満開…散り初め
ただいま……
あれ?所さん……
あ、あぁ‥
おかえり‥‥‥
どうしたの?
寝てた?
ちょっとな‥‥
珍しい。いつも、あたしが帰ってきたら起きてるのに。
なんか、疲れててよ。
俺も、年かな?
なに言ってんのよ!
まだ、五歳にもなってないのに。
夏バテってやつかな…
今は、まだ冬でしょ!
じゃあ、冬バテだ。
へんなの。
それよりさぁ、所さん、あたしもうダメだわ。
どうした、身体痛いのか?
ううん、身体は最近なんか調子いいみたい。
じゃあ、何がダメなんだ。
一哉さんとの事………
あたしもうこれ以上、黙っていられないよ。
もうすぐ死んじゃうあたしが、一哉さんを好きになるのが間違ってた……
響子………
だって、なんの未来も約束できないし………
明日の事だって、わからないんだよ!
あたし、あたしさぁ……
どうしたらいい?
…………………
所さん?聞いてる??
あ、あぁ………
あれ!ちょっと所さん!
どうしたの?もしかして、どこか痛いの。
大丈夫だ……
眠いだけだ‥‥‥
すまん、少しだけ眠らせてくれ。
ダメだよ。
調子悪いんだったら、ちゃんと言ってね。
お医者さん行こうか?
だ、大丈夫だ。
俺は、医者は嫌いだ。
そんな事言ってると、あたしみたいになっちゃうよ。
ホントに、お医者さん行かなくていいの?
ああ、自分の身体は自分でわかる。
ホントに、少し寝れば大丈夫だ。
それなら、いいけど……
明日のあたしへ
今日は、所さんと出会った時の事を書きます。
あたしが、18歳の秋でした。
お父さんと、お母さんが亡くなって1年が過ぎた頃……
高校卒業して、何をする気も起きなくて、ただ毎日が過ぎるのだけを待っていた頃。
偶然入ったペットショップのケージの中で、所さんはこっちを睨んでた。
うっわぁ〜!
可愛いげのないチワワ。
それが、あたしの第一印象。
「いらっしゃいませ♪♪その子可愛いでしょう」
ウソ!可愛いくないよ。
だって、あたしの事睨んでるし。
「よかったら、抱いてみます?」
えっ!?いや、あたしは…
「はい、どうぞ」
あの時、やられちゃったんだ。
あたしの腕の中で震えている小さな命‥温もり。
さっきまで、あたしの事睨んでたくせに、プルプル震えちゃってさ。
「この子、珍しい毛並みでしょう。トリコロールって言うんですよ」
目の回り黒くてタヌキみたいだ。
フフッ、なんか可愛い。
「いかがですか?いまならオータムフェアーでお安くなりますよ」
ウソだね!
この子、きっと売れ残ってたんだ。
だって、こっち睨んでるチワワなんて初めて見たもん。
「お住まいは、お近くですか?よろしければ、今日にでも連れて帰れますよ」
あっ!!
ダメだ。あたしん家、ペット禁止だもん。
そりゃ、隠れて飼ってる人もいるけど‥あたしはそんなのいやだ。
すいません、また来ます!
それから、不動産屋さんに駆け込んでペットの飼えるマンション探して。
あたしの中に、あんな行動力があったなんて!
自分でも、びっくりだよ。
ペットショップに走って戻ったら、看板の電気消えてて。
あわててお店に飛び込んだんだ。
すいません!
この子、下さい!!
今日連れて帰れますか?
あれからだね、あたしが色んな事、ホントに一人でできるようになったの
所さんの、おかげだ!
心配しなくていいよ。
あたしが死んじゃっても。
ちゃんと、次の飼い主は見つけてあるからね……
ね♪所さん………




