散り果て 2
所さん!!??
所さんってばぁ!!
ん…………
うるせえなぁ‥
所さん、どうしたの?
所さんの身体、冷たいよ。
ああ、そうだな…
病院行くからね!
いや、もうダメだ。
行ってもしょうがないさ。
どうして、どういう事?
ホントは、黙ってようと思ったんだけどな……
お前が自分のせいだとか言い出すと困るからよ。
ええ?なんの事。
響子、お前はもう死なないよ。
お前のガンは、全部俺がもらってやった。
意味わからないよ。
あたしのガンを、所さんがって……?
ホントは、人間に喋っちゃいけないんだけどな‥
まあ、いいか。
………………
俺達犬にはな、危険予知の力があるんだよ。
ほら、蘭の奴が走りだして怪我したろう。
あれはさ、そのまま歩いてると一哉が車に跳ねられるからなんだ。
それじゃ、蘭ちゃんは一哉さんの代わりに?
ああ、幸い命は助かったけど………
蘭の奴は、もう子供はできないと思う。
えっ!そうなの。
自分の心から愛する人を一回だけ守れる替わりに、何かを犠牲にしなくちゃなんねぇんだ。
じゃあ、所さんは……
そうだ。
でっかい犬は自分の体を張って守れるけどよ、俺達小型犬は違う。
その替わり、相手の身に起こる事を肩代わりできるんだ。
肩代わりって………
だからさ、病気を治したり、事故を防いだりはできねえけど…
代わりに自分の身体で引き受けられるのさ。
それって……
お前の身体のガンは、全部俺がもらってやった。
だからお前は、もう死なないってことさ。
でも、それじゃ所さんが死んじゃうって事じゃない!!
しょうがないさ。
俺が自分でそう決めたんだから。
いやだ!!!!
そんなの、絶対ダメ!!
もう、遅いよ……
だって、どうして!
そんな、そんな事!
それにな、これは俺だけが思ってもムリなんだ。
お前が、響子自身が生きたいって強烈に思わなきゃな。
それって……
だから、お前にそう思わせるために一哉とさ……
じゃあ、所さん最初からそのために……
まあな‥‥
バカ、バカバカ!!
でっかい声だすんじゃねえよ。
頭に響くじゃねえか。
だって、所さん……
さすがに、一度に全部のガンを引き受けられないからよ…
一日一個ずつにしたから、今日まで時間がかかっちまった。
すまねえな、遅くなっちまってよ。
何言ってんのよ!
こんな小さい身体で、そんなムリして……
ヘヘっ、まあ間に合って良かったよ。
あたしなんて、ほっといてくれて良かったのに…
バカ野郎!!
俺は、お前だからそう決めたんだよ。
そんな能力があるなんて……
人間にもあるんだぜ。
ウソ!あたしにはないよ
産まれたての、ほんの短い間だけだからな。
………………
自分が肩代わりするしか、愛する人を守れないほんの短い間だけだ。
うん…………
だから、代わってもらっても相手は大概気づかないのさ。
そうなんだ…………
おい、響子。
お前、涙出るじゃねえかよ。
えっ?
さっきから、俺の身体に落ちてきてるぜ。
あっ!ホントだ。
ヘヘっ、響子の涙暖かいぜ。
所さん‥
もうそろそろみたいだ。
あばよ!行ってくるぜ。
ダメ!ダメ!
行っちゃダメだよ。
響子、俺の骨なぁ‥‥
あの桜の木の側に埋めてくれねえか。
そしたらよ、今年も来年もずっとお前と一緒に桜の花が散るとこ………
所さん!!??
ダメ!!ダメだよ!!
あぁ、響子の涙暖かいぜ。
最後に、蘭ちゃんとやりたかったなぁ……
バカ!!
所さんの、バカバカ!!
あたしを置いて行かないでよ。
所さんがいなくなったらあたし………
あたし‥どうしたら……
………………
所さん!所さぁ〜〜ん!
…………………
そして、今年の桜が舞散る中を
あたしは一人で歩いている。
これで、響子と所さんのお話は一応おしまいですが……
近日中に、もう一話だけ続きを書くかもしれません。
最後までお付き合いしていただいてありがとうございました。




