れ出た話しに少女がぱちくり、と瞬きしてこてん、と首を傾げる。
「だから・・・ワタシみたいな支援下手なんていらないのよ」
言いながら悔しくて視界が滲む。 泣いてなんかやるものか、と唇を噛みしめたところで。
「軽減ってことは・・・ぷち麻酔のあれですか?」
ぷち麻酔って、と思わず苦笑。 有名どころの支援魔法なんだからスキル名で言ってよ、とうなずく。
彼女が使った支援魔法は打撃攻撃のダメージを一定時間、半減させる魔法。 効果として体感痛覚も半減させる効果があるので、少女はそんな言い方をしたのだろう。 支援系としては中盤になってやっと覚えるスキルで、これがあれば初期に覚える完全防御はゴミとまで言われる。 当然、これをかけるのはダンジョン、フィールド問わず戦闘には必須だった。 それなのに。
「それをあいつはいらないって言うのよ。 少しでも痛くないようにってかけたのに・・・」
敵の攻撃で受けるダメージを半減させてより素早く動けるようにするのって基本でしょう、と、呟く。 だが、少女は不思議そうに、でもどこか確信を持っているように問いかけてくる。 それ言ったの、素早い拳闘士さん系では、と。
「・・・なんでわかるの?」
少女の問いかけに違和感を感じて問い返す。 話の中でパーティー構成は言ったものの、誰がそれを叫んだか、なんて口にしてないはずだ。
「あー、それはわかります。 素早い拳闘士さん系ってたいていそうですからー」
嫌うんですよねーぷち麻酔、とうんうん何やら一人納得している少女に目をぱちくりさせるのは彼女の方だった。
たいてい、そう?
「このあたりのダンジョンが適正レベルですとまだご存知ない方が多いかと思いますがー。 素早い方ってぷち麻酔は苦手ですよ?」
さらり、と返される少女の言葉。 なんだかいろいろ足りない気がするが、スルーできない何かが混じっているような。
「・・・苦手・・・苦手っ?」
「聞いてらっしゃいませんか?」
そして少女がのほほんとした調子で説明してくれる。
いわく、拳闘士系は素早さを上げるタイプと一撃の重さを重視するタイプに基本的に二分される。
いわく、素早さ系は手数で攻めることになるのでいわゆるヒットストップ、ダメージを受けた際の硬直が致命的である。
いわく、よってヒットストップが適用される系の支援を嫌う傾向にある。
「ぷち麻酔ってダメージは軽減されて完全硬直までの時間は稼げますが、ヒットストップは適用なんですよね。 なので、ヒットストップ無しのダメージ完全相殺系支援や単純に回避を上げる素早さ補助のほうを好まれるんですよ」
元々素早いから回避しちゃってそうそう攻撃ヒットしませんしねー、とほわほわ笑う少女に絶句。
では何か。
それを知らずにダメージ半減をかけたから邪魔、と叱責されたのか。
「・・・ちょぉっと・・・待てぇ~・・・」
ふつふつと沸いてくる怒り。
戦闘中、というある意味極限の状況だからこそ、欲しい支援を受けられなかったことに怒ったのだろうが、そっちこそ説明不足だろうが、と。
「まぁ・・・拳闘士さんも言葉足りませんがー・・・」
苦笑気味に彼女を見ている少女が付け加える。
でも、と。
きちんとパーティー内で現状の情報交換をしてらっしゃいますか、と。
「自分が鍛錬しているスキルでしたらよく理解してらっしゃるでしょうけど。 それと同じ理解を違う職業の方に求めるのは酷ですよ?」
お仲間が何ができるか、把握しておられますか、と。 それにどんな支援ができるか、お仲間に伝えてますか、と少女が笑う。
「違う方向性で皆さん遊んでらっしゃるんですから共闘するなら情報交換は基本です。 でも・・・いつもいっしょに遊んでるからわかるだろう的な思い込みって多いみたいですよー」
それは、噴火直前の彼女の怒りすら一気に冷ます、言葉。
確かに仲間の拳闘士は今、少女が言ったようなことは情報としてこちらに伝えてくれなかった。 だから彼女の怒りに火がついたのだ。 どうして欲しいか、何が必要かも伝えずにこっちがそれをしなかった、と理不尽に不満をぶつけてくるなんて、と沸点を突破したのだ。
だけど。
自分の支援の種類、伝えたっけ?
支援する相手の特性、聞いたっけ?
気づいてしまったら後は泥沼。
どこ行こう、とかどんなモンスターが出る、とか。
アイテム何が期待できる、とか。
そんな話はしょっちゅうしてた。
でも。
自分たちのスキルや攻撃力、耐久度、特性なんて情報を嬉々として語っていたのはずいぶんと前のこと。
そういえば、騎士も拳闘士も魔術師も盗賊も・・・今、どれくらい強くなってるのよ?
え、ちょっと待って。
ワタシ、連中が今、どんな方向性でレベル上げてるのか知らない・・・?
