三分咲き 4
神山さん、ちょっと頼まれてくれないかなぁ。
なんですか?
ほら、いつも客注で沢山買って下さる横山さんっているでしょ。
ああ、あのおじいちゃん。
そう、少し気難しそうな人。
昨日ね、頼まれてた本を取りにこられたんだけど
間違えて他の客注を、渡しちゃったらしいのよ。
すいません、それ俺っす。
音無くん!?
なんか昨日、お客さんたて込んでて、俺慌て中身確認せずに渡しちゃったみたいで。
それでね、私が交換に行きますって言ったら、神山さんに来させろって‥
どうして、あたしなんだろ?
神山さんに、いつも新刊本のレイアウトとかポップ書いてもらってるでしょ。
はい。
あれ担当してる子に、持って来させろって。
でなきゃ、交換に応じないとか、言われちゃって
いいですよ。
あたし、行ってきます。
ごめんなさいね。
そのかわり、私の車使っていいから。
あの、あたし‥免許……
あっ!俺運転して行きます。
ダメよ。
音無くんまで行ったら、店長一人になっちゃう。
私なら大丈夫よ。
どうせ月曜で暇だし、もうすぐ遅番の坂井さんも来るし。
それより、早く行ってきて、お願い。
わかりました、じゃあ…
客注の本は……あっ、これですね。
音無くん、行くよ!
はっ、はい!
いやぁ、なんか響子ちゃんとドライブなんて♪
なにノンキな事言ってるの。
客注商品は、ちゃんと中身を確認してから。
基本でしょ。
はい、すいません。
わかったら、しっかり運転してね。
うぅ…………
住所は確かこの辺りよねぇ。
はぁ………
あっ!ちょっと止めて。
あの人に聞いてくるから、待ってて。
はいっ!
(フフッ、音無くんがおとなしい♪
ちょっと、言い過ぎたかな。)
あの〜すいません。
この辺りに、横山さんってお宅ありませんか。
ああ、横山先生のお宅なら、その角曲がった少し先よ。
わかりました。
ありがとうございます。
ん??先生って………
お待たせ。その角曲がってくれる。
はい…
もしかして、あの突き当たりの家!!??
横山だ、間違いなさそう。
すっげぇ〜〜。
この家、あのじいさんの家かぁ?
でしょ。ほら、ここに表札が…………
横山 龍三郎‥‥えっ?
この名前、どこかで‥
あのぉ、流麗書房の者ですが。
すいません、ご注文の商品の交換に参りました。
少しお待ち下さい。
旦那様、旦那さまぁ〜。
なに、なんなの?
もしかして、お手伝いさんとか言う人なの!?
そのまま、お上がり下さいとの事です。
は、はぁ‥‥‥
しつれい‥しま‥す。
おお!あんたか。
時々、あそこで見かける顔じゃな。
はい。神山と申します。
この度は、私共の手違いで誠に………
まあまあ、挨拶はその位でいいだろう。
は、はぁ………
そこに、お掛けなさい。
もう一人のあんたも、どうぞ。
お〜〜い、お茶と何か適当に頼む。
はぁい。
あっ!すいません。
どうぞ、お気遣いなく。
ふむ、最近の若い者にしては、ちゃんとした言葉使いができるようだな。
よし、よし。
あっ!これ、ご注文頂いてた書籍です。
それでは、こちらもこれを、お返ししますよ。
ありがとうございます。
あんたが、あの店の新刊本の係なのかな?
係って程ではないんですが、一応レイアウトとポップは任されてます。
ほぉ〜!
いつも、あの店の新刊本の所はわしのお気に入りなんだよ。
ありがとうございます。
あたしも、好きでやってるだけですから、気に入って頂けて嬉しいです。
あの、ポップとか言うやつもあんたが考えるのかい。
はい。たいていはあたしが‥。
あれは、本の内容を全部読んで考えるのかな?
いえ、読むのは前書きと目次と後書きだけです。
ほほぉ‥それだけで、いつもあれを。
すいません。
ホントは全部読んだ方がいいんでしょうけど
新刊本って、けっこうあるんでなかなか……
いや、いや、それだけ読んだだけであれが書けるとは。
あんた、いや神山さんとおっしゃったかな?
はい、神山です。
それじゃ、神山さん、あなた物書きの才能があるよ。
いえ、あたしはそんな…
本当だよ。
あっ!でもなんか気になる本は、最後まで読んじゃったりもします。
最近では、どんな本かな?
あたし、ミステリーとか けっこう好きなんで最近は「双頭の翼竜」って言う本を
ほぉ♪なんと言う作家の作品かな?
え〜と、確か‥横山‥龍ざ…!!!
ええ〜〜っ!?
もしかして!!???
ど、どうしたの?
響……神山さん。




