三分咲き 2
所さんの独り言
ほんとにもう、世話ばっかりやかすんじゃないよ。
俺は、犬だぞ!チワワなんだぞ。
響子、お前の切ない顔なんて見たくないんだよ。
どうしてやる事もできないんだよ。
だからさ、バカな事言ったりしたりする事しかできないんだよ。
お前が毎晩とんでもない痛みに耐えてる事くらい、わかってるさ。
俺が心配しないように、一生懸命笑ってる事くらいさ。
良かったよなぁ。
お前にも、未練ができてさ。
その若さで、死ぬのになんの未練もないなんて、悲しいもんな。
一哉も、あの音無とか言うやつもいい奴じゃん。
お前が突然いなくなったら、きっと悲しんでくれるさ。
蘭ちゃんも、いい女だぜ。
いや、いいメスだぜ。
あの、一哉って奴がよっぽど大事なんだろうな。
俺も響子、お前の事すげぇ大事に思ってるからな。
待ってろよ。
お前はさ、笑ってる顔が一番似合うよ。
俺は、お前の笑ってる顔が大好きだ。
ペットショップで売れ残ってた俺を見つけて、笑いかけたよな。
ペットの飼えないマンションだからって、一度は諦めて帰ったけど。
閉店間際に駆け込んできて。
所さんには、参ったぜ。
犬の名前じゃねえだろ。
俺って、あんな顔してんのかなぁ?
俺のために、引っ越すなんてびっくりだぜ。
ホント、お前だけは何考えてんだか。
少しだけ、俺の秘密教えてやろうか。
じいさんが神田の生まれで、オヤジが横浜って言っただろ。
実はあれ、どっちも俺なんだ。
生まれ変わり、転生ってやつ。
不思議な事に、どっちの記憶も少しだけど残ってる。
三回犬に生まれたら、次は人間に生まれ変わるらしいぞ。
確かじゃないけど、犬の世界の言い伝えだ。
あとまあ、人間には言えない犬の世界の事も沢山あるんだぞ。
お前の事、最後まで俺が守ってやるからさ。
響子は、笑っていてくれよ。
こんな、蹴飛ばされたら飛んじまうようなチワワだけどさ
結構俺って、頼りになる奴だって評判なんだぜ。




