2012年8月24日(授業二日目検証)
※この作品は作者の日記ではありません。
8月24日(授業二日目検証)
図書館は外の喧騒とは打って変わって静寂に包まれていた。騒いでいるのはここがどういう場所なのかわかっていない子供くらいのものである。ただ、座席が空いていなかった。机に接している座席には例外なく人が座っているか荷物が置かれているかしていたし、本棚の角に置かれた簡易座席にも人か座席が置かれていた。
しかし座席が座っている、という表現はおかしいのではないか。荷物を置いたからといってその人物がその席を占有できる、というのはおかしいのではないだろうか。図書館とは公共のものである。荷物を置いてここ自分の席ね、と主張するのはそれを私物化しているような許されざる行為である。
なので私はひとつの椅子から荷物をどかせて、そこに腰掛けて本を読み始めた。適当に選んだ小説である。読書は想像力の強化に不可欠な教材である。そうしていると十分後、「あの」と声をかけられた。大人しそうな高校生か大学生くらいの兄ちゃんである。「そこ、俺の席なんですけど」そんなことはない。ここは公共の席である。荷物を置いたからといってその席を占有できるわけではない、と私は主張した。しかしさらに十分後、私は図書館を追い出されていた。これではサラリーマンの生活について調べられないではないか。大都会池袋にて、私は途方に暮れた。




