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第2話 初めての魔法

翌日からクロードにリエルの魔法の講師をするように頼まれたアンセルムはリエルをつれ、書斎の方に来ていた。

リエルはまだかな、まだかなとアンセルムの魔法の授業を楽しみにしている様子だ。


しかしリエルが最初にやらされたのは字を読み書き出来るようになることだった。


最初は魔法と何の関係があるの?と思っていたリエルだが、アンセルムが魔導書を読むのに必要です、と言うとたちまち目を輝かせ、真剣に取り組み始めたのだ。


時々、リエルの母親、アリア・ローゼンクロイツもやってきて、リエルのの勉強を見てくれた。

「リエルちゃん、凄いわ!この年で勉強を始めるなんて、ママ感激よ!」


そう言って、事あるごとにリエルに抱きついてくるのだ。


「母様、苦しい……」


因みにクロードと同様、この母親も娘に甘い。


まあ、いろいろあったものの、好きこそ物の上手なれ、魔法に対する情熱のお陰か、リエルはあっという間に文字の読み書きが出来るようになった。

恐るべし子供の吸収力。






「それではお嬢様、早速魔法について講義を始めさせていただきます。」


そんなリエルの努力もあって、今日からついに実践による講義だ。

これまでの座学で魔法に関する基本は全てリエルの頭の中に入っているのだ。


「宜しくね、爺や!」




魔法とは簡潔に言うなら、「ある現象を魔力によって引き起こす」ことだ。


この世界の生物は例外なく、心核と呼ばれる擬似器官を持つ。これは心臓や脳のように実体を持つ器官ではなく、目に見えない霊的器官である。


魔法はこの器官を利用し、体中に巡らされた魔力回路を通して、魔力を放出することで発動する。因みに魔力回路も心核同様、霊的器官であり、心核を心臓に例えるなら、魔力回路は血管と考えてもらいたい。


ごちゃごちゃとして分かりづらいかも知れないが、要するに魔法の初心者は魔力を感じることから始まるのだ。


単純に聞けば、とても簡単に思えることだが、これが案外難しい。出来るようになるまで下手すれば1年かかる者もいるという。

だが、アンセルム曰く、一回慣れれば簡単とのこと。


「お嬢様は取り敢えず魔力を放出して貰う練習からですね。」


「わかった!うーん…………こう、かな?」


次の瞬間、旋風が起こる。

無論、リエルは魔法を使ったわけではない。

ただ魔力を放出しただけだ。それがリエルの魔力量の異常さを示している。


「な!?」


その出来事にアンセルムは驚愕する。


「(たった一回で成功とは…しかもこの魔力量、旦那様にも匹敵するレベルですね。毎日鍛錬を続ければさらに凄い魔力量になりますね。…面白い。)」


幼いながらに才能の片鱗を見せるリエルに期待が高まる老執事。


「やったー!出来たよ、爺や~」


当の本人は自分がどれだけ凄いことをしているのか自覚はないみたいで、嬉しそうにきゃっきゃと笑っている。

よく見ると魔力門(魔力を放出するところ。初めて使う時は閉じている為、魔力を感じられない。魔力を感じれるようになるということはこの門を開く修行のことを指す。)を開いた後も既に自在にコントロールして、放出する量も一定に落ち着いていた。


「流石ですね、お嬢様。魔力に関しては問題ないみたいですね。では次は魔法を使ってみましょうか。お嬢様はどんな魔法が使いたいですか?」


「光と雷がいい!!」


「ほう、それはまたどうしてですか?」


「絵本の勇者が使ってたからだよ~」

なんとも微笑ましい理由だ。だが、悪くないチョイスだ。


「それでは少し、お手本をお見せしますね。……闇を照らせ 、ライト!」


呪文を唱えたアンセルムの手に光る球体が浮かぶ。


「爺やすごーい!」


「お嬢様も出来ますよ、これくらい。どんな魔法にするかイメージして呪文を唱えてみてください。」


「うん!……闇を照らせ、ライト!」


次の瞬間、リエルの手の平の上に光の球体が浮かぶ。


「わぁあ!爺や、みてみてー私も出来た!!」


「本当にお嬢様は凄いですよ、まだ初級魔法ですけど、完璧です。(どうやら、お嬢様の魔導師としての才能は途轍もないようです。この調子なら、すぐにでも上級までマスターするでしょうな、ほっほっほ。)」




実際、アンセルムの予想通り、リエルの魔法の才能は群を抜いていた。


あの日から毎日続いた特訓でどんどん魔法を吸収していくのだ。


特に光と雷に関しての魔法は神がかっていた。クロードの書斎で読んだ物語からネタを拾って来ては実際にやってみるということを繰り返しているうちに様々な魔法が生み出されていた。また、そこにある魔導書もリエルにとってはかなり有用だった。



そんな日々を過ごしていたある日のこと、リエルがいつも通りクロードの書斎で魔導書を漁っていた時にとうとう「それ」を見つけてしまう。




「なんだろう、これ?魔導書…かな?セファー……ロギアス?」


それを手に取った瞬間、リエルは何故か知らないがこの本の不思議な魅力にとらわれてしまった。

同時にリエルに触れると本はカチリと鍵の開いたような音を立て、勝手にページが開く。


「わっ!?何々、何なの!?」

急な出来事に驚くリエル。




白銀の書:セファーロギアス。後のリエルの魔法に大きな影響を及ぼすことになった、魔導書との出会いであった。




リエルがセファーロギアスを手にした同時刻、とある神殿にて何かが目覚めた。


古代言語で何らかの魔法陣が至る所に描かれた祭壇のような場所にそれはいた。


「…………この感じ………封印が解けた?……………ふふ……………そう、そういうこと。……とうとう現れたみたいね。貴方の後継者が。……ねえ、ロギアス?」


何者かは誰もいない場所で一人呟く。



「さて、いつ現れるかしら?………出来れば早くお会いしたいわ………次の子はどんな子かしら。ふふふ。」














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