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2012年8月27日(授業二日目帰宅)

※この作品は作者の日記ではありません。

8月27日(授業二日目帰宅)

 電車に大量に乗っているサラリーマンたちはサラリーマンらしくクールビズだった。さすが夏である。というかさっきの背広姿の人物こそが異常だったのだ。きっとクールビズも国会で推奨されていたからそれに逆らうべくカッチリと背広を着込んでいたのだろう。大人になると大物に反抗するのも難儀なものなのだ。権力に反抗するとどうしたって子供っぽい印象を与えてしまい、説得力が薄れてしまう。きっと我慢していなかったからだ。サラリーマンとは我慢が上手な種類の人物の子をなのかもしれない。


 それにしてもみんな揃いも揃って同じ行動に出ているのが気になった。みんなしてスマートフォンをいじっているのである。数少ない例外の数人は、気が抜けたようにぼーっとしている。スマートフォンを使ってみんな何を見ているのだろうか。例えば私の隣の青いカッターシャツのサラリーマンと思われる男。これはスマートフォンを使って何を見ているのか。と思っていると「見んなよ」と小声で言われてしまった。知らぬうちにスマートフォンを覗き込むような姿勢になっていたらしい。私はおとなしく、先日古本屋で買った本を取り出して読んだ。


 そして所沢に到着する頃には、あたりは暗くなっていた。サラリーマンたちは急ぎ足で改札に向かっていった。この蟻のように移動する大量の人物一人一人にそれぞれ違った個性が存在するなんて、とても想像がつかなかった。ひとりは駅ナカで惣菜を買うのかもしれない。一人は家庭崩壊の危機に直面しているかもしれない。一人は今後一生結婚することなく生涯を終えるのかもしれない。きっと私もそうだ、そう思うと少し泣けた。しかし涙は流さなかった。

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