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2012年9月1日(授業三日目観察)

※この作品は作者の日記ではありません。

9月1日(授業三日目観察)

 昨日は読書のおかげでひどい目にあった。そんな授業三日目である。今回の授業の目的は読書をすることではない、トレーディングカードにはまってしまう少年たちの気持ちを想像することである。そこで私は再び古本屋へ出かけ、トレーディングカードを眺めてみた。もちろん買ったりなどはしない。そんなもったいないことはできない。


 こうして見てみるとカードは意外なほど小さい。一般的なトランプより小さいのではないか、と思えてくる。そんな小さなカードにやたら小さな、文庫本のページ数の数字より小さな文字でカードの説明やカードの効果が書かれていてとても目に厳しい。しかし子供のまだ疲れを知らない目であればこのくらい読み取れるはずである。そしてこの小さなカードも子供の手には馴染むはずだ。トレーディングカードというものは基本的に子供のために作られているものなのである。


 そして古本屋のトレーディングカードは、レア度が高いカード、または強力なカードほど高い値段がついていた。古本屋の近所のカード専門店にも行ってみたが、そこでもレアカードが一枚いくらで売られていた。根気よくパックを買ってレアが出るのを待つなんてことができない子供から効率的に金をむしろうという算段なのである。子供はこんなところで金を使ってしまうから、本に金を使えず、本が読めない子供が増えていくのである。いや、カードに書かれた文章くらい読めるだろう。その能力を応用すれば本くらい読めるのでは? さて、どちらが正しいのだろうか。私はさらに想像を推し進めることにした。まず、気持ちを子供に戻してみる。まだ読書も知らなかった子供時代に。そして私は後悔した。

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