「お話から推測するに、拳闘士さんは素早さ手数タイプさんのようですから最初に素早さアップ。 これが最善ですね。 回避率も上がりますから下手にダメージ半減させるより他の支援かける時間、稼げますよ」
少女がくすくすと続ける。
騎士は攻守バランスタイプのようだからダメージ無効が最初。 体力あるタイプならダメージ半減のほうが持続時間長いから有効かも。 騎士系はヒットストップ無効技があるからそれで問題無し。
魔術師は詠唱止められるのが致命的だからダメージ無効を途切れさせない。
盗賊は拳闘士と同じだけど、素早さアップか隠密性アップかはどんなスキル持ってるかで変わってくる。
中級クラスで初めて踏みいれられる、という洞窟ダンジョンに踏み込むくらいにはやりこんでいると思っていた彼女を圧倒する情報量。 いや、上級クラスなら当たり前なのかもしれないが、ノービスが決して持っていないであろう知識だ。
「あー。 頭でっかちなんですー。 ついつい調べちゃうんですよね」
顔に出ていたのか、少女が苦笑してぱたぱたと手を振る。 そして。
「それで? 隠れてる皆さん、出てらっしゃったらいかがでしょう?」
意味ありげに唇の端をほんのり上げた少女が彼女の背後、洞窟ダンジョンに続く道の分岐にある大きな岩のほうに視線を向ける。
反射的に振り向くと、そこにはバツの悪そうな顔で頭を下げる、パーティーリーダーの騎士。
「ごめんなさい。 盗み聞きする気はなかったのだけど・・・」
女性プレイヤーながらそこそこ名の知れている仲間の騎士の後ろで同じく頭を下げる盗賊と魔術師。 その横では件の拳闘士がそっぽを向いている。
「突っ走っていったその子見つけて無茶っぷりを叱り飛ばそうと思ったら・・・」
歯切れの悪くリーダーが続ける。
少女の言葉に、知識に圧倒されたのだ、と。
その言葉に悪かったのはこっちもだった、と気づいた、と。
「戦闘中の注意も素直に聞けないのか、とか腹立ててたんだけど。 違ったのね。 あなたの話が聞こえてきて初めて気づいた。 私たち最近、スキルやステータスの話、してなかった・・・ううん、むしろ避けてた」
なんだか今更、って感じだったし、初心者の頃より圧倒的に上がりにくくなってて変化に乏しいと感じてたし、とリーダーが続けるのに少女が笑った。
「塵も積もればっていいますよー。 いったいどれくらいから情報交換してらっしゃらなかったんですかー」
わずかな差が実は限定突破だった、なんてあるんですよ、とほんわかと続ける少女に彼女含め、パーティー全員がうなだれる。
「これから先、上級になればなるほど、ほんの少しのステータスの差やスキルの有無の情報を共有してないことがパーティーの致命傷になることが増えますよ。 お仲間なんでしたらきちんとお話されたほうがよいかと思いますー」
柔らかな口調は決して彼らを責めたりはしていない。
けれど、その内容は中堅どころになった、とちょっとばかり得意になっていた彼女の鼻っ柱をへし折るには十分で。
「支援っていうのは別に支援魔法・・・バフだけじゃないです。 パーティーメンバーの特性を理解して状況を見つつその時々で最善のサポートができる、っていのが究極の支援・・・だそうですよ?」
支援はけっして支援係って言われる神官系さんだけのものじゃないです、と少女が笑う。
「さてっと・・・私、そろそろ行きますね。 皆さんは情報交換してから再挑戦のほうがよろしいかと愚考いたしますー」
茶目っけたっぷりに両目をぱちん、と瞑って少女がもたれていた岩からよいしょ、と身を起こす。
そこでやっと・・・気づいた。 ここまで少女がくってりと岩に身を預けたままだったことに。
「ちょ、ちょっと! もしかして怪我してるっ?」
そう思うくらいには少女の動きはゆっくりで慎重。 だが、返されたのは苦笑気味な笑顔とぱたぱた振られる手。
「怪我はしてませんです。 ちょこっと疲労度が行き過ぎちゃったので休んでたですよ」
帰還符使えるとこまで歩けるくらいに回復したのでそろそろ帰ろうかと、と少女は笑う。
「心配してくださってありがとうです。 ちゃんと仲直りなさってくださいね」
それではお邪魔しました、と頭を下げる少女に彼女は慌てて声をかける。
もしここに少女がいなくて。
彼女も彼女以外も頭に血が上った状態で顔を合わせていたら。
いや、それ以前に当初の予定通り(?)彼女が死に戻っていたりしたら。
ここまでいっしょにやってきたパーティーには決定的な亀裂が入っていただろう、と容易に想像できるから。
「待って! あの・・・その・・・」
それでもこの言葉を口に上せるのはなぜか気恥かしい。
そういえばいつから感謝の言葉を素直に言えなくなったのだろうか。
「えと、あの。 あ・・・ありがとうっ!」
ほとんど気合いで叫ぶように言って深々と頭を下げる。
「初期に比べて支援魔法の種類も増えてワタシ、ちょっと天狗になってたんだと思う。 それで支援受ける側の人のこと、知ろうともせずにこれが精いっぱい、最善だって思い込んで。 そんなんじゃ支援失格よね」
視線は地面に向けたまま。 かろうじて視界の端にひっかかっている少女の足元は動かない。
「もっと・・・自分からいろいろ聞いて情報収集するように努力して・・・いつか・・・」
どんどん口の中が乾いてからからになっていくような、緊張感。
これを言っちゃったら・・・傲慢過ぎる、かしら?
