開花宣言 5
やっぱさあ、普通のチョコにするよ。
ってことは、あいつに食べさせたのか?
うん。
それで、どうだった。
アボガドはまだましなんだってさ。
なんか、初めての味だって。
納豆は?
口の中で糸引いて、あわててお茶飲んでた。
あの時の顔、おっかしかったぁ。
お〜ぉ、可哀想になぁ。
良かったぁ。
一哉さんに渡さないで。
お前は、食べてみなかったのか?
食べるわけないよ。
あんな、危険なもの♪
はぁ!?
響子もけっこうワルだねぇ。
きっと、所さんの影響だね。
越後屋、おぬしもワルじゃのう。なんてね♪
人のせいに、してるんじゃねえよ。
だって、あたし性格はいいはずだもん。
性格がいいのと、天然は違うと思うぞ♪♪
これどうぞ、一哉さん。
え?これって‥‥
バレンタインチョコ。
一応、手作りだよ。
まあ、溶かして固めただけだけどね♪
ありがとう。
一哉さん、学校とかで沢山もらうんでしょ。
ファン多そうだもんね。
とんでもない!
そりゃ、中学、高校の時はそれなりにもらったけど。
今は、兄貴の嫁さんから義理チョコもらうくらいだなぁ。
ホント?♪♪
うん。
だから‥‥ありがと、嬉しいよ。
いや、いや、そんなに言ってもらえる程のもんでは。
おはよう。
あっ、音無くんおはよう。
あれ?チョコは?
はぁ?なんのチョコ?
だって、バレンタイン今日だし。
ほら、本命チョコってやつをさぁ。
チョコなら、昨日あげたじゃない。
あれは、ちょっと‥‥
さあ、今日も仕事だよ!
マジメに働くんだぞ、青年!!!
えぇ〜っ!そんなぁ。
どうしたの、音無くん。
顔がにやけてるよ。
ほら、これ見て♪♪
紙袋??
中見てよ。
チョコがたくさん♪
どうしたの、これ。
それがさ、朝からチョコ持っていろんな子が現れて。
へぇ〜〜。
まあ、デパートってほとんど女の子だからねぇ。
だいたいの若い男の子はもてるよねぇ。
よほど‥‥でなけりゃ。
もしかして、響子ちゃん妬いてる?
なんで、あたしが音無くんに妬かなくちゃならないの。
そ、それは……まぁ‥‥
ひとつももらえなかったら可哀想だから、一応義理チョコ用意しといたけど、いらないね。
あっ!いる、いる!!
ちょうだい♪
納豆とアボガドどっちがいい♪♪
うわっ!そ、それですか……
ウソよ。
はい、普通の義理チョコ。
そんなに、義理に力入れて言わなくても………
だって思いっきり、義理なんだもん♪
所さん、あたしさぁ最近すごく幸せなんだけどいいのかなぁ。
どうして?
あたしさぁ、もうすぐいなくなっちゃうのに。
今頃になって、色んな人があたしの前に現れてさぁ。
すごく幸せなんだけど、いいのかなぁってね。
いいんじゃね。
たまたま、響子は命の期限知ってるだけで、突然期限がくる事もあるし。
そうかなぁ。
なんかさ、回りの人達だましてるみたいで……
響子は自分の今を、しっかり生きればいいんじゃないか。
後悔しないようにさ。
そっかぁ。そうだよね。
わかった!頑張るよ。
所さん、ありがと。




