開花時期未定 3
せっかく手伝ってやろうかと思ったのにさ。
手伝うって何を?
アイツとやれるように。
や、やれるってそんな!
お話しするとか、仲良くなるとか他に言い方があるでしょ。
ホント、面倒くせぇ。
結局は、やるんだろ。
や、やらないよぉ!
どうだか……
やらないってばぁ。
それにあたし、もうすぐ死んじゃうんだよ。
仲良くなってもしょうがないじゃん。
そりゃあ、そうだけどさ。
響子はもう、22年も生きてきたじゃん。
俺なんか、せいぜい長くても12〜3年だぜ。
だからさ、生きてるうちにやりたい事やっとかないと。
なんだかよくわからない理屈だけど……
まあ、そうだね。
所さんよりは、人生長いよね。
だろ!
だからさ、アイツにアタックしてみろよ。
俺も手伝うからさ。
俺のみたところ、アイツも響子にまんざらでもなさそうだぜ。
そうかなぁ?
そうだって。絶対だよ。
じゃあ、どうしたらいい?
そうだ!そうこなくちゃな。
とりあえず、散歩に行こうぜ。
もうそろそろ、アイツが散歩にくる時間だしな。
そうなの?
お前、そんな事も考えずに散歩に出掛けてたのか
うん。
だって、朝も夕方も所さんまかせだったから。
そうだよな。
いつも俺が、時間見計らって散歩の催促してたもんな。
そうなんだぁ〜!
すごい、所さん。
い、いや‥
そう誉められても……
じゃあ、出掛けよっ♪
おう!!
あっ!来た!!
ほらな。頑張るんだぞ。
頑張るって、どうしたらいいのか?
世話のやけるやつだなぁ。
あらよっと!
あっ!所さん、待ってよぉ。
響子!ついてこいよ。
こんばんわ。
よく、お会いしますね。
あっ、あ、あ、すいません。
うちの所さんが、勝手に。
所さんって?
あ!この子の名前です。
うちのチワワの………
あっ!ああ〜〜。
あの、そちらのお名前は?
沖田 一哉です。
えっ?この子、女の子なんじゃあ。
あっ!ああ〜犬の名前ね。
蘭です。
蘭ちゃんですか。
可愛いですよね。
真っ白で。
そちらの、え〜〜と…
あっ!所さんです。
ほら、所ジョージの‥
所さんは、変わった毛並みですね。
黒と茶色と白なんです。
トリコロールって言うんですって。
耳の飾り毛なんか、パピヨンみたいですね。
(ケッ!ぱぴ公なんかと一緒にするんじゃねえよ)
おわっ!
どうしました?
いえ‥別に‥なんでも。
すいません、お名前お聞きしてもいいですか?
は??
あ、あなたのお名前ですが。
ああ、響子です。
神山響子‥‥‥
あの、クリーム色のマンションに住んでいらっしゃるんですよね。
どうしてそれを?
散歩の帰りに入っていかれるところを、何度か。
はい。この辺りでペット可のマンションって、あそこしかなくて。
僕は、二丁目です。
兄貴の家に居候してます。
この蘭も、ホントは兄貴の家の犬なんですけど。
なんだか、僕になついちゃって。
沖田さん優しそうだから。
あっ!良かったら一哉って呼んで下さい。
僕も、響子さんって呼んでもいいですか?
は、はい。
か、かずやさん‥で、すか。
よかったら、そこのベンチに座りませんか?
は、はい。
タバコ、いいですか?
えっ!?
あたしは、タバコは…
響子さんって、面白い人ですね。
え、え??
タバコ吸ってもいいですか?
って、言いたかったんですけど。
あ、ああぁ〜。
すいません、どうぞ!
ギャイン!!!
あら、所さんどうしたの。
(チクショウ!この隙にと思ったのに。)
この隙にって、どういう?
(あ〜あ、今日のとこは振られちまったい。)
もしかして、所さん?
そっちが目的だったりしない。
(バレたか♪)
んもぅ〜〜!
あの〜〜、響子さん……
何を‥‥誰と‥話して?
あら、すいません。
ちょっと、所さんと話しを‥!!
そうか、所さんの声この人には聞こえないんだ。
どうしよ、変な女だと思われちゃったぁ!!