でも、と。
「いつか、きっと誰よりも支援上手って言われるようになってみせるから!」
必死、だった。
なんでこんなに必死なんだろう、と自分でも不思議だ、と彼女は内心ツッコミながらも続ける。
「その時は手伝わせて! 声、かけるから」
我ながら大それたことを言っちゃった、と思うと恥ずかしくて顔が上げられない。
視界の端っこの少女の足元がゆっくり近づいていきなりひょこっと地面と彼女の視線の間に割り込んだ少女の顔にびっくりして反射的に体を起こす。
その起き上がりこぼしもびっくりな反応にしゃがんで覗きこんできた少女がきゃらきゃらと笑った。
「がんばってくださいー。 楽しみにしてますね」
おもしろそうに笑いながらも少女の声は柔らかい。
否定もせず、流すこともせず、のその反応にほっとして彼女は名乗る。 それにリーダーが慌てたように続いた。 彼女が支援で手伝う時には同行するらしい。
「ありがとうございますー。 私、レヴォネです」
名乗ってから手を振って街のほうへとゆっくり歩いていく少女を見送って。
がんばらなくちゃ、と気合いを入れていたら。
「・・・悪かった。 詫びに支援の鍛錬、付き合うよ」
ぼそり、と拳闘士がそっぽを向いたまま呟くのにぐるん、と振り返って目をぱちくり。
恥ずかしいのかほんのり耳が赤いその様に思わず笑ってばんばんと遠慮なく肩をはたく。 どうせこれくらいじゃ堪えやしない。
「鍛錬より情報交換が先よっ! ワタシも癇癪起こしてごめんっ!」
そう、今必要なのは鍛錬よりも情報。 仲間の能力や特性も知らずに最善の支援なんてできやしない、とついさっき知ったのだから。
「いつかは全支援技、取得するにしたって一番有効なのから取らないとね」
「そう、ね。 まずは今まで蔑ろにしてたスキルやステータスの話をしないと」
「それにどっち方向に育てていくのかの方向性もねっ」
神妙に頷くリーダーにそう応えてから癇癪起こしてごめん、と謝る。 思えば、少女がいなければ彼女がしたことは単なるコドモの癇癪とわがままとしか考えてもらえなかっただろう。
とにかくいったん街に戻って落ち着いて話しをしよう、と決めて。
リーダーが帰還符を使おうとして初めてその場で帰還符が発動しないことに気づく。
そして、少女が『帰還符使えるところまで歩ける』と言った意味にも。
ダンジョン入口にほど近いその一角は転移不可能地域だったのだ。 そして少女はそのことを明らかに知っていた。
「・・・う。 あの子にここのことも聞いときゃよかった・・・」
つい、そんな言葉が漏れてしまったのは仕方のないこと。
けれど彼女も彼女の仲間も結局気づくことなくスルーしてしまった。
ここがノービスの来られるはずもない場所だということを。
☆ ☆ ☆
この世界、どこのダンジョン前にも存在する転移不可の安全地帯を出ても少女はてくてくと荒野を歩いていた。
歩みはゆっくりしたものではあるが、安全地帯ほど慎重ではない。
「もう仲直りされましたかねー?」
モンスター襲撃があり得るフィールドなのにそこを歩く少女の声はのんびりほんわり、で。
肩の薄茶のぽんぽんをそろっと撫でるのと程遠くない低木に雷に似た光が一直線に落ちて少女を攻撃しようとしていた鳥型モンスターを撃ち落とすのは同時だった。
驚いた様子もなく少女は苦笑して肩のぽんぽんを撫でる。 いや、すでにそれはほどけてつぶらな瞳をのぞかせたもこふわの小動物になっていて。
「ヤマネちゃん、ちょぉっとやりすぎ。 え? はいはーい、帰還符の登録先変更忘れてたのは私ですー」
なにやらきゅぃきゅぃと文句を言っているもこふわに少女はしれっと答えながら笑う。
「無茶したのもわかってますがー。 早く先に進んでお約束、果たさないと」
小さく呟いた少女の唇が苦笑するように弧を描く。 もうずいぶんお待たせしてますしね、と。
その苦笑にもこふわが今度はお説教するような感じにきゅぃきゅぃ鳴いて。
進行方向の片隅の茂みにまたもや雷が落ちる。
「・・・だからー、増幅しすぎですってばー。 オーバーキルですよぉ」
少女のめっという視線に肩のもこふわがきゅぅっと鳴いてえっへんとふんぞり返る。 そのまま転げ落ちそうになって慌ててぽんぽん形態に身体を丸めるのはご愛敬、だった。
シエンって難しいですよね・・・楽しいけど!