五分咲き 4
響子さん、今度のお休みは時間空いてないかなぁ。
あたし、お休みの日は基本ヒマしてますけど…
えっ!そうなの?
お掃除して、お洗濯して、あとは所さんと散歩するくらいがあたしのお休みで〜す♪
それじゃあさ、じいちゃんとこ一緒に行かない。
じいちゃんって、横山先生のところ?
そう。
こないだから、響子さんと一緒に遊びに来いってうるさくてさぁ。
あたしは、かまわないよ。
ちょうど、先生にお聞きしたいこともあるし。
聞きたい事って?
あたしね、自分の事書いてみようって思ったんだけど…
どんなふうに書いたらいいのか、わからなくて。
へぇ〜。
自分史みたいなもの?
まあ、そうなのかな。
あたし頭悪いからさ、作家の先生みたいに物語は作れないから。
自分の事なら、書けるかなぁって。
それなら、なおさら一緒に行こうよ。
うん。わかった!
じいちゃん、来たよ!
おじゃましま〜す。
おお!神山さん、来たか。
ようこそ、いらっしゃい。
さあ、上がった、上がった。
じいちゃん、僕は?
あぁ、一哉もどうぞ。
なんか、扱いがちがうなぁ。
お前は、孫なんだから当たり前だろ。
でもなぁ……
いい年をして、すねてないで、ほら神山さんが笑っとるぞ。
仲良しなんですね、お二人。
なんか、羨ましいなぁ。
一哉、お昼食べて帰るだろう。
うん♪
えっ?そんな……
響子さん、遠慮しないでいいからね。
じいちゃん、これでも流行作家だから。
これでもだけ、余計じゃ。
そうだ、今日は寿司を取ろう。
響子さん、なにか苦手なものはあるかな?
いえ、あたしは大丈夫ですけど……
そうか、そうか♪
お〜い!昭子さん!!
お昼にな、寿司の出前をたのんでくれんか。
特上を四人前な!
じいちゃん、特上なんて頼んだことないのに!!
そんな事はあるまい。
いつも、わしは特上だ!
あ〜ぁ♪
見栄はっちゃって。
それに、神山さんがいつから響子さんになったんだ?
うぅほん!!
なら一哉、お前さんだけ並にしとこうかな。
い、いや僕も特上がいい。
神山さん、なにかわしに聞きたいことがあるらしいな。
響子でかまいませんよ。
一哉さんにも言ってたんですけど、あたし自分の事書いてみようかなって。
でも、あたしが書くとなんか小学生の作文みたいになっちゃって…
そうか、書いてみるか!
なあに、最初はなんでも、どんな文章でもかまわんよ。
肩に力を入れずに、気楽に書く事だ。
はぁ……
書いているうちにな、自分の言葉が、文章が出来上がってくるさ。
焦らず、気長に書いていくことだ。
気長に、ですか?
そう、気長にな。
だが、決して書く事をやめてはいかん。
響子さんには、確かに才能がある。
それは、このわしが太鼓判を捺す。
才能なんて…あたし‥‥
響子さん、大丈夫だよ。
じいちゃん、ウソは言わないから。
わかりました…
とにかく書いてみます。
うん!それがいい。




