2012年8月22日(授業二日目醜態)
※この作品は作者の日記ではありません。
8月22日(授業二日目醜態)
酔った私を載せて電車は揺れ続ける。私の顔を見た座席端のポールに寄りかかっていた男が私の正面から離れようと身をよじる。どうやら私の顔色を見てこれから何が起きようとしているのか察したようである。私はスペースを空けた男とポールのあいだに割り込み、ドアのすぐ前に陣取った。しかし位置を変えたからといってたちどころに酔いが覚めるものではない。なるべく遠くを見なければならなかった。
しかし電車は住宅地を突っ切るように走っており、窓の外は少しの隙間もなくアパートやら一軒家やらが猛スピードで通り過ぎていく。こんなものを見ていたら余計醉う。私は目を閉じて時が過ぎるのを待った。しかし目を閉じたからといって酔いが覚めるものでもない。頭の中に浮かんでくるのは黄色い粘液を吐き出している自分のイメージである。こんな時に想像力は発揮されなくても良い。しかしゲップが出て、腹の中のものの臭いが鼻を刺激し始めて、とうとう現実味を帯びてくる。
目を開けると巨大な煙突らしきものが遠くに見えた。池袋に到着した証拠である。あと少し、あと少しと粘っているうちにようやく電車止まった。間一髪である。なんとか助かった、と思いつつ電車を降りると同時に私は下を向いて私はものすごい量の液体、それも水っぽい液体を吐き出した。やらかしたのである。当然ながら私は白い目を向けられた。もう二度と満員電車に乗ったりしないよ、とまる見え風に私は心に誓った。




